商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2018/12/04 |
JAN | 9784167911997 |
- 書籍
- 文庫
「空気」の研究
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「空気」の研究
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3.8
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「空気」が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。 兵庫県知事への「空気」が気になり本書を通読。人が自死している事実が、臨在感的把握で絶対視され、...
「空気」が醸成される原理原則は、対象の臨在感的把握である。そして臨在感的把握の原則は、対象への一方的な感情移入による自己と対象との一体化であり、対象への分析を拒否する心的態度である。 兵庫県知事への「空気」が気になり本書を通読。人が自死している事実が、臨在感的把握で絶対視され、自死させた知事が悪いという感情移入、対象との一体化が、冷静な疑問を呈するコメンテーターを一掃する「空気」をつくったとみると判り易い。森友問題で自殺者が出た時も同様の「空気」ができたが、なぜか鎮静化できたのは、冷や水を差す行為があったか、その「空気」を上回る別の「空気」が官邸とマスコミとにあったのか?ジャニーズ問題も同様で、民事でジャニーズが負けているにもかかわらず、マスコミと芸能界との「空気」があった?としか思えない。 筆者はこのような「空気」共同体のバックボーンは情状倫理、「すべては情状のもとに判断され、共同体内では父(共同体)は子のために隠し、子は父のために隠すことこそ直きこと」であると述べる。これは孔子儒教を日本流に解釈・アレンジして日本儒教に改変した思想であり、戦前戦後変わることはない。これに対抗する思想は「個人」の「自由」であるが、水を差す自由さえ叩かれるSNSとワイドショーの状況をみると、なかなか難しそうである。一部の人々は、どのような論理的説明を受けても態度を変えない。ある種の思想を黙示録的に伝達することで、その読者に一切の論理:論証を受け付け得ないような手法がすでに開発されているのでは?と訝しく思う。 会社や町内会などの共同体から自由になって、「空気」が薄い状況をすがすがしく感じるが、それでもなお日本国や世界の国々に透けて見える「空気」を感じるにつけ、未来はどうなってしまうのか?と憂える今日この頃である。
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ちょっと難しかったです! 空気から水の研究に移行したところが圧巻だった。今まで空気を読む、水を差すをぼんやり使っていたなぁと痛感。論理的 私は子供の頃、水を差す側だったはずなのに、今では空気を読む側に回っている。そう、空気はバカにできない。だから、戦争もバカにできないと私は思う...
ちょっと難しかったです! 空気から水の研究に移行したところが圧巻だった。今まで空気を読む、水を差すをぼんやり使っていたなぁと痛感。論理的 私は子供の頃、水を差す側だったはずなのに、今では空気を読む側に回っている。そう、空気はバカにできない。だから、戦争もバカにできないと私は思うよ
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「空気を排除するために水を差す」 「ただし空気を創出しているのも水=通常性」 「空気と水の相互的呪縛」 これが本当の読書だとしたら、趣味は読書と言うのをやめようかと思いました。名著と言われるだけあり骨太。ボリュームは多くないけど読了に時間を要しました 汗 空気を読むとか読めな...
「空気を排除するために水を差す」 「ただし空気を創出しているのも水=通常性」 「空気と水の相互的呪縛」 これが本当の読書だとしたら、趣味は読書と言うのをやめようかと思いました。名著と言われるだけあり骨太。ボリュームは多くないけど読了に時間を要しました 汗 空気を読むとか読めないとか言われて久しいですが、40年以上前にその空気について論じられてます。著者のバックグラウンドにある、日本社会、日本陸軍、そして聖書の知識領域をベースにしながら、ただその場の雰囲気としての空気ではなく日本人論として語られていきます。 さらに天皇制、宗教観、公害問題といった知識領域も織り交ぜられ、とにかくハイコンテキスト。目で文字を追うスピードに理解のスピードが追いつかないままなんとか読み切った感じです。 「自由とは空気に水を差す自由」 目に見えない何かを意識することを臨在感的把握と呼んだうえで、その空気に水を差す自由を確保しておかないと大変なことになると投げかけつつも、水を差す自由を確保しておけば大丈夫とも諭してくれます。 まずは、空気を読むことが大事だよねーという「空気」に、本当にそうなのか?と水を差すところからですね。
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