商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 法政大学出版局 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784588140303 |
- 書籍
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水と夢 物質的想像力試論 新装版
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水と夢 物質的想像力試論 新装版
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水は私たちの想像力の源泉であり、無意識の深層を映し出す鏡である——。ガストン・バシュラールの『水と夢』は、そんな「物質的想像力」の探求として読むことができます。著者は詩人たちの作品を縦横に渉猟しながら、水のイメージがいかに人間の想像力を形作ってきたかを、独自の視点から解き明かして...
水は私たちの想像力の源泉であり、無意識の深層を映し出す鏡である——。ガストン・バシュラールの『水と夢』は、そんな「物質的想像力」の探求として読むことができます。著者は詩人たちの作品を縦横に渉猟しながら、水のイメージがいかに人間の想像力を形作ってきたかを、独自の視点から解き明かしていきます。 本書の特徴は、水のイメージを様々な相において捉える点にあります。清らかな泉水、深く暗い沼、荒れ狂う大海、静かに流れる川——それぞれの水が、異なる想像力の様態を生み出します。例えば清らかな水は若さや純粋性の象徴となり、暗い水は死や深層心理との関連を持ち、流れる水は時間性や生命の持続を表現する、というように。 バシュラールが注目するのは、これらの水のイメージが単なる比喩や象徴以上のものだという点です。水は私たちの想像力に働きかける「物質」として、詩的創造の源となります。例えばエドガー・アラン・ポーの作品における「黒い水」のイメージは、単なる描写を超えて、人間の無意識の深層と共振する物質的な力を持っているのです。 また本書では、神話的イメージの解釈も試みられます。カロンの渡し船やオフェーリアの水死など、水にまつわる神話的モチーフが、現代の文学作品の中でいかに反響しているかが丹念に分析されます。それは同時に、人類の集合的想像力の探求でもあります。 注目すべきは、バシュラールが科学者でありながら、あえて「非合理」の領域に踏み込んでいく姿勢です。彼は理性的認識と詩的想像力を対立させるのではなく、むしろ両者の相補性を見出そうとします。水という物質を通じて、科学的認識では捉えきれない「想像力の論理」を探求するのです。 現代の読者にとって、本書の意義はどこにあるのでしょうか。それは恐らく、合理性が支配する世界において、なお私たちの内面に生き続ける「物質的想像力」の重要性を示唆している点にあります。デジタル化が進む現代だからこそ、水という原初的な物質が呼び覚ます想像力の世界に、新たな意味を見出すことができるのではないでしょうか。 本書を読み進めていくと、日常的に接している「水」という存在が、徐々に異なる相貌を見せ始めます。それは私たちの想像力の源泉として、また無意識の深層を映し出す鏡として、新たな輝きを放ち始めるのです。バシュラールの『水と夢』は、そんな「物質的想像力」の可能性を開く、きわめて示唆に富んだ探求の書と言えるでしょう。
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科学思想を専門とする先生から、聞いた一冊。 流し読みをすることを勧められ、パラパラとみて、気になった箇所しか読んでいない。 印象としては、水をテーマとし、物質的な水や文学的な水、など、さまざまな水の面が描かれており、科学書でもあるが、文学的要素も持つなという感じ。 バシュラー...
科学思想を専門とする先生から、聞いた一冊。 流し読みをすることを勧められ、パラパラとみて、気になった箇所しか読んでいない。 印象としては、水をテーマとし、物質的な水や文学的な水、など、さまざまな水の面が描かれており、科学書でもあるが、文学的要素も持つなという感じ。 バシュラールの文章は、理解はしにくいが、綺麗な言葉で綴られているように感じる。 先生が言っていたとおり、一文で強い意味を持つ文章体である。
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