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京都学派酔故伝
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京都学派酔故伝
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京都大学の個性的な研究者たちを、とくに彼らの酒にまつわるエピソードとともに紹介している本です。 本書のタイトルには「京都学派」ということばがふくまれています。ふつうこのことばによって名指しされるのは、西田幾多郎にはじまる哲学の「京都学派」か、狩野直喜と内藤湖南にはじまる東洋史研...
京都大学の個性的な研究者たちを、とくに彼らの酒にまつわるエピソードとともに紹介している本です。 本書のタイトルには「京都学派」ということばがふくまれています。ふつうこのことばによって名指しされるのは、西田幾多郎にはじまる哲学の「京都学派」か、狩野直喜と内藤湖南にはじまる東洋史研究の「京都学派」であり、それに梅棹忠夫や上山春平を中心とする「新京都学派」がつけ足されるはずです。しかし本書では、文学研究における「京都学派」が存在したと主張されています。 著者が重視する京都学派の特徴は、「実事求是」です。すなわち、清朝考証学を重視した東洋史の研究者たちに見られる実証的な学風であり、こうした特徴が著者の専門である英文学などの分野にも見られると著者は述べています。中国文学者の吉川幸次郎が本居宣長のテクストを読む姿勢への共感を語り、フランス文学者の桑原武夫が実証を離れて印象批評を脱することのなかった小林秀雄の姿勢を冷ややかに見ていたのも、こうした京都学派の学風を背景としていました。 その一方で、「実事」に先行して「求是」に奔る傾向も、京都学派のなかで命脈を保ってきたことも、著者は指摘しています。西田幾多郎や田辺元の哲学がそうであり、英文学者の深瀬基寛、人類学者の今西錦司などにそうした傾向が顕著に現われています。著者は、はっきりと実証性を尊重する立場を打ち出しつつも、たがいに対立する二つの傾向をかかえ込みながら、個性的な研究者たちによって担われてきた「京都学派」をえがいています。
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