商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 晶文社 |
発売年月日 | 2019/09/25 |
JAN | 9784794971562 |
- 書籍
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4.6
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末期の乳がんの状態であった哲学者宮野さんが、残りの「死」が見えている人生の中で、今起きていること、考えていることを人類学者の磯野さんに伴奏してもらいながら、言葉に残した往復書簡。 最後はものすごく難しい。 でも、最期まで語り合える、語り合えた伴走者がいてくれたことは、死への恐怖...
末期の乳がんの状態であった哲学者宮野さんが、残りの「死」が見えている人生の中で、今起きていること、考えていることを人類学者の磯野さんに伴奏してもらいながら、言葉に残した往復書簡。 最後はものすごく難しい。 でも、最期まで語り合える、語り合えた伴走者がいてくれたことは、死への恐怖の中において強烈な光で、ものすごくありがたかったのではないかと思う。 宮野さんもすごいけど、受け手の磯野さんもすごかった。 ・ヘルスケア・システムの話 ・周りの人の「どうにかしてあげたい」と思っての言動が放つ暴力性 ・代替医療に手を出したくなってしまう人の心理について ・説明のつかない不運は誰かのせいにしたくなる話 ・不運と不幸の話 ・患者100%になはなりたくない話 ・ぐだぐだいろんな話をぬるっと、ずるっとすることのありがたさ などなど。 宮野さんの話に分かるなあと思うところもあれば、磯野さんの話にわかるなあと思うところもあった。 その人が怒るときはどんな時か。 「宮野怒る」の場面が現れるとき。 そこにその人の考え方の根幹に当たる部分が見えてくるんだなと思った。 何を良しとして何を良しとしていないのか。 哲学者と人類学者の書簡なので感傷的な本ではない。自己を徹底的に見つめ、引っかかる言葉について、一つ一つ二人で解き明かしていったような本だった。
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Xでこの本の事が流れてきて、ふと気になった。急いでブクログに登録して、先月読みたくてたまらず、コロナなんぞに今頃かかった、自宅療養のベッドの上で読み終えた。コロナと言っても高熱は下がった。死にそうにもないし。用心をしてやり過ごせば良いだけのことで済みそうだ。ところで。 研究とい...
Xでこの本の事が流れてきて、ふと気になった。急いでブクログに登録して、先月読みたくてたまらず、コロナなんぞに今頃かかった、自宅療養のベッドの上で読み終えた。コロナと言っても高熱は下がった。死にそうにもないし。用心をしてやり過ごせば良いだけのことで済みそうだ。ところで。 研究というものは、研究したい事物現象を、客体化して見つめることから始まると思う。ここでは、宮野さんのガンという病が、宮野さんという美しい星の周囲をくるくる回って、その軌道を狭めてゆくのを、磯野さんというアストロノーツが、星と交信しながら、軌道の変化なにするものぞ、広がる、深い交信をし続けて。 お二人の、その状況を、こころのありようを、客観と学究のキャッチボールで記した……と。言いたいところなのですが。ええ、それはそう。ですが何よりも。 なんてお二人、楽しそうなんだろう!お一人は、死に刻々と向かっている最中だと言うのに。そんなことぶっ飛ばす、深い深い「生きること」への認識の、うんと先へ向かう二人連れの道の途中。すごく楽しそう。紙幅の関係で削られたであろう、ごく普通の雑談も、私はたまらなく読みたかった。 私は別に、ガンの苦しさや痛みや、どうしようもなさを軽くは見ていない。並大抵のことで、この往復書簡が成り立つわけがないからだ。私自身も完治しない病をふたつ身に携えているし、想像を絶するものだと思う。死ぬかも、と思えば、怖い怖いもう駄目と、看護師さんに情けなく言ったこともある。だからこそ。 この本に綴られた状況で、考えること、ともに在ること、語り尽くし、問い合うことをやめないことが、どんなに。 壮絶なのに、明るさがずっとある。そのひかりの感触。 それは、どこか幸福で。 私も、意識ある限り、自分なりの問と、考えを突き詰めていきたい。このように分け合えるひとは、おそらくいなくて、私はひとりで逝くだろう。悲しむ人も、いるやらいないやら。 人間が考え、語り、伝え、それゆえに人であれる。そのしぶとさと幸福と、死に向かう時間の怖さやるさなさ。 すごい。 いいなあ。 一読だけで答えの出る本ではない。幾度もたどることになりそうだ。
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終盤、お互いの距離がさらに縮まってもつれるように進んでいく様子がわかってきたとき、すごいものを読んでいるんだと息を飲みました。
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