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少年愛文学選 平凡社ライブラリー917
1,980円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2021/04/26 |
JAN | 9784582769173 |
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少年愛文学選
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少年愛文学選
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
死と隣接する。「少年愛」という共通のテーマのもと集められているが故に、語り口の違いが際立つ。よかった。
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・高原英理編「少年愛文学選」(平凡社ライブラリー)は折口信夫や稲垣足穂等、15人の作家の作品を収める。日本人 だけである。しかもここには塚本邦雄や春日井健の歌人もゐる。折口も歌人だが、2人とは毛色が違ふ。塚本、春日井は戦後日本を代表する歌人である。塚本は1ページだけの作品「贖」(...
・高原英理編「少年愛文学選」(平凡社ライブラリー)は折口信夫や稲垣足穂等、15人の作家の作品を収める。日本人 だけである。しかもここには塚本邦雄や春日井健の歌人もゐる。折口も歌人だが、2人とは毛色が違ふ。塚本、春日井は戦後日本を代表する歌人である。塚本は1ページだけの作品「贖」(381頁)、所謂ショートショート、あるいは塚本の瞬編小説であらう。かういふのは塚本には、たぶん、いくつもある。春日井は例の歌集「未青年」からの抄出、いかにもそれらしいのが並ぶ。最後の「わが手にて土葬をしたしむらさきの死斑を浮かす少年の首」(387頁)は、最初の「大空の斬首ののちの静もりか没ちし日輪がのこすむら さき」(383頁)と見事に呼応してゐる。抄出の仕方にもいろいろと工夫があるのだらう。もしかしたらこれだけで春日井健ファン が生まれるかもしれない。と、書いてゐてふと思ふ、これは少年愛小説のアンソロジーなのだと。塚本は例の思はせぶりだが、春日井は直球である。ただし小説ではない。だからこそ、小説とは違ふ少年愛の形が生きてくるのであらう。 ・「編者解説」に三島由紀夫のエピソードが出てゐる。簡単に書けば、knabenliebeの訳として「男色」はきたないが、 「少年愛」は清らかに感じる(410頁)といふのである。これは「前近代の性制度である『男色』は性欲の名称であ」(同前)り、 「近代に発生した(プラトニック・ラブを含む)恋愛の形としての『少年愛』」(同前)はさうではないことによる。確かに、web で検索すると、近世の衆道は男色の道だとある。男色とは何か。男性の同性愛である。日本の近世ではここに若衆歌舞伎が絡むし、陰間も出現する。三島にはこれが頭にあつたのであらう。だから男色はきたない、knabenliebeは少年愛だと言つたのである。もしかしたら三島には、古代ギリシァの「誠実な少年愛paiderastiaを不誠実なものと区別し,奴隷との男色は禁じたが自由民どうしのそれは公認している。」(世界大百科事典)といふ事情があるのかもしれない。最近の少年愛はどうなのでらうか。 少年愛と言はずにboys loveと言ふのであらうか。「美少年同士の恋愛や性愛を題材とする、おもに女性向けの小説や漫画、アニメ、ゲームなどにおける作品ジャンル。」(日本大 百科全書)、略してBLとある。さうするとこの「少年愛文学選」の作品は最近流行のBLではないらしい。当然のことである。巻頭 の山崎俊夫「夕化粧」(9頁)には角書きの「市彌信夫」の2人の名前がある。近松のお初徳兵衛の類である。実際、最後に2人は心中をする。そして絶世の美少年であつた。折口の「口ぶえ」も美少年である。最後は「今、二人は、一歩岩角をのり出した。(前篇 終)」(122頁)で終はる。しかし、「後篇が書き継がれることはなかった」(415〜416頁)といふ。これも心中物である。 以下、少年愛の物語が続く。しかし、個人的におもしろかつたのは、巻末の編者高原英理「青色夢硝子」であつた。これは「かつての少年愛文学が現代の作品にどのような影響をもたらしたかという一例として」(421〜422頁)載せられた作品である。言はば少年愛文学の変奏曲であるといふ。SFなのであらう。夢物質、夢粒子、夢結晶、夢想結界等の見慣れない語が出てくる。夢結晶が「あれば、時間を超えて未来を見通せるじゃないだろうか。」(403頁)といふわけで、少年愛を読み続けてきていささかくたびれた人間にはありがたい作品であつた。ある意味、一服の清涼剤である。これでこの選集も救はれたとのではないかと思ふのである。
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男性作家による「少年愛」をテーマに編まれたアンソロジー。面白さでいえば川端康成の「少年」だ一番でけど、初めて読んだ山崎俊夫の「夕化粧」の雰囲気が印象深い。ちょっと他の作品も読んでみたい。収録作の中では編者である高原英理の「青色夢硝子」がやや浮いている印象が拭えずこれはない方が良か...
男性作家による「少年愛」をテーマに編まれたアンソロジー。面白さでいえば川端康成の「少年」だ一番でけど、初めて読んだ山崎俊夫の「夕化粧」の雰囲気が印象深い。ちょっと他の作品も読んでみたい。収録作の中では編者である高原英理の「青色夢硝子」がやや浮いている印象が拭えずこれはない方が良かったように思う。 しかし、それ意外の作品のチョイスは良く、いずれも読んで面白く収録作の構成も良く考えられている。また、編者による解説もなかなか読み応えのあるもので良かった。
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