商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 明石書店 |
発売年月日 | 2021/09/22 |
JAN | 9784750352329 |
- 書籍
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人間狩り
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人間狩り
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「人間狩りは、不安を利用した統治技術である」 著者が「狩猟権力」と名づける権力の一形態を対象として、その歴史をたどりつつ哲学的な論考を重ねる。巻末の注釈と訳者解題を除いた本文は約200ページ。 「人間狩り」というモチーフに好奇心をくすぐられ、興味本位で手に取った。「人間狩り」に...
「人間狩りは、不安を利用した統治技術である」 著者が「狩猟権力」と名づける権力の一形態を対象として、その歴史をたどりつつ哲学的な論考を重ねる。巻末の注釈と訳者解題を除いた本文は約200ページ。 「人間狩り」というモチーフに好奇心をくすぐられ、興味本位で手に取った。「人間狩り」にまつわる過去の事例をもとに、全12章でそれぞれについて考察を加えていく。各章はおおむね歴史の順で構成され、第一章は古代ギリシャにおける主人と奴隷の関係に始まる。全体を大まかな三つの時代に分類するなら、第三章までの近代以前、新大陸発見以降の人種主義にもとづく「先住民狩り」「黒人狩り」を扱う近代、そして移民問題も含む現代とそれに近い時代となる。 フランスの哲学者による本書は、人間という同じ種族のなかで起こる特殊な「狩り」について、主に哲学的な視点で分析を進める。著名な哲学者の著作もたびたび参照され、専門的な知識や哲学書らしい語り口など私にとっては難解な箇所もあり、ついていけないところも少なくなかった。 頻出する哲学者・思想家はアリストテレス、フーコー、ヘーゲル、アーレントなど。なかでも、のちに植民地時代の人種主義の根拠として流用されるに至ったアリストテレスによる「自然に基づく奴隷」と、奴隷の即時解放という選択肢を拒絶したというヘーゲルの理論については、著者によって徹底的な反駁が加えられている。フーコーに関しては後半以降で引き合いに出される機会が多く、著者に大きな影響を与えていることが訳者解題でも補足されている。 一応、全体に目を通したうえで「人間狩り」について得られる主な理解としては、「人間狩り」は、主人、国家権力、ブルジョワジーといった「支配者=捕食者」が恣意的に人間を線引きすることによって非対称な関係を生み、支配者の優位を決定的にする統治の手法だということ。そして、この区分けは「被支配者=被食者」のなかにも分断を再生産する。 ここにある「人間狩り」の問題は、ほぼ「差別」の問題として置き換えられそうだ。人びとが人種をはじめとした何らかの基準で自分たちと異なる者を蔑み、場合によっては加害するとき、実はその基準には根拠がなく、元々は支配者側の都合によって与えられたものだと知らされる。そして(訳者解題を含めた)本書が最終的に示唆するのは、権力側が設定した人種や国家といった枠組みではなく、それらを横断した「被食者」階級間の連帯の必要性にあるようだ。 「この共同体の究極的な目的とは、人間同士の捕食関係に抗って集団の保護を確立することである」 第12章の後にくる6ページの「結論」は、実質的には本書全体の要約にあたる。気になる方は、この「結論」と、本書を手厚く解説している「訳者解題」を先に試されるのも良いと思います。
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人間が人間を狩る、人間狩りについて、古代ギリシャの奴隷から現代の不法移民までを哲学的に論じている。古代ギリシャで家政的なものであった狩りが環大西洋の奴隷狩りによって空間的に広がり、異人種狩りが国家レベルまで引き上げられたとする。 奴隷や人狩りは世界中で行われていたにもかかわらず、...
人間が人間を狩る、人間狩りについて、古代ギリシャの奴隷から現代の不法移民までを哲学的に論じている。古代ギリシャで家政的なものであった狩りが環大西洋の奴隷狩りによって空間的に広がり、異人種狩りが国家レベルまで引き上げられたとする。 奴隷や人狩りは世界中で行われていたにもかかわらず、欧州や米国の以外の事例に乏しいことから、本書の議論は西洋の文脈に止まっているように思えた。
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