商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2016/02/18 |
JAN | 9784006032951 |
- 書籍
- 文庫
戦争は女の顔をしていない
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戦争は女の顔をしていない
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ソ連の公式見解では戦死者2000万人とか。人口統計を見ると2600万人が減っている。弾に当たっただけでなく、ドイツ軍の捕虜となった為に殺された赤軍兵士。餓死者なども含まれる。 この様な本は貴重だ。何より体験した人の証言。一次資料だからだ。 私は偶々南京占領時の日本兵と話す機会...
ソ連の公式見解では戦死者2000万人とか。人口統計を見ると2600万人が減っている。弾に当たっただけでなく、ドイツ軍の捕虜となった為に殺された赤軍兵士。餓死者なども含まれる。 この様な本は貴重だ。何より体験した人の証言。一次資料だからだ。 私は偶々南京占領時の日本兵と話す機会があった。内容は日中兵士共に悲惨な内容だった。中国の公式見解では戦死者300万人となっている。しかし、人口統計をみれば2000万人が減っている。 ドイツはソ連に対する加害意識が高いが、日本には皆無。その理由は一次資料が出回っていないからだろう。
ユスト
▼(本文より)これは残るようにしなけりゃいけないよ。いけない。伝えなければ。世界のどこかであたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。 ▼1948年、第2次世界大戦が終わって3年後に、当時ソビエトの西部、ベラルーシで、この本の作者アレクシエーヴィチさんが生まれた...
▼(本文より)これは残るようにしなけりゃいけないよ。いけない。伝えなければ。世界のどこかであたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。 ▼1948年、第2次世界大戦が終わって3年後に、当時ソビエトの西部、ベラルーシで、この本の作者アレクシエーヴィチさんが生まれたそうです。親世代は第2次世界大戦に従軍して、親戚も多く亡くなったそう。 アレクシエーヴィチさんは、20代終盤くらいから、つまり1970年代、冷戦下のソビエトで雑誌記者をされていたそうで、30歳くらいから、 <第2次世界大戦に従軍した女性たちの経験談を聞き取り集める> という作業を始められたそうです。 この本は、その証言たちを集めたもの。 ▼1941年、ヒットラーさんのドイツがソ連に攻め込みます。バルバロッサ作戦。いわゆる独ソ戦。第二次世界大戦の一部です。当時既に、スターリン独裁下だったソ連は、体制が色んな意味で整ってなかったようで、メタメタにやられます。大まか1941-1942あたりは、冬将軍があったとはいえ、一気にモスクワ近くまで攻め込まれ、ソ連の領土の西の方は、要するにナチスの領土になってしまう。 ▼この戦争で、ソ連軍は、 <18歳以上なら男女両方、兵隊にするぞ> という制度を施工したらしく。 多くの少女・女性たちが従軍。 ▼独ソ戦自体は、1943年くらいからはドイツ劣勢となり、1945年にベルリン陥落に先駆けたのはソ連軍だったらしいですね。 ただ、死者の数は断然ソ連が多かったらしく、民間人を含めると、どういう統計か知りませんが、 ソ連=2000~3000万人くらい ドイツ=600~1000万人くらい なんだそうです。茫然とする数です。ちなみに第二次世界大戦の一部である、 日本の場合は、300万人くらいだったそう。 ▼この本の中身は、無数の人々、全部女性の証言です。言ってみれば羅列です。ただ、それはアレクシエーヴィチさんが、コンタクトして、聞きだして、ともに泣いて、録音して、書き起こし、文章を整え、削除訂正編集して、テーマごとに並べています。 文庫本で言うと、半ページもないような短い証言から、10ページ以上になるものもあります。 愉快な話、笑い話、恋の話、性の話、誇り、後悔、困窮、飢え、不潔、病気、レイプ、地下活動、拷問、そしてなにより死の話。 どれもこれもが、総体としてこの本が、異様な迫力で迫ってきます。 オモシロイ、というコトバがもはや、恐れ多い。何時間も読み続けると疲れてしまって。でも辞めたくなくて。多分1か月かもっとか、細々と読み続けました。 ▼これからの世代は、なんらか自分なりの「疑似戦争体験」をしなくてはなりません。未来に本当の「戦争体験」を強いられることを、避けるためには。それにはすぐれた映画やアニメや漫画や小説などがとても有効だと思います。 例えば個人的には以下の諸作品が、自分の戦争体験だ、と言えます。やっぱりこういうものとは、10代の頃に出会う方が良い気がします。 小説「戦争と人間」五味川純平 小説「火垂るの墓」野坂昭如、※アニメ映画も 漫画「はだしのゲン」中沢啓二 映画「最前線物語」サミュエル・フラー監督 ・・・この本は、この系列に、割って入る作品でした。素晴らしかったです。 ▼当然ながら、ペレストロイカ以前のソ連では、一部しか発表できず。ペレストロイカ後ですら、全部は発表できず。1985年に世に出て、ロシアでベストセラーになったそうです。ただその版も、「載せてはいけない内容が多々あった」そうで、2004年くらいに「完全版」がやっと出たそう。 ただ、ロシア、ベラルーシでも、「こんなのでたらめで、祖国を悪く言うけしからんヤツだ」というバッシングも激しく、今でもあるそうで、ベラルーシでは発禁だそう。 作者のアレクシエーヴィチさんは、その後もチェルノブイリやアフガン侵攻後遺症などを題材に署名な作品を発表していますが、祖国ベラルーシはほぼ「追われた身」のままだそうです。2015年にノーベル文学賞受賞。 ▼日本では2008年に群像社から翻訳が出て、2016年に岩波文庫になったそう。日本語版を世に出した方々に敬意を表したいです。未読ですが日本では2019年から漫画版も出てるそう。漫画版でもアニメ版でも、普及すると良いなあと思います。 わくわくもしないし、ストレスも解消されないけれど(笑)、自分より若い人、世界中の人に「読んで欲しいなあ」と思う一冊。読書の快楽も色々です。
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この本を読み終わった感想として、何を言うべきなのかわからない。 記録として読んだのか、記憶として読んだのか、物語として読んだのか。 それら全てであって、そのどれでもないなと思ったけど、まさしくそれがこの本で繰り返し書かれていたことだなとも思った。ただわかるのは、女の身でこの本を読...
この本を読み終わった感想として、何を言うべきなのかわからない。 記録として読んだのか、記憶として読んだのか、物語として読んだのか。 それら全てであって、そのどれでもないなと思ったけど、まさしくそれがこの本で繰り返し書かれていたことだなとも思った。ただわかるのは、女の身でこの本を読めて良かった。何一つとして共感のできない自分で良かった。この時代の今の私が、この本を手に取ってくれて良かった。それだけ。
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