商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2020/09/03 |
JAN | 9784152099648 |
- 書籍
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人はなぜ憎しみあうのか(下)
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人はなぜ憎しみあうのか(下)
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戦争が、国家を再定義し、修正してきた。本書をこんな論旨で読んだ。 極力多めの仲間を持つことが、「資源の獲得や自己防衛」に対し有効である。そのようにして、集団化が進んでいく。文明が進みにつれ、この集団化が国家という形をとって膠着しつつあるが、その揺らぎこそが「戦争状態」である。国...
戦争が、国家を再定義し、修正してきた。本書をこんな論旨で読んだ。 極力多めの仲間を持つことが、「資源の獲得や自己防衛」に対し有効である。そのようにして、集団化が進んでいく。文明が進みにつれ、この集団化が国家という形をとって膠着しつつあるが、その揺らぎこそが「戦争状態」である。国単位でみればこうした現象論は非常に納得感があるが、そもそもこれは個人単位、部族単位で発生していた内容。その原点や名残、というのがある。それが「言葉」であり「儀式」であるのだろう。 ― アイデンティティの融合としての儀式。儀式に参加する者たちは、自分自身と集団とそのメンバーたちを全く同一のものとみなす。模倣することが難しい。通常よりも、コストが高くつくような儀式を実践することによって、より結束を高める。 次に、その集団の中での個人の役割について。我々の本能は、集団に所属するとき、他人との類似性を求める一方で、人として唯一無二の存在でありたいとも思い、この両方が均衡する最適なポイントをみつけようとする。この心の動きを、心理学では「最適弁別性理論」と呼ぶらしいが、こうして「存在価値」を見出していく。こうした文明の発生から辿っていくと、自身の存在についても見えてくるような気がする。但し、どこまで言っても人間存在は機能論でしか語れない。自己防衛の手段として集団化したが、集団化が自己目的化し、「その一部として輝く事が生き甲斐だ」、という考え方だ。つまり、〝承認欲求“にたどり着く。 ― 狩猟採集民のバンドが集まってできた社会から、巨大な帝国にいたるまで、自身の主権を自発的に手放して、いっそう大きな社会を建設したことは一度もない。人々と土地の両方を攻撃によって獲得することと、自発的ではない合併をすることで、異なる社会がひとつの囲いのなかに入れられてきた。ギリシアの哲学者ヘラクレイトスは戦争は万物の父であると言ったが、それは正しかった。中東から日本、中国からペルーにいたるあらゆる地域で、社会から文明が生み出された手法はひとつしかなかった。それは、人口の爆発的増加と領土の拡大を、武力か支配によって組み合わせるというものだった。 平和的手続きで「主権」を手放すことが、起こりえるか。EUにおいても通貨発行権、シェンゲン協定による国境検査の撤廃、関税などを手放すことはできたとしても、完全ではない。憲法、自衛権と言語(教育)など、根源的な内容は維持される。これを突破するには、戦争しかない、という理屈は良くわかる。 国を統合しても、国の内部での収奪の構造は変わらない。 国家間の収奪の構造をいかに脱するか、既に収奪と自衛に関する競争の領域は形を変えつつある。
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国家という形の社会は永続的なものだ、と錯覚してしまうのは、私が日本という国にアイデンティティがあるからなのかもしれない。本書を読んでいてそのように思い至った。 世界に目を向ければ、「国」というものは決して安定していないということがわかる。国を連帯させたもの、たとえばEUなどはなお...
国家という形の社会は永続的なものだ、と錯覚してしまうのは、私が日本という国にアイデンティティがあるからなのかもしれない。本書を読んでいてそのように思い至った。 世界に目を向ければ、「国」というものは決して安定していないということがわかる。国を連帯させたもの、たとえばEUなどはなおさらだ。 長い目で見れば必ず終わりがある「社会」。ではなぜ社会などというものがあるのか思いを馳せてしまう。 単純に読み物として面白いし、社会というものへの認識に一石を投じてくれる、実に学びの深い一冊。
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12660246178.html
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