1,800円以上の注文で送料無料

戦争は女の顔をしていない の商品レビュー

4.4

183件のお客様レビュー

  1. 5つ

    87

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

現実を見る

ソ連の公式見解では戦死者2000万人とか。人口統計を見ると2600万人が減っている。弾に当たっただけでなく、ドイツ軍の捕虜となった為に殺された赤軍兵士。餓死者なども含まれる。 この様な本は貴重だ。何より体験した人の証言。一次資料だからだ。 私は偶々南京占領時の日本兵と話す機会...

ソ連の公式見解では戦死者2000万人とか。人口統計を見ると2600万人が減っている。弾に当たっただけでなく、ドイツ軍の捕虜となった為に殺された赤軍兵士。餓死者なども含まれる。 この様な本は貴重だ。何より体験した人の証言。一次資料だからだ。 私は偶々南京占領時の日本兵と話す機会があった。内容は日中兵士共に悲惨な内容だった。中国の公式見解では戦死者300万人となっている。しかし、人口統計をみれば2000万人が減っている。 ドイツはソ連に対する加害意識が高いが、日本には皆無。その理由は一次資料が出回っていないからだろう。

ユスト

2025/01/20

本書は物語ではなく、第二次世界大戦で従軍した100万のソ連女性の内、500人以上の生の声を集めたインタビュー集。 膨大な量で、Audibleでひたすら辛い内容を聴き続けたので楽しいものではないけど、語り継ぐべき素晴らしい資料だった。 特にソ連には世界でも珍しい女性兵がいたので女性...

本書は物語ではなく、第二次世界大戦で従軍した100万のソ連女性の内、500人以上の生の声を集めたインタビュー集。 膨大な量で、Audibleでひたすら辛い内容を聴き続けたので楽しいものではないけど、語り継ぐべき素晴らしい資料だった。 特にソ連には世界でも珍しい女性兵がいたので女性ならではの視点や境遇から語られる戦争の話はとても貴重。 女性の従軍と言っても兵士や狙撃兵の他に、パイロット、通信兵、看護師、調理係、洗濯係など色々。だけど一番驚いたことは多くの女性が自ら前線を強く希望していたこと。 『同士少女よ、敵を撃て』では孤児が選択の余地がなく狙撃兵になっていたけど、実態は少し異なる印象。 中には幼い子どもを預けて夫婦で志願に行くことを選んだり、祖国のために身を尽くしたいソ連国民の熱を感じて自分には理解できなかった。 女性兵たちの覚悟や苦労がわからない女性国民が、旦那たちと行動を共にする女性兵たちに抱く軽蔑する気持ちのほうがむしろわかってしまう。 事実、前線とはいえ男女がいれば恋愛が生まれて、むしろそれが救いとなっていたようす。 包帯でドレスを作って結婚式をしたり、出産をしたり、戦争中だけの関係をもったり。生き延びるための人間の本能なのか、吊り橋効果なのか、、、。でも戦争が終わって男性が妻子の元に帰っても、気持ちを引きずるのは女性の方なのは切ない。 インタビューで度々、もっと早く聞いてほしかったと言う声があって、戦後男性と同じようには讃えられず、壮絶な体験を抱えたまま沈黙してきた女性たちの終わらない戦争を知って重たい気持ちになった。 とはいえ、男性だってもちろん戦争の苦しみを抱えたまま生きているんだと思う。 この本はロシア女性の声を残した貴重な資料だけど、男性も、ロシア以外の世界中の戦争を体験した人々も、戦争がどんなものなのか、生きているうちに残して欲しいと思う。

Posted byブクログ

2025/01/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・それについて書いたものはさらに多い。しかし、書いていたのは男たちだ。わたしたちが戦争について知っていることは全て「男の言葉」で語られていた。わたしたちは「男の」戦争観、男の感覚にとらわれている。男の言葉の。女たちは黙っている。わたしをのぞいてだれもおばあちゃんやおかあさんたちにあれこれ問いただした者はいなかった。 ・戦争の映画で色つきなんてありうる?  戦争はなんでも真っ黒よ。血だけが別の色……血だけが赤いの。 ・老人は死を恐れるもの、若者は笑えるんです……若い人って自分は不死身だと思ってる。私は、自分が死ぬなんて信じられなかった…… ・せめて一日でいいから戦争のない日を過ごしたい。戦争のことを思い出さない日を。せめて一日でいいから。 ・戦争が終わったけれど、私のお父さんは決して戻って来ないんだ。戦争は終わったのに…… ・ときどき泣きたくなる……でも、泣けない……  戦争で全て忘れてしまいました。かつての自分らしい生活を。何もかも。 ・死を手なずけることはできません……そう……死には慣れなかった。 ・もし、戦争で恋に落ちなかったら、私は生き延びられなかったでしょう。恋の気持ちが救ってくれていました、私を救ってくれたのは恋です。 ・一緒に殺してほしい。一発で一度に。死ぬ時はふたり一緒、生き延びるのも一緒と考えていたの。私たちの恋って、明日はない、今があるだけ。 戦争を繰り返してはいけない。 戦争は不幸なことしか生まれないことがさらに分かった。

Posted byブクログ

2025/01/05

殲滅戦争のイメージがある独ソ戦。ソ連では独ソ戦初期から多くの女性が従軍した。看護師や洗濯、運転手、炊事、そして歩兵や狙撃手まで。多くの女性の戦争経験者が独ソ戦を語るのが本書の内容。想像以上に惨い状況が語られており、恐ろしい戦争だったことがわかる。戦争は男性にフォーカスを当てられが...

殲滅戦争のイメージがある独ソ戦。ソ連では独ソ戦初期から多くの女性が従軍した。看護師や洗濯、運転手、炊事、そして歩兵や狙撃手まで。多くの女性の戦争経験者が独ソ戦を語るのが本書の内容。想像以上に惨い状況が語られており、恐ろしい戦争だったことがわかる。戦争は男性にフォーカスを当てられがちだが女性も同じように戦争の体験者であるということを改めて実感できた。とはいえここまで大規模に女性が戦闘に参加しているのはソ連くらいなのかなぁ…

Posted byブクログ

2024/12/28

今でもロシアべったりベラルーシの作家(取材地がそのへん多い)、ほぼ志願女性視点というのも重なってか、結局視点が偏っているように思えた。旧ソ連の国々の被った迷惑や悲惨さは何も描かれてないな。出版ベラルーシだから仕方ないのかしら

Posted byブクログ

2024/11/28

▼(本文より)これは残るようにしなけりゃいけないよ。いけない。伝えなければ。世界のどこかであたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。 ▼1948年、第2次世界大戦が終わって3年後に、当時ソビエトの西部、ベラルーシで、この本の作者アレクシエーヴィチさんが生まれた...

▼(本文より)これは残るようにしなけりゃいけないよ。いけない。伝えなければ。世界のどこかであたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。 ▼1948年、第2次世界大戦が終わって3年後に、当時ソビエトの西部、ベラルーシで、この本の作者アレクシエーヴィチさんが生まれたそうです。親世代は第2次世界大戦に従軍して、親戚も多く亡くなったそう。  アレクシエーヴィチさんは、20代終盤くらいから、つまり1970年代、冷戦下のソビエトで雑誌記者をされていたそうで、30歳くらいから、  <第2次世界大戦に従軍した女性たちの経験談を聞き取り集める> という作業を始められたそうです。  この本は、その証言たちを集めたもの。 ▼1941年、ヒットラーさんのドイツがソ連に攻め込みます。バルバロッサ作戦。いわゆる独ソ戦。第二次世界大戦の一部です。当時既に、スターリン独裁下だったソ連は、体制が色んな意味で整ってなかったようで、メタメタにやられます。大まか1941-1942あたりは、冬将軍があったとはいえ、一気にモスクワ近くまで攻め込まれ、ソ連の領土の西の方は、要するにナチスの領土になってしまう。 ▼この戦争で、ソ連軍は、 <18歳以上なら男女両方、兵隊にするぞ> という制度を実行したらしく。 多くの少女・女性たちが従軍。 ▼独ソ戦自体は、1943年くらいからはドイツ劣勢となり、1945年にベルリン陥落に先駆けたのはソ連軍だったらしいですね。  ただ、死者の数は断然ソ連が多かったらしく、民間人を含めると、どういう統計か知りませんが、 ソ連=2000~3000万人くらい ドイツ=600~1000万人くらい なんだそうです。茫然とする数です。ちなみに第二次世界大戦の一部である、 日本の場合は、300万人くらいだったそう。 ▼この本の中身は、無数の人々、全部女性の証言です。言ってみれば羅列です。ただ、それはアレクシエーヴィチさんが、コンタクトして、聞きだして、ともに泣いて、録音して、書き起こし、文章を整え、削除訂正編集して、テーマごとに並べています。  文庫本で言うと、半ページもないような短い証言から、10ページ以上になるものもあります。  愉快な話、笑い話、恋の話、性の話、誇り、後悔、困窮、飢え、不潔、病気、レイプ、地下活動、拷問、そしてなにより死の話。  どれもこれもが、総体としてこの本が、異様な迫力で迫ってきます。  オモシロイ、というコトバがもはや、恐れ多い。何時間も読み続けると疲れてしまって。でも辞めたくなくて。多分1か月かもっとか、細々と読み続けました。 ▼これからの世代は、なんらか自分なりの「疑似戦争体験」をしなくてはなりません。未来に本当の「戦争体験」を強いられることを、避けるためには。それにはすぐれた映画やアニメや漫画や小説などがとても有効だと思います。  例えば個人的には以下の諸作品が、自分の戦争体験だ、と言えます。やっぱりこういうものとは、10代の頃に出会う方が良い気がします。 小説「戦争と人間」五味川純平 小説「火垂るの墓」野坂昭如、※アニメ映画も 漫画「はだしのゲン」中沢啓二 映画「最前線物語」サミュエル・フラー監督 ・・・この本は、この系列に、割って入る作品でした。素晴らしかったです。 ▼当然ながら、ペレストロイカ以前のソ連では、一部しか発表できず。ペレストロイカ後ですら、全部は発表できず。1985年に世に出て、ロシアでベストセラーになったそうです。ただその版も、「載せてはいけない内容が多々あった」そうで、2004年くらいに「完全版」がやっと出たそう。  ただ、ロシア、ベラルーシでも、「こんなのでたらめで、祖国を悪く言うけしからんヤツだ」というバッシングも激しく、今でもあるそうで、ベラルーシでは発禁だそう。  作者のアレクシエーヴィチさんは、その後もチェルノブイリやアフガン侵攻後遺症などを題材に署名な作品を発表していますが、祖国ベラルーシはほぼ「追われた身」のままだそうです。2015年にノーベル文学賞受賞。 ▼日本では2008年に群像社から翻訳が出て、2016年に岩波文庫になったそう。日本語版を世に出した方々に敬意を表したいです。未読ですが日本では2019年から漫画版も出てるそう。漫画版でもアニメ版でも、普及すると良いなあと思います。  わくわくもしないし、ストレスも解消されないけれど(笑)、自分より若い人、世界中の人に「読んで欲しいなあ」と思う一冊。読書の快楽も色々です。

Posted byブクログ

2024/11/06

この本を読み終わった感想として、何を言うべきなのかわからない。 記録として読んだのか、記憶として読んだのか、物語として読んだのか。 それら全てであって、そのどれでもないなと思ったけど、まさしくそれがこの本で繰り返し書かれていたことだなとも思った。ただわかるのは、女の身でこの本を読...

この本を読み終わった感想として、何を言うべきなのかわからない。 記録として読んだのか、記憶として読んだのか、物語として読んだのか。 それら全てであって、そのどれでもないなと思ったけど、まさしくそれがこの本で繰り返し書かれていたことだなとも思った。ただわかるのは、女の身でこの本を読めて良かった。何一つとして共感のできない自分で良かった。この時代の今の私が、この本を手に取ってくれて良かった。それだけ。

Posted byブクログ

2024/11/02

「でもこれは残るようにしなけりゃいけないよ、いけない。伝えなければ。世界のどこかにあたしたちの悲鳴が残されなければ。あたしたちの泣き叫ぶ声が。」 帰ってきた彼女たちを苦しめたのは、戦地で優しかった男たちだけじゃない。家族や他の女たちも同じだった。心が痛い。

Posted byブクログ

2024/11/02

先の大戦に従軍した女性らのインタビュー集。ソ連では200万を超える女性の従軍があったそうだ。それも最前線で、狙撃手や飛行士や工兵、衛生士、あらゆるところにおよぶ。しかも志願である。男性のほうが困った様子がよく証言されている。 つい先日に「同志少女よ~」を読んで少し興味をもったのが...

先の大戦に従軍した女性らのインタビュー集。ソ連では200万を超える女性の従軍があったそうだ。それも最前線で、狙撃手や飛行士や工兵、衛生士、あらゆるところにおよぶ。しかも志願である。男性のほうが困った様子がよく証言されている。 つい先日に「同志少女よ~」を読んで少し興味をもったのがきっかけだったが、やはり戦争は人間を変えるものだとつくづく思う。

Posted byブクログ

2024/10/08

第二次世界大戦中に看護師や軍医としてではなく(そういう人もいたが)、実際に武器を取って敵を殺した女性達の体験を聴き取ったもの。最初の数ページを読んだだけで心が痛み、なかなか読み進められなかった。女性達のほとんどが自ら熱烈に志願して戦場に行ったこと、スターリンを信奉していたことはシ...

第二次世界大戦中に看護師や軍医としてではなく(そういう人もいたが)、実際に武器を取って敵を殺した女性達の体験を聴き取ったもの。最初の数ページを読んだだけで心が痛み、なかなか読み進められなかった。女性達のほとんどが自ら熱烈に志願して戦場に行ったこと、スターリンを信奉していたことはショック!戦争中は英雄として崇められたのに、戦後は男達の軽蔑の目に遭い、結婚にも差し支えがあったことにやりきれない思いがする。

Posted byブクログ