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精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突
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精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

アン・ファディマン(著者), 忠平美幸(訳者), 齋藤慎子(訳者), 江口重幸

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精霊に捕まって倒れる 医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2021/08/04
JAN 9784622090267

精霊に捕まって倒れる

¥4,400

商品レビュー

4.6

10件のお客様レビュー

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2025/04/02

 ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子リア・リーがてんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれる。家族も病院スタッフもどちらも少女を救おsうと懸命に努力するのだが、文化の違いや言語の壁などから行き違いが積もってしまっていた。  著者はリアの両親や家族、治療に当たっ...

 ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子リア・リーがてんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれる。家族も病院スタッフもどちらも少女を救おsうと懸命に努力するのだが、文化の違いや言語の壁などから行き違いが積もってしまっていた。  著者はリアの両親や家族、治療に当たった医療関係者等にインタビューを重ねるなどして、どのような状況であったのか、どのように考え、どのように対処したのか、相手方の気持ちや態度をどのように感じていたのか、などを丹念に明らかにしていく。  本書のタイトル「精霊に捕まって倒れる」とは、モン語で<カウダぺ>、魂の喪失によって引き起こされる病として受け取られている。それに対し病院での診断はてんかん。同じ現象を見ていても、モン族の人間と西洋医学の専門家である医者とでは異なる考え方を持つであろうことが、このワード一つからもうかがわれるところだ。    現代医学では薬の投与は基本的な治療方法だろうが、嫌がる子どもに薬を飲ませるのは大変だし、言語の壁があり正確な意思疎通を図ることが難しい中で、良く分からない薬を定期的に服用させることは困難だった。それが薬を飲ませない=虐待であると医師側からは思われてしまい、親子は法的手続を経て、一時引き離されてしまうという悲劇まで生じてしまう。  本書を通して、異文化理解の難しさ、患者・患者家族の気持ちに対して現代医療はどのようにあるべきなのか、といった重い課題を考えさせられた。  それにしても、当時実際に治療に当たった医療従事者が、あまり語りたくはないであろうことまで率直に話してくれている態度にはー著者のインタビュー能力の高さもあるのだろうがーかなり驚いた。  また、モン族の人々がなぜアメリカに来ることになったのか、ベトナム戦争という時代背景も学ぶことができた。

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2025/03/01

異文化コミュニケーションの事例として、これを超える本はないのではないか。下手に理論を勉強するより、こういった事例を学ぶ方が良い。 文明vs非文明民族の対立を描いている。私は非文明民族の視点を持って生きていきたい。

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2023/12/20

2019年にSlate誌「この四半世紀の最も優れたノンフィクション50作」に選ばれた作品。初出は1997年で、15年後の改訂版を日本語訳したもの。 長距離フライトの往復で読み切った。初めて飛行機の中の時間が速く過ぎたと感じた。 モン族という現在のラオスやタイ、ベトナムの山岳地帯...

2019年にSlate誌「この四半世紀の最も優れたノンフィクション50作」に選ばれた作品。初出は1997年で、15年後の改訂版を日本語訳したもの。 長距離フライトの往復で読み切った。初めて飛行機の中の時間が速く過ぎたと感じた。 モン族という現在のラオスやタイ、ベトナムの山岳地帯を起点とする家族と、その家族の一人である「患者」を診る米国の医療者たちの関係が中心に描かれる。読み終わった後には、立場の違いなく、様々な登場人物に畏敬の念を抱いた。 モン族の生活や背景、歴史事情、医療行為など、高度で入り組んだ理解が必要なテーマがいくつも折り重なっているのに、ほとんどの前知識を必要とせずにこの本を読むことができる(もちろん、事前に知っていることが多いほど理解できることは多いはずであるが、この本を読み通したり、面白いと思うためには前情報は必要ない)。それは、筆者が多くの背景を省略しており「かいつまんで描く」ことが上手であるためではない。むしろその逆で、例えばこの本では欠かすことのできないベトナム戦争(とモン族の関わり)について多くの部分を割いて説明している。それなのに、驚くほど読みやすいし、洗練されている。とはいえ、話は入り組んでいるし、長い時間と多くの登場人物を追いかけたノンフィクションなので、ページ数は多い。この分厚さと内容の割に読みやすく感じるのは、この筆者の持つユーモアのセンスだと思う。決して明るい話ではないのに、言葉選びと構成のおかげで時折くすっと笑ってしまうようなエピソードがたくさんある。 最後に、この本を母語で読めることに感謝したい。いくら読みやすいと言っても、英語ではなかなか理解しがたかったと思う。色々な人の手に渡ってほしいと思える作品だった。

Posted by ブクログ