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上間陽子(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2020/10/29
JAN 9784480815583

海をあげる

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商品レビュー

4.1

253件のお客様レビュー

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2024/09/29

私にも筆者と同じ年頃の娘がいる。 最近、歴史上の人物の伝記を短くまとめた本をよく読み聞かせてほしいと持ってくる。 その中で少しずつ歴史に興味を持つようになった娘に質問をされる。 今も戦争をしている国はあるの? 私は、日本の戦争は終わったけれど、まだ戦争をしている国はあるよと答えた...

私にも筆者と同じ年頃の娘がいる。 最近、歴史上の人物の伝記を短くまとめた本をよく読み聞かせてほしいと持ってくる。 その中で少しずつ歴史に興味を持つようになった娘に質問をされる。 今も戦争をしている国はあるの? 私は、日本の戦争は終わったけれど、まだ戦争をしている国はあるよと答えた。 でも、この本を読んで、ああ、まだ日本の戦争は終わっていなかったんだと思った。 あんなにも美しい海を眺めながら、汚染された水に、軍機の爆音に悩まされている沖縄の人たちがいると知った。 手渡された海はあまりにも重い。

Posted by ブクログ

2024/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノンフィクション大賞受賞作品だったのですね。でも本書はエッセイですよね。ノンフィクションといえば確かに内容的にもそう言えますがエッセイ要素のほうが大きい。 たくさんのレビューがすでにあるので気後れしますがみなさんとはちょっとズレたところで少し感想を。 本書通読でまず思ったのは、食べられることが生きる力であるということ。それは私自身がいつも思っていることでもありますが本書を読んで改めて痛感。 まず最初の章は著者自身がご飯が食べられなくなった話から始まります。 そしてその後の章では娘さんや調査で関わった人たちや母、祖母などの話が出てきますが、著書が娘さんの食欲に気持ちを支えられていると感じられる箇所が随所に出てきます。 本書の中でもおばあちゃんのことを書かれた「空に駆ける」が一番好きでしたが、その中でも手術したあとのおばあちゃんがご飯を食べなくなり眠れなくなってぼんやりするようになった話が出てきます。その後対策を講じた著者の母が介護計画を立て一緒にご飯を食べるようにしたらたくさん食べられるようになり眠れるようにもなったとのこと。 きちんと食べられること、人と関わることの大切さをつくづく感じます。 娘さんのキャラクターが本書の力強さ、清涼剤にもなっていて読んでいるこちらも力をもらえます。それにしても「おせんべいがもらえるから誘拐される」には大笑いしてしまいました。いや、親御さんにしたら笑い事には済まされないとはわかるのですが、子供ってすごいなと素直に思わされるエピソードでした。 沖縄に住まない人間にとって沖縄の真実についての無知さ加減には埋めがたい断絶があるのだなと理解しました。 「富士五湖」や「湘南の海」に土砂を入れられるといえば吐き気を催すような気持ちは伝わるだろうか?という著者の言葉には怒りはもちろん感じるけれど伝わらなさをもどかしく感じる悲しみのようなものも感じました。 生活の日々の中で感じている、そこに住む人にとって黙らざるを得ない真実というものは、他所に住む人間にこうして伝えられても血肉として体感するようにはやはり理解はできないことだと思います。こういうと冷たく感じられるかもしれないけど冷たいかそうでないかではなくそれは現実だと思います。 けれどそういう中から「本当には理解はできないと思うけれど知らないことにはしない、知ろうとする努力はしていく」こと、「今は黙るしかなくても上げられる声は上げていかなくてはいけない」ということを、他所に住む人間として頭に置いてこれからはしていかなくてはならないだろうと思いました。 そう思ったのはこれを読んだ私たちは著者から「海をもらった」からでしょう。

Posted by ブクログ

2024/09/21

本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞作品。 まず感じたのが、これってノンフィクションなの?エッセイじゃないの? タイトルや受賞スピーチから沖縄の基地問題に関する話しなのかと思ったが、それだけでなく筆者が関わっている様々な種類の社会問題について書かれていた。 筆者自身の家族や娘...

本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞作品。 まず感じたのが、これってノンフィクションなの?エッセイじゃないの? タイトルや受賞スピーチから沖縄の基地問題に関する話しなのかと思ったが、それだけでなく筆者が関わっている様々な種類の社会問題について書かれていた。 筆者自身の家族や娘の話しなどプライベートなことから、若年出産の問題で関わる若者たち、大学の教え子とのやりとりなど話題は多岐にわたる。 文章自体は平易で読みやすい一方、内容は濃い。 でもさくさく読めて、数時間で一気に読み切ってしまった。 ただ、色々な問題がどれも途中までで終わるというか、問題が投げかけられてハイおしまい。 しんどいまま終わるので、こちらの精神が安定しているときに読まないと受け止めきれなくてこちらがしんどくなってしまう。 他人事じゃない、一人ひとりの問題だから目を背けず考えろっていう、それこそが筆者の狙い、読み手への問いかけなのかもしれないけど。 彼女自身の思いを全て詰め込んだ一冊なんだろうが、もっと一つひとつの問題にしっかり向き合いたいというか、分からないままだったり取り残されている感じがしたりで、宙ぶらりんなところも。 あとがきを読み誰かに伝えたかったという筆者の強い思いを感じ、知ることができただけでも、それで筆者が救われるなら、私がこの本を手に取った意味が少しはあったのかなとは思えた。

Posted by ブクログ

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