商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
| 発売年月日 | 2020/10/29 |
| JAN | 9784480815583 |
- 書籍
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海をあげる
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海をあげる
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商品レビュー
4.2
298件のお客様レビュー
沖縄の海と娘たちの日常が、こんなに柔らかく、そしてこんなに痛みを伴って描かれるとは思いませんでした。 美しい景色のすぐ隣に、貧困や暴力や基地問題といった現実が当たり前のように転がっていて、読んでいて胸がざわつきました。 それでも上間さんの文章には、怒りや悲しみだけでなく「それでも...
沖縄の海と娘たちの日常が、こんなに柔らかく、そしてこんなに痛みを伴って描かれるとは思いませんでした。 美しい景色のすぐ隣に、貧困や暴力や基地問題といった現実が当たり前のように転がっていて、読んでいて胸がざわつきました。 それでも上間さんの文章には、怒りや悲しみだけでなく「それでも生きていく力」が静かに宿っていて、救いの気配がちゃんとあり、読者を置いていかない配慮がありました。 一方で、重いテーマが続くぶん、読み進める体力はそれなりに求められるし、現実を受け入れるための時間も必要です。 でも、だからこそ最後に残る余韻が強い。誰かの生活の重さを、そのまま受け取るような一冊でした。
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- ネタバレ
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短編集なんか?エッセイなんか?構成が私にはあまりよくわからなかった。沖縄の女性問題について取り上げられているのかと思いきや1部だけであったため私が読みたい作品系統とは違った。 沖縄の基地問題はどこか遠くの国の話のように捉えてしまっているところがあるなと痛感させられた。 沖縄の島特有の文化や食べ物「ムーチー」が出てきたり知らないことも多くあったため学びになった。
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2026.39 ぽろぽろ泣きながら、でも一気に読んだ 「海をあげる」とはどういうことなのか 戦争や性犯罪や環境汚染 沖縄に私たちが押しつけているものは何か ずっと覚えておきたいし 覚えておくべきエッセイ 私には何ができるのか ===== P9 娘にごはんのつくり方を教える...
2026.39 ぽろぽろ泣きながら、でも一気に読んだ 「海をあげる」とはどういうことなのか 戦争や性犯罪や環境汚染 沖縄に私たちが押しつけているものは何か ずっと覚えておきたいし 覚えておくべきエッセイ 私には何ができるのか ===== P9 娘にごはんのつくり方を教える日が来ることを楽しみに待つ。自分のためにごはんをつくることができるようになれば、どんなに悲しいことがあったときでも、なんとかそれを乗り越えられる。 P44 あそこは、ニライカナイだよ。死んだひとはニライカナイに行くという伝説があるよ。 P51 遊歩道の湧水だけじゃなくて、今度は水道水がアウトだなんて、なんだか本当にまいっている。こんなに爆音があって、これ以上ひどいことはないと思っていたら、スプレイがやってきた。あのときと一緒で、このままここで暮らして大丈夫かな、引っ越さなくていいのかなって思っている P53 いま、まっただなかで暮らしているひとは、どこに逃げたらいいのかわからない。 P56 女性が逃げたルートを聞いて息をのむ。それは住民を盾にして移動した、日本軍の壊滅のルートだ。その先々で起こったことを、戦争が終わったあとで生まれた私たちは知っている。 P58 弟は、遺体を片付けるために外に出て爆撃を受けて死んだ。妹は、親戚の子どもたちのミルクを取りに行って帰ってこなかった。父親は、一家のお金を女性に託したあとで爆撃を受けて死んだ。親戚のお姉さんは、子どもと自分は何があっても一緒にいるからここに置いていきなさいと言って、そして子どもたちと一緒にいなくなった。 P62 地形が変わるほどの爆弾が撃ち込まれるのが戦争だということを、子どもたちが沢々と亡くなるのが戦争だということを、子どもと自分はいつまでも一緒だと告げて亡くなった母親がいるのが戦争だということを、飢えと恐怖で生理が止まるのが戦争だということを、そして、あのおばあちゃんはそれらのぜんぶを体験したあと、もう一度、あそこで土をたがやして生きてきたのだということを、どのように娘に伝えたらいいのかわからない。恐怖で眼を見ひらく娘に、戦争があったのはほんとうにはるか遠く、これはむかしむかしのお話だと、君はいつか娘に言ってあげられるのだろうか。 P230 でもね。風花。大人たちはみんな知っている。護岸に囲まれたあの海で、魚やサンゴはゆっくり死に絶えていくしかないことを。卵を孕んだウミガメが、擁壁に阻まれて砂浜にたどりつけずに海のなかを漂うようになることを。私たちがなんど祈ってもどこからも王妃や姫君が現れてくれなかったことを。だから私たちはひととおり泣いたら、手にしているものはほんのわずかだと思い知らされるあの海に、何度もひとりで立たなくてはならないことを。そこには同じような思いのひとが今日もいて、もしかしたらそれはやっぱり、地上の王国であるのかもしれないことを。 P240 そして私は目を閉じる。それから、土砂が投入される前の、生き生きと生き物が宿るこっくりとした、あの青の海のことを考える。ここは海だ。青い海だ。珊瑚礁のなかで、色とりどりの魚やカメが行き交う交差点、ひょっとしたらまだどこかに人魚も潜んでいる。私は静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。私は電車でこれを読んでいるあなたにあげる。私は川のほとりでこれを読んでいるあなたにあげる。この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに、海をあげる。 P251 私もまた、いつか娘に海を渡すのでしょう。その海には絶望が織り込まれていないようにと、私はそう願っています。この本を読んでくださる方に、私は私の絶望を託しました。だからあとに残ったのはただの海、どこまでも広がる青い海です。
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