商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 明石書店 |
発売年月日 | 2018/07/31 |
JAN | 9784750346922 |
- 書籍
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ドローンの哲学
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ドローンの哲学
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商品レビュー
4.6
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原著のタイトルは Théorie du drone (『ドローンの理論』)、2013年刊行。内容的には原題のほうがしっくり来る。著者のシャマユーは1976年生まれの哲学研究者で、専門は科学哲学。日本語訳のある主著に『卑しい身体:18世紀から19世紀にいたる人体実験』(明石書店)...
原著のタイトルは Théorie du drone (『ドローンの理論』)、2013年刊行。内容的には原題のほうがしっくり来る。著者のシャマユーは1976年生まれの哲学研究者で、専門は科学哲学。日本語訳のある主著に『卑しい身体:18世紀から19世紀にいたる人体実験』(明石書店)がある。 著者の議論のポイントは、戦争における殺し=殺される、傷つけ=傷つけられる相称性、対称性を決定的に変質させるドローン兵器が、戦争の法的・空間的・倫理的・政治的な意味をどのように変えてしまうのか、という問題。アリエズ=ラッツァラートの『戦争と資本』を読みおえた後だったので、戦争と経済=資本とのかかわり/つながりに対する分析が弱いのでは。。。と思ったが、最後の第五章でドローン兵器が国家装置の自律化を帰結するという指摘がなされていて、『戦争と資本』の議論にも接続できるのではないか。 というのも、第五章で著者は、無人兵器による非対称戦争が一般化したとき、そのような戦争を戦う国家の成員はその戦争に「否」と言えるのか、抵抗できるのか、と問うているからだ。自らもその一員である国家が自らの生を動員し、毀損しようとすることへの拒絶が戦争に対する抵抗の戦線を形作るならば、もし、そのような危険が外部化されたとき、人々は戦争に抵抗できるのかが問われることになる。つまりシャマユーは、ドローン兵器を運用できる国家においては、「反戦」の政治的な立脚点が失われ、戦争行為・殺人行為に対するモラルハザードが生起するのでは、と指摘しているのだ。 では、そのような時代において、戦争に抗うためにはどんな論理が求められるのか。著者は、「われわれはどのような存在にはなりたくないのか?」という否定を媒介とした関係性を考えているようだが、本書ではそのアイデアが示されるだけにとどまっている。というより、現代の戦争表現を考えることは、こうした問いを受け止めるところから始めなければならないのだろう。
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兵器としてのドローンを通じて、戦争哲学の深奥まで探る良書。平易な言葉で、具体例をふんだんにまぶしながら展開するから、読みやすい。ドローン兵器の普及により、戦争で殺す権力/殺される恐れのバランスが一気に崩れた。空爆論とも通じるが、ドローンのほうはもはや完全に無人化するだけに、深刻だ...
兵器としてのドローンを通じて、戦争哲学の深奥まで探る良書。平易な言葉で、具体例をふんだんにまぶしながら展開するから、読みやすい。ドローン兵器の普及により、戦争で殺す権力/殺される恐れのバランスが一気に崩れた。空爆論とも通じるが、ドローンのほうはもはや完全に無人化するだけに、深刻だ。吉見俊哉『空爆論』と併読するのがオススメ。
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◉私にとって、2020年の最大の衝撃が走った本。 ◉序文が恐ろしい。ドローンを兵器として研究開発する各国の軍隊。とりわけ、米軍の定義は、無人戦闘航空機。未確認暴力物体など。 ◉第2章にドローンとカミカゼという項があり、曰くドローンの対義語がカミカゼ。その意味は、攻撃側に損害を最小...
◉私にとって、2020年の最大の衝撃が走った本。 ◉序文が恐ろしい。ドローンを兵器として研究開発する各国の軍隊。とりわけ、米軍の定義は、無人戦闘航空機。未確認暴力物体など。 ◉第2章にドローンとカミカゼという項があり、曰くドローンの対義語がカミカゼ。その意味は、攻撃側に損害を最小限に抑え人間の死や損害をロボットが代行する武器がドローン。人間の死を前提とした武器がカミカゼ。 ◉空撮だけを楽しむファンに新たな表現の幅を広げるような毒を仕掛けたい。 ◉日常生活・アートシーン、スポーツシーンでのドローンの活用を広げて、市民にとって身近な道具とする必要がある。 ◉軍事利用や開発は、今後も進むだろうが、市民による平和利用を進め、市民権を獲得したい。 ◉ドローン・ジャーナリストと自称して、軍事利用の研究と批評を始めたい。
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