商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2019/02/20 |
JAN | 9784087458442 |
- 書籍
- 文庫
南三陸日記
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南三陸日記
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商品レビュー
4.5
30件のお客様レビュー
東日本大震災直後に南三陸町に赴任し、取材し続けた著者の記録。毎週火曜日に全国版のコラムで連載されていたようで。(恥ずかしながら文庫化にあたり初めて知りました) 『東京や大阪から大量に記者が出張し、その都度、記事になりそうな出来事を「報道」するのではなく、記者が実際に被災地に住み込...
東日本大震災直後に南三陸町に赴任し、取材し続けた著者の記録。毎週火曜日に全国版のコラムで連載されていたようで。(恥ずかしながら文庫化にあたり初めて知りました) 『東京や大阪から大量に記者が出張し、その都度、記事になりそうな出来事を「報道」するのではなく、記者が実際に被災地に住み込んで、そこで感じた日常の変化や人々の心の揺れなどを「報告」する。』 「南三陸駐在」を新設した朝日新聞社の英断。 地元のため、復興のために尽力した市井の人々の、一人ひとりの記録。胸がしめつけられるような記録を残してもらえて良かった。 「マスゴミ」なんて言葉が浸透して久しく、メディアからインタビューを受けたいと思う人間は少ないのではと勝手に思っていたけれども。この三浦さんなら信頼できると思わせてくれる、魂のこもった一冊でもある。 私は地元の田舎町に格別の愛着もなく離れてしまい(その代わりもう戻らないという覚悟もなかった)ずるずると都会で楽して暮らしながら現在に至ってしまっているので、生まれ育った故郷を愛して、いつか戻りたいと望む子供達の存在にも胸が打たれた。彼らの希望がみな叶えられたらいいのに。今後の人生に溢れんばかりの幸福が与えられますように。
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東日本大震災直後に被災地でもある南三陸町に赴任し、被災地の現状をコラムという形で1年間発信し続けた「南三陸日記」…。震災から8年経ち、文庫化されたのが今作品です。震災から12年経った今、この作品を手にできたことには感謝しかありません…。 最初から読み切るまでずっと涙腺が緩みっぱ...
東日本大震災直後に被災地でもある南三陸町に赴任し、被災地の現状をコラムという形で1年間発信し続けた「南三陸日記」…。震災から8年経ち、文庫化されたのが今作品です。震災から12年経った今、この作品を手にできたことには感謝しかありません…。 最初から読み切るまでずっと涙腺が緩みっぱなしでした…。何て言ったらいいのか、うまく言葉にできません…。それぞれのコラムには家族のストーリーがあって、大事な人を震災で奪われ、前の生活に戻りたい、なぜ今?なぜ自分たちがこんな思いをしなければならないのか…やり場のない悲しくも苦しい思いがつづられていました。でも、それだけではなく、生きているのだからと前を向いて、精一杯今を生きようとしている姿に感動しました! そんな中での被災者同士のつながりが心を癒やすエピソードには、心があたたかくなりました。そして、「みなさんからのあたたかい励まし」「たくさんのご支援ありがとうございます」「みんな元気です!!戸倉小学校」この垂れ幕がかかった小学校と児童、教職員の写真を見た時、ジーンときちゃいました…。結婚式を控えた身でありながら、最期まで住民に避難を呼びかけた女性もいました…。 震災後1年経過しての卒業式、「今日という日は、もっと生きたかった人の今日でもある。」…この言葉は胸に刺さりました。震災から何年経とうとも忘れてはならないことだと思います。表紙の少女は今度中学生になるのかな…この作品を手にとったのはこの少女がとっても愛らしく思えたからという軽率な理由ですが、その笑顔の裏側に秘められたエピソードを思うと、そんな自分が恥ずかしくもなりました。ブクログのおかげでよい作品と出会えました。
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三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 本書は、東日本...
三浦英之(1974年~)氏は、京大大学院卒、朝日新聞社の記者・ノンフィクションライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で開高健ノンフィクション賞(2015年)、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で小学館ノンフィクション大賞(2018年)を受賞。 本書は、東日本大震災の直後から1年間、宮城県南三陸町に駐在した著者が、2011年6月~2012年3月に朝日新聞に連載した「南三陸日記」をもとに、新聞に掲載した記事等を加えて2012年に出版され、更に「再訪 2018年秋」を追加して2019年に文庫化された。文庫版は平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(2019年)を受賞。 私はこれまでも、辺見庸『瓦礫の中から言葉を』、門田隆将『死の淵を見た男』、眞並恭介『牛と土 福島、3.11その後』、奥野修司『魂でもいいから、そばにいて』、青木美希『地図から消される街』等、東日本大震災と福島の原発事故に関わる多数の本を読んできたが、その度に胸が締め付けられる思いがすると同時に、年を経て、それらの影響を受けた人々はどうしているだろうかと考える。また一方で、近年メディアで報道されるのは3月11日の前後数日に留まるようになり、(直接的な影響を受けずに済んだ私を含む)多くの人々の記憶から少しずつ忘れられようとしていることに危機感を覚える。 正確に言えば、天災であった地震と津波による被害と、人災の側面が大きかった原発事故による被害は一緒にすることはできないし、当然ながら、今後のあるべき対応策や教訓は全く異なるものである。(原発事故処理については、半永久的に行政レベルで責任ある対応が求められるのは言うまでもない) それを踏まえて、私は東日本大震災の地震と津波による被害に対して、何をすべきなのか、何ができるのかと考えると、おそらく、それを忘れないということが最も大切なことなのだと思う。それは、日本列島に住む以上避けることはできない地震と津波に備えて、未来の人々に伝えるという自分たちの義務を果たし、かつ、震災で被害を受けた人々に僅かでも寄り添うことができる唯一の方法であるからだ。 本書は、初出の性格上、南三陸町のたくさんの人々のエピソードが出てくるし、エピソード毎に見開きの写真が載っているので、震災とは何(だった)のかを、多面的に記憶に留めることができる。1年に一度でも、数年に一度でも、ページをめくるために手元に置いておいていい一冊と思う。 (2022年11月了)
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