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中国農漁村の歴史を歩く 学術選書095
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中国農漁村の歴史を歩く 学術選書095

太田出(著者)

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中国農漁村の歴史を歩く 学術選書095

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 京都大学学術出版会
発売年月日 2021/04/09
JAN 9784814003204

中国農漁村の歴史を歩く

¥1,980

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2024/07/21

予想を遥かに上回り大変おもしろかった! ・華南農村(村落の歴史や移住の来歴、迎神賽会からみる村の構造など) ・太湖流域の船上生活漁民(暮らしぶりや水面の所有権、近代国家による漁民の統治など) ・日本住血吸虫病(病気の内容と事例、防疫と政治) の3フィールドが取り上げられている。 ...

予想を遥かに上回り大変おもしろかった! ・華南農村(村落の歴史や移住の来歴、迎神賽会からみる村の構造など) ・太湖流域の船上生活漁民(暮らしぶりや水面の所有権、近代国家による漁民の統治など) ・日本住血吸虫病(病気の内容と事例、防疫と政治) の3フィールドが取り上げられている。 中国農漁村への理解がとても深まる。 このうち太湖船上生活漁民の話は特におもしろかった。 その貧しい暮らしぶりを初めて知ったし、「漁覇」が水面の所有権を持っているので(何を根拠に???)漁に出る際には使用料を払わないといけないなど理不尽すぎてかわいそう。 近代以降、国家が船上漁民も統治の対象に組み入れようとしてきた歴史も興味深い。 「漁覇」は中華民国時代、漁民を直接管轄する行政職も担わされ権限を強化した一方、共産党統治下では地主扱いされて処刑されたとか、まさに統治主体が変わるたび民衆が翻弄されてきた近代中国史そのもの。 共産党が漁民たちを陸上に定住させた点は、モンゴル族に遊牧を放棄させ定住させたのを思い出した。やはり動き回る民は統治しにくいのだな。 私はやはり、「周縁化された人々」に強い関心がある。 加えて、近年の領土領海問題においては「周縁に押しやられていた漁民は国家を代表する尖兵とみな」されるようになり、彼らは領海や漁業権を主張する海洋において国旗をはためかせて操業するという形で「強力に『国民化』が推進されている」という指摘、めちゃくちゃ面白い。 陸から水上へ戻ってしまう人もいるなどイマイチ上手くいっていなかった国家による漁民の国民化が、図らずしもこんな形で実現してしまうなんて。 ナショナリズムは統治に抜群に効く装置なのだと改めて感じさせられる。 日本住血吸虫病で面白かったのは、この病気の消滅作戦から50年以上がたったコロナ禍の中国において、「疫病と力強く闘う中国共産党習近平指導部」を称揚する文脈において、この病気が使われていたという指摘。 「習近平は自らを毛沢東以来の、感染症と闘い人民の生命を救った偉大なる指導者として描いてみせた」。 今も昔も、感染症対策と政治は密接な関係があるものなんだな。 とにかく学びが多い一冊。

Posted by ブクログ

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