商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2020/03/06 |
JAN | 9784120052637 |
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流人道中記(下)
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流人道中記(下)
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商品レビュー
4.2
65件のお客様レビュー
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霧の中を、必死に歩いて、躓いて、悔し涙を流す乙次郎。助けるでもなく、ただ、その名を呼ぶだけの玄蕃は、強くて正しくて、どこまでも優しい。まさに、空のような海のような大きな人。 玄蕃に名を呼ばれて、自らも玄蕃の名を呼ぶ時、霧の立ち込める道が、開かれていく。 乙次郎の生涯に幸あれ。 涙必至の一作。
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罪人・青山玄蕃を陸奥の三厩まで護送する押送人・石川乙次郎。 しかし上巻を読んだ限りでは、世の中を知り人の心の機微を知る玄蕃は悪人には思えない。 姦通罪を犯した上に切腹を断るような破廉恥漢には見えない。 どこかで冤罪であることが明らかになり、めでたしめでたしになると思いながら読んだ。 浅田次郎なので、そんなに単純な話ではないとは思ったけれど、読めば読むほど深い話だった。 まだ世の中を知らぬ押送人が守るべきと思い定めているのは「法」で、玄蕃が守っていたのは本人の言によると「礼」。 それを私は他人に対する尊厳と自身が恃む矜持と考える。 ”今の世の中は、御法にさえ触れなければ悪行ではないとする風潮がありますね。でも、それは真理ではない。人間の堕落によってすたれた「礼」を、補うためにやむなく求められた規範が「法」であるなら、今日でも「礼」は「法」の優位にあらねばならないはずです。” この旅で乙次郎は大きく成長したと思う。 乙次郎をめぐる状況は一つも改善されないけれど、成長した乙次郎がこの先どう生きるのかを、読みたい。 ここからネタバレ。 けれど、上巻でもちらっと「あれ?」と思わないでもなかった。 貧しい生活から逃れるために盗賊になった男が、あっさりと幼馴染の女性の前でお縄になった。 捕まれば厳罰が必定なので、何らかの情状酌量があるかと思ったのに、それはなかった。 今巻では、無実の少年が磔にされてしまい、それはもう取り返しのつかない事実となった時、多分青山玄蕃はこのまま刑に服するのだろうと思った。 だとしたら、何のために? どんな形であれ、彼は生きていたほうが世のためになる、というのは現代の考え方のわけで、家を潰してまで命永らえる武士ってどういうこと? 結局玄蕃の思いはわかるとして、家族や家臣などは彼の思想に殉じるって結果には、うーん…と思う。 多分奥さんは気丈に町人のように暮らせると思うし、子どもたちのこともしっかり育てていけそうだけど、自分で選んだわけではない苦労の道を納得できるのか? 特に長男。 その辺も続編で書いてくれるとありがたい。
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流人・青山玄蕃と押送人・石川乙次郎の旅、下巻は仙台から三厩まで。 未熟で堅物な乙次郎と、彼をせせら笑う玄蕃の旅路は最初苦手に感じた。だが2人と行き合う人々とのドラマと、次第に明かされる玄蕃の身の上に触れて徐々にそのような印象は和らいでいった。特に道中乙次郎が悩み続ける「法」の在り方と、玄蕃が疑い相対する決意をした「武士」・「武士道」の在り方については興味深かった。以下に印象に残った玄蕃の台詞を引用する。 「いいかえ、乙さん。孔夫子の生きた昔には 法がなかったのさ。礼ってのは、そうした結構 な時代に、ひとりひとりがみずからを律した徳 目のことだ。人間が堕落して礼が廃れたから、 御法ができたんだぜ」(21章) 俺は俺のなすべきことを悟った。二百幾十年 の間にでっち上げられた武士道をぶち壊し、偽 りの権威で固めた「家」を潰してやる。それは 青山玄蕃にしかできぬ戦だった。 大勇は怯なるが如く、大智は愚なるが如しと いう。ならば俺は、破廉恥漢でよい。(22章) 人として法より礼を貴び、傲慢と虚飾に塗れた「武士」像を疑い挑む。青山玄蕃は真に“つわもの”や“もののふ”と呼べる者かもしれない。
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