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ヨコハマメリー 白塗りの老娼はどこへいったのか 河出文庫
1,078円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2020/08/26 |
JAN | 9784309417653 |
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ヨコハマメリー
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ヨコハマメリー
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映画『ヨコハマメリー』を撮った監督が自らの筆で、<メリーさん>に関心をもったきっかけから、映画を撮ろうと思い立ち多くの苦労や努力を経て完成にこぎ着けるまでの製作過程を描いた。 そもそもメリーさんとは? 歌舞伎役者のように顔を白く塗り、白いドレスに身を包み、横浜伊勢佐木町界...
映画『ヨコハマメリー』を撮った監督が自らの筆で、<メリーさん>に関心をもったきっかけから、映画を撮ろうと思い立ち多くの苦労や努力を経て完成にこぎ着けるまでの製作過程を描いた。 そもそもメリーさんとは? 歌舞伎役者のように顔を白く塗り、白いドレスに身を包み、横浜伊勢佐木町界隈で立ちんぼをしていた老娼。その異様な風体から多くの人がその存在を知る有名人だったが、作者が関心を持ち作品化を考え始めた1997年には、姿を消してしまっていた。作者は、メリーさんに関する記事を探し、彼女を写した写真集を見つけ、彼女を知る人や関わりを持った人を訪ね、彼女の足跡を追って少しずつその人生に近づいていく。 そして、「メリーさんという対象不在のドキュメンタリー。メリーさんと関わっていた人たちに、彼女と交流したエピソードを語ってもらうことで、中心部分(対象)がいなくても、その輪郭が徐々に浮かび上がってくる様を描く」とのコンセプトで、映画を作り始める。 製作過程でのいろいろな人たちとの出会い、協力的な人もいれば、作者のやろうとすることに反感を持つ人もいる。協力してくれる人とでも考え方や感情の行き違いもあるし、思うように進まない苛立ちや葛藤、金銭的な苦労なども赤裸々に語られる。 また、こうした取材を通して、戦後横浜の時代の推移と個人の関わりについても作者の思索は及ぶこととなる。「メリーさんと同時代を生きてきた世代は、戦中戦後という時代を背負ってきた老娼婦に対して特別な思いがあったのだろう。その眼差しは限りなく優しくて温かかった。しかし戦争を知らずに育った次の世代にとってメリーさんは、町の変わり者、浮浪者でしかなく、排除する存在でしかなかったのだ」(239頁)。そうしたことから、メリーさんは横浜を去ることになったのだった。 長い期間がかかったが、映画は完成し、2006年に公開される。それと前後して、最も良く協力してくれた人やメリーさん自身も亡くなった。またかつてメリーさんが歩いたヨコハマの町は大きく変わり、立ち寄った店や建物も姿を消したところが多い。町と人の記憶を残す一助としたいと、作者はこの本を綴った。 仕事の都合で横浜に住んでいたとき、伊勢佐木町の有隣堂本店に本書元版の単行本が山積みされているのを見て手に取った記憶がある。そのときは、「へえ、こんな人がいたんだ」と思ったくらいだったが、今回通読してみて、一人の女性の人生を垣間見ていろいろなことを考えさせられたし、日本近代史の集約された場所であるヨコハマという街の面白さを改めて知ることができた。 いつか映画自体も見てみたいものだ。
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「老娼婦」という奇異なワードにつられて読んだが、予想以上の読み応えだった。メリーさんを取り巻く人物との対話や町の歴史から、メリー像の輪郭を形作っていく構成であるからこそ、「メリーさんの人物史」×「中村監督の奮闘記」×「町の歴史」でハイブリッドな面白さがあった。 この本を機に、もっ...
「老娼婦」という奇異なワードにつられて読んだが、予想以上の読み応えだった。メリーさんを取り巻く人物との対話や町の歴史から、メリー像の輪郭を形作っていく構成であるからこそ、「メリーさんの人物史」×「中村監督の奮闘記」×「町の歴史」でハイブリッドな面白さがあった。 この本を機に、もっとノンフィクションを読んでみようと新たな気概になったことも間違いない。 人間とは、多面的な生き物である。アメリカ人兵士に恋焦がれたメリーさん、男性に身を売るメリーさん、水彩画が得意なメリーさん、、、「本人不在」の世界であっても、膨大なエピソードから徐々に輪郭が浮かび上がってくる過程が興味深かった。「本人ありき」で本人の行動・言動をベースに進行する物語よりも、よほどその人の本質を浮き上がらせられるのではとも思った。 「映画を撮っているのではない、人間を撮っているのだ」 この一言に尽きる。
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横浜に住む者として読んで良かった一冊。 街は人が作ったもので、その人も一人ひとりが違う歴史を持っていることを感じた。 今この時も、いつか遠い未来に大きな流れの中で見たら、今とは別のものに見えるのかなと考えたり。
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