1,800円以上の注文で送料無料

ケルト人の夢
  • 中古
  • 店舗受取可
  • 書籍
  • 書籍

ケルト人の夢

マリオ・バルガス・リョサ(著者), 野谷文昭(訳者)

追加する に追加する

ケルト人の夢

定価 ¥3,960

2,970 定価より990円(25%)おトク

獲得ポイント27P

残り1点 ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

店舗受取サービス対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!

店舗到着予定

1/12(日)~1/17(金)

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2021/10/28
JAN 9784000614740

店舗受取サービス
対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる

店舗到着予定

1/12(日)~1/17(金)

ケルト人の夢

¥2,970

残り1点
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

4.5

10件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ペルー生まれの、ノーベル文学賞も取ったという著者による、ロジャー・ケイスメントという人物の壮大な生涯を描く小説。1864年アイルランド生まれ、両親を亡くし、イギリスの外交官としてコンゴ、アマゾンに赴任する。コンゴやアマゾンでは先住民に対する虐待を目撃し、報告する。50歳になる前に健康上の理由もあって外交官を辞めることとなり、その代わりにアイルランド独立運動に携わる。敵の敵は味方、的な論理なのか第一次世界大戦でドイツを支持、「ドイツと組んで(《ただしドイツの命令に従うことなく》)戦う目的で捕虜たちを組織しよう」(p.198)とした結果失敗し、イギリスで逮捕され、反逆罪で52歳で絞首刑になる、という話。  最近Xのツイートで紹介されているのをたまたま見かけて、おれがなかなか読まない感じの本だし、この本に出会えたのも何かの縁だと思い、せっかくなので読んでみた。500ページ以上もあって、これ読めるかな、って感じだったけど、思ったよりも速く読めた。どこに書いてあったか記録するのを忘れてしまったが、コンゴやアマゾンの先住民虐待の話は、岩波文庫で読んだラス=カサス状態だった。「コンゴとアマゾンは、遠く隔たっていながらも同じ臍の緒で繋がっていると、ロジャー・ケイスメントはまた思った。利益に目がくらむと、残忍な行為はわずかに形を変えるだけで、ふたたび繰り返される。それは生まれたときから人に備わる原罪であり、果てしない悪のひそかな源である。あるいはまだ何かあるのだろうか?悪魔が永遠の戦いに勝ったのだろうか?」(pp.169-70)というところが本当に納得だった。人間が普遍的に持っている残虐性、サディズムってどういう心理なんだろう?フロイトとかに分析してほしい(もうされているのかな?)。ただこの人物が同性愛者ということで、訳者あとがきによれば、「叙事的行動が描かれながら、他方で複数のマイナー性を抱え、繊細な感受性を備えた彼の性的苦悩、孤独、迷い、喜びといった内面の動きも丁寧に描写されている」(p.519)ということで、主人公の「表の世界」で起こることにハラハラしつつも、時々起こる「裏の世界」の話に興味を惹きつけられてしまう、という感じ。ただ「人前ではきわめて礼儀正しく品の良い言葉を使う彼は、プライベートな日記には淫らなことを書きたいと言う、抗いがたい欲求を常に感じていた。理由はよくわからなかったが、卑猥語を使うと気分がよくなるのだ。」(p.338)っていう部分は、なんか「汚言症」みたいな神経症とは関係ないのかな、と思った。最後に印象的なエピソードは、プトゥマヨで保護した2人の少年をイギリスに連れて行き、教育を受けさせたりしたが、「二人はいずれもこのイギリスで心底不幸な目に遭っていた。彼らはここで異形の人間に変えられ、彼らを決して自分達と同等とはみることもなく、常に奇妙なよそ者扱いする人々を驚かせたり楽しませたり、心を動かしたり、ときには怖がらせるような、展示物にされている」(p.326)状態で孤独を感じ、結局はアマゾンに戻ることになるという話が悲しい。あと、主人公がアマゾンを去る時、「あの広大なプトゥマヨ地方全体はどうなってしまっただろう。(略)それほど遠くない将来、人の足跡はすべて密林によって消されてしまうだろう」(p.377)という予言が気になって、今どうなってるんだろう、ってGoogleマップで見てみた。確かにプトゥマヨ川流域はただのジャングルにしか見えなかった。でもこの本にも出てきたその近くのイキトスというペルーの町は、本当に現代的な町になっていて驚き。  昔大学生の時にアイルランド問題について何かの授業の教科書になっている新書で読んだ気がするが、その本はまだこのbooklogには感想を書いてないし、また読んでみようかなと思った。(24/09/25)

Posted by ブクログ

2024/05/14

別の本でケルト人の歴史に興味を持って、図書館の本を「ケルト人」で検索した時にヒットした本の一冊。 「ケルト人の夢」というタイトルではあるが、私が知りたかった「ケルト人の歴史」とはあまり関係ない。作者がマリオ=バルガス=リョサなので(私の中ではラテンアメリカ文学という括り)、ラテン...

別の本でケルト人の歴史に興味を持って、図書館の本を「ケルト人」で検索した時にヒットした本の一冊。 「ケルト人の夢」というタイトルではあるが、私が知りたかった「ケルト人の歴史」とはあまり関係ない。作者がマリオ=バルガス=リョサなので(私の中ではラテンアメリカ文学という括り)、ラテンアメリカ文学はガルシア=マルケスしか読んだことがない私はマルケスっぽいのかな、と読み始めたが、全然違った。 ケルトの歴史でもなく、主題も私が思ってたようなものともまるで違う上に、厚さが4cmもあって読み終えるのに2週間かかった。 でもなぜ途中で読み止めなかったかと言えば、ことの顛末を知りたかったからだ。 ロジャー=ケイスメントという過去に実在したイギリスの外交官の一生の話であり、舞台はコンゴ、ペルー、そしてアイルランドと移り変わる。 天然ゴムを巡る人間の強欲とその強欲さによる現地人への恐ろしい暴力の描写には何度も本を置いた。 またケイスメントが愛国主義に目覚めアイルランドの独立に奔走する姿には、母国とは何か?ということを考えさせられ、日本におけるアイヌの人々や琉球王国のことを思った。 搾取する、ということに関して「私はどんな立場だろう?」「知らずに搾取する立場なのではないか?」などとも考えた。 読む間、人間の多面性や欲望、日本人であることなど色々考えさせられた。

Posted by ブクログ

2024/05/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小説ならではの、登場人物と一緒に怒涛の一生を歩む経験をする。本書が放出するエネルギーは膨大で、読んでいて疲れる感覚はないのだが(悲惨といったところで、もっと悲惨なものを読んできた気がするのだが)、あまり一気に読めないという点と、ロジャー・ケイスメントと共に体調を崩しながら読むという点で、気づかないうちに何かが吸い取られているような気がする。 まずこのような人物が存在したことを知らなかったので、知れたということが単純に嬉しい。コンゴ、アマゾンでの経験から、"自然に"アイルランドへ繋がっていく道筋というのがあまりにも納得するので、実際のロジャー・ケイスメントもきっとこんな風に思ったのではないかという腹落ち感の高さが、満足度の高さに繋がる。 コンゴとアマゾンで西欧世界による植民地支配が、実はイギリスとアイルランドの関係なのではないかと気づく瞬間、その人生の転換点を共に見ているような。そういう意味だと映画的な部分もあった。 また日記に記されていることは、彼の願望が書かれていたこともあったのではないか?という解釈が、あまりにも妥当だと自分が日記を書いている身からすると感じられ、それも含めエピグラフの 「我々の一人ひとりは、それぞれ一人ではなく、連続する多数の人間なのだ。そして次々と現れるこの連続する人格は、互いに最も奇妙で驚くべき対照を見せるのが常である」ホセ・エンリケ・ロドー『プロテウスのモチーフ』 がしっくりしすぎるのだ…。自分自身でさえわからぬのがこの自分という存在である。 あとここも印象的だった。 …エドマンド・D・モレルと会話中、キリスト教教育を受け、教養を備え、文明化した人々が、どうして今後で自分たちが記録したような恐ろしい罪を犯したりそれに手を貸したりできるのかと互いに疑問に思ったとき、ロジャーはこう言った。≪歴史、社会、心理、文化の面からの説明がもはや尽きても、闇の中には人類の悪の根源に達するための広大な領域がまだ残っているんだ、ブルドッグ。それをわかろうとすれば、道は一つしかない。考えるのをやめて、宗教に走ることだ。原罪とはそういうものさ≫≪その説明は何の説明にもなってないぞ、タイガー≫…モレルは言い張った。≪悪の最終的根拠が原罪であるなら、もはや解決策はない。我々人類が悪のために創られていて、我々の魂の中には悪が存在するならば、どうして救いようがないものに救いを施そうとするんだ?≫… 愛国主義は正気を奪う。激しい討論の中でアリスはそう言い切った。…≪愛国主義がわたしたちから正気、理性、知性を奪うのを許してはならない≫…だが、そのときジョージ・バーナード・ショーが、そこにいたすべてのアイルランド・ナショナリストに向って言い放った、胸に突き刺さる皮肉な言葉を思い出した。≪それは互いに相容れないものだよ、アリス。間違ってはならない。愛国主義は宗教なんだ、正気とは両立しない。それは単なる反啓蒙主義、信仰という行為さ≫(p.215-216) …どちらもアイルランド人の典型だ。聖人と戦士。…≪彼等に学べ、ロジャー、彼らのようになるのだ≫と彼は、祈りの文句のように繰り返した。(p.476) ロジャーって本当に純粋で真っすぐで、だからドン・キホーテ的でもありながら、この長編小説の主人公になっているのだろうな。。 『ケルト人の夢』刊行記念対談 野谷文昭×ヤマザキマリ(https://tanemaki.iwanami.co.jp/categories/969)こちらも面白かった。 リョサの作品というかラテンアメリカ文学読もうかなあ~~でもエネルギーをまずは回復してからでないと無理だ笑

Posted by ブクログ