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フォックス家の殺人 新訳版
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フォックス家の殺人 新訳版
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商品レビュー
4
16件のお客様レビュー
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十二年前の殺人事件に挑むエラリーのお話。どうあがいても不利になっていく状況を、冷静な視点と判断力で有利に変えていくエラリーが凄すぎた。ページ数の多さの割にサクサク読めるし、そこまで不快な妨害行為も無かったので面白かった。まあ遺書を盗んでエラリーに怪我させたヤツもいたんだけども。まあそれくらいはミステリのお約束ということで。無実だけを求めるだけなら良かったものの、真実を追求してしまったために悲しい結末を迎えてしまうのにびっくりしたけど、親の愛は偉大だなあと思わせるエンドだった。
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ライツヴィルシリーズのエラリーは、感情豊かで心優しい青年。エラリーの心の動きも言葉ではっきりと書かれているので、それがしっかりと読者にも伝わってくる。そのため、前作に引き続きこの作品もどこか憂いや悲しみが漂っている。 ほんの些細な好奇心が、大切な人の命を奪い、大切な人の人生を奪ってしまった。それを何とか隠し通そうとするエラリー。残酷な事実を覆い隠すために吐く優しい嘘。それでも、真実を希求するものにはきちんと伝える信念を持っている。 推理小説としての要素の部分で言えば、「毒は誰が、どこに仕込んだのか」という点が最後まで残る謎となっている。エラリーは事件現場を舞台に、当時の状況を詳細に再現していく。水差しに残されたぶどうジュースのすじをめぐる実験などが特に興味深かった。 この作品の中で一番胸にきたのは、戦争を終え心に傷を負って帰還したデイヴィーの苦しみだった。PTSDやサバイバーズ・ギルトなどの概念がまだ確立されておらず、他人にはなかなか理解してもらえないのがもどかしくて苦しい。妻のリンダやその家族は理解しようと力を尽くすが、どうしてあげたらいいのかわからないというまた別の葛藤を抱くことになる。そういった中での一縷の望みがデイヴィーの父の無実を証明することだったので、エラリーは真実を捻じ曲げたのだろう。デイヴィーが抱えたこの苦しみは、フィクションと言えど間違いなく実在した誰かのもの。ベトナム戦争から帰還した兵士もそうだったはず。デイヴィーがリンダを手に掛けようとしてしまったのは父のことがあったからではなく、実は潜在的な部分で自分が母を死なせてしまったことを自覚しているのでは、と空寒くなった。 若い夫婦を含むフォックス家の今後が、町のお節介連中にかき乱されることなく穏やかなものであってほしい。 国名シリーズファンとしては、父親を便利使いするエラリーが見られて安心。
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ハッピーエンドのようでもあり、バッドエンドのようでもある。こんなミステリーは読んだことがないかもしれない。読了後になんとも言えない感情になるのはライツヴィルシリーズらしい。前作「災厄の町」に勝るとも劣らない巨匠クイーンの傑作。
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