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「他者」の起源 ノーベル賞作家のハーバード連続講演録 集英社新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2019/07/17 |
| JAN | 9784087210859 |
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「他者」の起源
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「他者」の起源
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商品レビュー
3.8
17件のお客様レビュー
生まれつき肌の色が薄かった著者は、祖母から「庭で日焼けしてきなさいっ!」といつも言われてた。それは「色が薄いと、白人との間に産まれた不実の子」だと思われるから
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世界には様々な人種や民族がおり、肌の色だけでなく話す言葉や文化、宗教、生活に至るまで「違い」を意識せざるを得ない自分とは異なる「他者」が存在する。近年は海外から多くの人々が観光や仕事で日本に訪れているから、明らかに見た目や言葉が異なる「他者」を見かける機会も多くなった。但し日本人...
世界には様々な人種や民族がおり、肌の色だけでなく話す言葉や文化、宗教、生活に至るまで「違い」を意識せざるを得ない自分とは異なる「他者」が存在する。近年は海外から多くの人々が観光や仕事で日本に訪れているから、明らかに見た目や言葉が異なる「他者」を見かける機会も多くなった。但し日本人はそうした人々に対して偏見や差別をするという事はあまり聞いた事がない。違いを意識しながらも上手く受け入れ、同じ人類・人として接する事ができている。寧ろ意識せずそれが当たり前だという感覚でいる人が大半だろう。だが世界を見渡せば未だ人種の違いや他者を上手く受け入れられない人々が存在している。海外からの移民者に対する扱い方、自分たちの文化や言語を強制するなど、我々の常識では理解し難い事態は至る所で見られる。そして日本人の中にも外国人に対して嫌悪感や強い違和感を持つ人が増えているというのは悲しい事だ。こうした人々は勿論、一部の外国人からの日本人としての常識外の行為を受けたり、それが自分の安定した生活を脅かされるなどの実害を受けている事もあるだろう。そしてその違和感を始めとする負の感覚が積み重なると「ヘイト」と呼ばれる憎悪、憎しみに変わっていく。そこには善悪の判断なく同じ国の人々を一括りにして、丸ごと嫌悪するような動きは国内でも各地に見え始めている。やがて追い出せとの大合唱に増幅され、いつしか日本人の権利を守れという声に変わっていくのは非常に悲しい事態だ。 この他者を他者として認識して、自分と同じ類の人間だけを守ろうとする感情や行動は今に始まった事ではない。極端だが歴史の事実として、かつてのアメリカでは常識だった黒人差別の問題。今なおアメリカ人の中にはこの感情が消えずに残っていると言われる。古くはアフリカ大陸から黒人を大量に「輸入」(肌の色の違いは『人』とさえ認めない『モノ』として扱う)し、奴隷として支配する奴隷貿易が盛んになされてきた。彼ら黒人の奴隷に対しては当然人が生まれながらにして持つ人権は無い。何故なら人ですら無いから、という今では考えられない常識が当時はあった。支配するモノに対しては、壊したり欲望の捌け口にするなどは当然のこと、支配力を高める為に大量に子供を産ませる様な事も普通に行われてきた。アメリカ南北戦争も奴隷制度に反対するリンカーンが大統領になった事から、廃止に反対する南部州との戦いがきっかけになっている。その後のアメリカの歴史の中でも公民権運動や、近年でも黒人に対する警察官の度を越した扱いなどに見られるように、白人対黒人の図式が薄れるまでには多くの時間を費やしただけでなく、前述した通り、今なお人々の心の底には、そうした考え方が残っていると言われている。 本書はアメリカで初の黒人系のノーベル文学賞受賞者となった作家のトニ・モリスンのハーバード大学での講演記録となっている。自身の経験が語る、アメリカ人から切り離せない黒人差別について、皮を剥がされた生肌に触れられる様にズキズキと突き刺さる描写が多くある。まるでモノかペットとしか扱われないような、容赦ない白人の態度や黒人の中にもある、白人を敵視する描写など、同じアメリカ国民でありながら分断という2文字で、対立する2つの肌の色の人々。それは長い年月を経ても最終的には相要れる事はないだろう。何故ならそれは肌の色の違いを双方が認める他者であり、白人から見た「白人以外」である事だけは変わる事がない事実として永久に残るからだ。とは言えバラク・オバマ氏が大統領になった事は、たとえネイティブなアフリカ生まれでなくても、そうした黒人を徐々に受け入れる体勢ができた可能性を感じる。 普段の生活で、クルド人や中国人、韓国人の方々が近所に住む事も多くなった昨今。彼らは見た目も言葉も文化も違う。時には日本人の常識とは違う行為や発言もするだろう。だが彼らが持つ、日本に来たからには日本の文化や習慣を学び、安全平和に暮らしたいという気持ちは我々と何ら変わらない。言葉や食生活では彼らの方が余程不便でありストレスも多いはずだ。それを日本に来たのだから、嫌なら帰れば良いだろうと考える人もいるかもしれない。彼らが何故日本に来て生活をして、日本に馴染もうとするのか、その理由背景も様々だと思う。それを一緒くたにして、他者として拒絶して良いのだろうか。彼らと1人の人間たちとして、同じ地球に住む人としてこの先も接していきたい。そう思わせる一冊だ。
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アフリカ系アメリカ人初のノーベル文学賞作家であるトニ・モリスン。彼女によるハーバード大学での連続講演の採録したものが本書です。 タイトルに「他者」とあるように、人間は誰かを「他者化」をする者たちだということを、著者は本書の出会いがしらから強く説いています。 ご承知の通り、彼女...
アフリカ系アメリカ人初のノーベル文学賞作家であるトニ・モリスン。彼女によるハーバード大学での連続講演の採録したものが本書です。 タイトルに「他者」とあるように、人間は誰かを「他者化」をする者たちだということを、著者は本書の出会いがしらから強く説いています。 ご承知の通り、彼女の住んだ国アメリカは、白人による黒人に対しての(そしてネイティブ・アメリカンや黄色人種などへもそうですが)人種差別が根深い。そもそもが黒人を人間扱いしない奴隷制度が根本にあります。そういった奴隷制度の慣習に沿って文化や法律が自然と作られていき、作られていったものが一般の「環境」となり、その「環境」になじむかたちで人々は育つのですから、その呪縛から逃れることは難しいどころか、差別をなす側からすればそういった差別の世界観と差別社会は強固になっていくベクトルのなかにいるのではないか。「このような状況はとてもおかしなことである」と社会の間違いを正すために問題を指摘するのは、慣習に取り込まれていて疑いを持つことのできない白人たちにはほとんどできないことです。 本書にも取りあげられていますが、アフリカ系アメリカ人の人たちは、白人たちによって凄惨なリンチを受け、重傷を負ったり、殺されたりしている例が珍しくありません。暴力の理由になっていることは、こじつけや難癖、でっちあげのたぐいです。 しかし、どうしてそこまで強烈に、アフリカ系アメリカンを憎むのか。白人たちが、自分たちがなしてきた差別や暴力に対するアフリカ系アメリカンからの報復を、自分たちでも気づけないような心の深いところで恐れているから、というのもあるでしょう。 ただ、もっと根源のところを見ていくと、「他者」という概念がそういった差別などの原因になっている納得のいくものとして腑に落ちてくるんです。そこのところの引用を。 __________ だが高等動物である人間の場合、われわれの種族に属さぬものを選別し、かれらの敵、弱者、統御される必要がある不完全者と見なす傾向には、動物界や先史時代の人間に限らず、長い歴史がある。人種は、富・階級・ジェンダーと同様、常に差異の決定稿である――どれもが権力と統御の必要性に関わるものだ。(p32) __________ 哀れなことですが、人間は「他者(よそ者)」を必要とする。そうやってでたらめに敵を作ることで、精神が安定し、自分たちのグループ内で平和がもたらされる。これは秩序の暗黒面だと思いますし、こういう視点で秩序を見ているところが文学者ならではだと言えるでしょう。 本書序文で森本あんり氏が述べているように、ソ連が崩壊して冷戦が終わったことで東西諸国というわかりやすい構図が無くなり、たとえば民主主義の内部でもポピュリズムやリベラリズムなどの暴走が見られて不安定になっていく事態になり、これは今も続いています。こういったことも「他者化」の例として考えられることである、とされますし、わかりやすい例です。 小さなスケールで言えば、この「他者化」はある意味、スケープゴートなんです。誰かをやり玉に挙げて「敵」とすることで、内部が結束する。 というところですが、他の部分では、小説をノヴェルとロマンスにジャンル分けしているところに注意を惹かれました。ジェイン・オースティンのような、日常をベースにして語られるフィクションがノヴェルであり、どこか歴史建造物が登場したり廃墟へ行ったりといった冒険ものですとかファンタジックなものがロマンスです。アメリカでは、ロマンス文学が栄えたとされますが、それは混沌とした人種問題や複雑な建国の成り立ちがある国なので、ロマンスの形式を借りないと表現できないものがあるからだろう、というような指摘が解説で書いてありました。これは、混沌として人間の深層心理に潜っていくような小説がロマンス小説的だったりするところにも通じるな、と思いました。『ねじまき鳥クロニクル』や『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『街とその不確かな壁』などの村上春樹作品はロマンス的な構造をしていると思います。
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