元彼の遺言状 宝島社文庫

新川帆立(著者)

• 販売会社／発売会社: 宝島社
• 発売年月日: 2021/10/06
• JAN: 9784299021229

商品レビュー

2024/11/09

第19回 『このミステリーがすごい！』大賞
第11回うつのみや大賞

「完璧な殺害計画をたてよう。あたなを犯人にしてあげる」
高慢で賢い弁護士、剣持麗子のキャラが光っていてめちゃくちゃかっこいい女性ヒーローだった。

僕を殺した犯人に全財産を譲るという栄治の遺言から始まるエンターテイメント型ミステリー。
遺産目当てに自分が殺したと主張する人が殺到。
遺贈対象には元カノリストまで。
他にはない設定にわくわくしながら、遺産相続の知識はなくてもスラスラ読める。

果たして納得のできる決着になるのか疑問だったけど、驚きの真相でしっかり回収してくれた。
すごい構成力だなぁと感心。

事件だけでなく、麗子が道徳的に正しい人たちへ引け目を感じ、法の元では同じように権利があるから自分は弁護士なんだと思い至るところが麗子の人物像に厚みを感じてよいなと思った。

2024/11/01

痛快！新しい女性ヒーロー（ヒロインではなく）像、と言う感じ
何もかもが男性に負けないパワーのある女性

最初、金の亡者すぎて鼻持ちならないな〜と思ったが、読み進めると親も親だし、ここまで強くなれるならいっそ清々しい、と感心するし、弱さも垣間見えてくるし、
嫌なことは寝たら忘れる、とか、
根が脳天気でくよくよ悩まない、とか
素直にうらやましい
辛い事を乗り越えられる強さは、絶対にどんな人間にも必要で、弱い自分を変えられるのは自分しかいない　

作家さんのプロフィールも、本書の解説を読み初めて知ったが、東大卒、弁護士さん、麻雀プロ…
旧友に、試験は満点、運動神経バツグン、就職先も一流、美人ってな女子がいたが、その子を思い出した

帆立さんって変わったペンネームだなぁと思っていたが、本名から一字取ったらしい

これから他の作品も読むぞー！

ストーリーは、周囲の人間を憎ませず、あまり出てこない他人（隣人の獣医）が犯人でハッピーエンドっていう
普段イヤミス系読みすぎでその方が好きなので物足りなかったけど…
解説にあった通り、構成が画期的だったんだろうな
犯人に遺産を譲る、クライアントを犯人として差し出す、etc
元カノ同士のシスターフッド好き
『昨今重要視されている』とあったが、女性からすると、今更？当たり前じゃない？と思った

2024/10/29

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る。」
突拍子もない元彼の遺言状。 その遺言状で揺れる森川家に、高額報酬目的で乗り込む弁護士の剣持麗子。
お金に対する執着が凄すぎると思っていた主人公が少しずつ変わっていく様と、そんな彼女がなぜ弁護士を目指したかの理由がわかった時のほっこり感が楽しかった。
そして元彼の真意も。