商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2020/10/29 |
JAN | 9784480815583 |
- 書籍
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海をあげる
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海をあげる
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商品レビュー
4.2
257件のお客様レビュー
本土に出るには飛行機に乗らないといけなかったり、好きなアーティストのグッズを買うのに高い送料を払ったり、本土の人と明らかに経験できることが違ったりで、正直沖縄で生まれ育ったことに対してそこまでいいなと思ったことはなかった。 だけどこの本を読んで、沖縄に生まれたというアイデンティテ...
本土に出るには飛行機に乗らないといけなかったり、好きなアーティストのグッズを買うのに高い送料を払ったり、本土の人と明らかに経験できることが違ったりで、正直沖縄で生まれ育ったことに対してそこまでいいなと思ったことはなかった。 だけどこの本を読んで、沖縄に生まれたというアイデンティティを大切にするべきだと思ったし、せっかく沖縄に生まれたんだから地元のことをより知ろうと思えた。
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上間陽子(1972年~)氏は、沖縄県コザ市生まれ、東京都立大学博士課程退学後、未成年少女たちの支援と調査に携わり、2015年からは引き続き沖縄県で、風俗調査、沖縄階層調査、若年出産女性調査等を続ける。琉球大学教育学部研究科教授。本書『海をあげる』で、「Yahoo!ニュース/本屋大...
上間陽子(1972年~)氏は、沖縄県コザ市生まれ、東京都立大学博士課程退学後、未成年少女たちの支援と調査に携わり、2015年からは引き続き沖縄県で、風俗調査、沖縄階層調査、若年出産女性調査等を続ける。琉球大学教育学部研究科教授。本書『海をあげる』で、「Yahoo!ニュース/本屋大賞ノンフィクション本大賞」(2021年)、「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」(2021年)を受賞。 本書は、「webちくま」に2019年4月~2020年3月に連載されたものを中心に、「新潮」への掲載作と書きおろしを加えた、12編のエッセイをまとめたもの(一部加筆修正)である。 私はノンフィクション物を好んで読み、本書も発刊当時に書店の平台に並んでいるのを目にはしつつ買いそびれ、今般新古書店で入手して読んでみた。 また、私は通常、最初に目次とあとがきを見て本の概要を掴むのだが(それでつまらなそうなら読まない)、本書については偶々それをすることなく、いきなり読み始めたところ、文体は平易で読み易いものの、内容はなかなか硬質なエッセイ集であった。 取り上げられるテーマは、若年出産をした女性や風俗業界で働く女性であり、著者本人が若いときに配偶者と友人に裏切られた経験であり。沖縄の米軍基地問題、とりわけ、普天間基地と辺野古の埋め立てについての現状であり、言わば、力を持たず、時に差別さえされるものの声なき声である。 著者は、「聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない」と書き、「言葉以前のうめき声や沈黙のなかで産まれた言葉は、受けとめる側にも時間がいる」とも書く。自らがそちら側にいた、いや、いる人だからこそ受け取ることができ、書くことができる言葉には重みがある。 そして、本書を他書と画する最大の特徴は、食べることが大好きな著者の娘・風花の存在である。著者が悩み、怒り、泣いている間にも、娘は一日一日成長していく。端々に登場するその様子が、ややもすれば重く暗くなりがちな全体に、希望の明かりを灯しているように思われる。 本質的にはかなり硬い内容といえる本書が本屋大賞を取ったというのは、少々驚きではあるが、それだけ多くの人々(特に若者)がエンパシーを感じたのだとすれば、我々の将来についても悲観的にばかりなる必要はないのかも知れない。 (2024年11月了)
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ほんとうに、これは読むことのバトンを渡したいと思う本だ。 沖縄で小さな娘の成長を見守りながら描かれたエッセイ、という形で届けられた、優れたノンフィクション。 柔らかな感受性の中に、きちんとした芯が感じられて、言葉がすーっと入ってくる。 生活と人柄のぬくもりが伝わる、いいエッセイだ...
ほんとうに、これは読むことのバトンを渡したいと思う本だ。 沖縄で小さな娘の成長を見守りながら描かれたエッセイ、という形で届けられた、優れたノンフィクション。 柔らかな感受性の中に、きちんとした芯が感じられて、言葉がすーっと入ってくる。 生活と人柄のぬくもりが伝わる、いいエッセイだなと思う。 上間さんが抱えた傷、娘である風花ちゃんへの愛情は、舞台が沖縄でなくても普遍的に共感できる。 でも、沖縄に住むからこそ伝えたい現実があるのだと知るほど、深く言葉が刺さってくる。 沖縄での出口が見えない問題に押しつぶされそうな呻き声が散りばめられている。 差し出された海を、土砂で濁った海を拒絶するわけにはいかない。 耳を塞ぐわけにはいかない。 ここからは私見。 沖縄については、「ファクト」を知ってほしいと思う。 基地建設のための埋め立て工事が、資金投下しても見通しが立たない難事業であること。 米軍側が、軍事的には利用価値が低い政治の妥協点だとみなしていること。 結局、普天間の解決につながってないこと。 これらは「隠された不都合な真実」なんかじゃない。全国紙にたびたび掲載された、誰でも接するはずのオープンな情報だ。 基地の県内移設を決めたときの橋本龍太郎首相や沖縄県内の関係者の方々には苦渋の思いがあったと、想像する。 問題は、いま現実としてここまで継続が難しい案件をなぜ中止できないかということ。 いったん、始めてしまったことを止められないことが、政治でも身の回りでも、余りに多いのではないか。 すでに決まったことに反対するな、という思考停止した声を聞くたびに、情けなく思う。 辺野古が唯一の解決策だと繰り返す政府の思う壺なのが悔しい。 いや、いつだって最適な答えを探していくことが一番大事だろう。
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