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戦後入門 ちくま新書1146
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戦後入門 ちくま新書1146

加藤典洋(著者)

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戦後入門 ちくま新書1146

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2015/10/07
JAN 9784480068569

戦後入門

¥1,540

商品レビュー

4.6

25件のお客様レビュー

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2025/08/15

著者がヨシモト先生(吉本隆明)系の人ということで本書を敬遠していたが、評判が気になって、ついに読む気になった。 本書を敬遠していたもう一つの理由は、著者が文芸評論家であることが引っかかるから。やはり、戦後日本論は、文学系の視点よりは、社会科学系(特に政治思想)の視点のほうが、私の...

著者がヨシモト先生(吉本隆明)系の人ということで本書を敬遠していたが、評判が気になって、ついに読む気になった。 本書を敬遠していたもう一つの理由は、著者が文芸評論家であることが引っかかるから。やはり、戦後日本論は、文学系の視点よりは、社会科学系(特に政治思想)の視点のほうが、私の好みに合う。文学系の視点はしなやかで、美的で、繊細で、個性的であるのはよいが、その分だけ現実性、客観性、普遍性から遠ざかると思う。 まあ、こういう屁理屈を言うヒマがあったら、本書を処分するか読むかのどちらかにしろ、と言われそうだ。そこでザッと本書を見ると、「あとがき」の次の箇所に目が留まった。以下はその概要である。 <今回の本を書くにあたって、私がもっとも励まされ、教えられたのは、イギリス人のロナルド・ドーラと、元編集者の矢部宏冶という二人の「部外者」による憲法九条論だった。二人の共通点は、憲法九条の精神を今に生かそうとしたら、それは「護憲」ではなく、「改憲」となる、と見切ったことだ。 彼らから一番教えられたのは、憲法九条の精神の実行に向けた「改憲」論を支える、生き生きとした世界観だ。ドーラは、なぜ日本は世界のことを考えないのか、と言う。憲法九条は、「日本は世界と共にある。世界と共に生きていく以外に自分を全うできない道を選んだのだ」という宣言ではないか、と言う。 また矢部は、沖縄に赴くことで、今何が必要なのか、と言うことを日本に関してつかんでいる。彼の基地撤廃条項の九条への書き込みというアイディアはフィリピンに学ぶ独立の仕方である。それを彼は沖縄で見つけたと私は思う。沖縄と連帯しようとすれば世界につながる。護憲では済まない、という彼の声が聞こえる。 池澤夏樹は、”矢部の本の真価は改憲の提案にある”と評し、”今は直進の「護憲」ではなく「左折の改憲」が必要かもしれない”、”自分の答えは「もう護憲では足りない。左折の改憲を」”と書いた。> うーん、「直進の護憲」から「左折の改憲」へと捻りが入って進歩が見られるが、現実的な具体策がよくわからないので、まだ文学的なムードが抜けていないようだ。せっかく美しい問題提起をしても、何しろ相手は強大(膨大、恐大、狂大、凶大、etc.)な「アメリカ帝国」だから、簡単に事が進むわけがない。本物の保守派の江藤淳氏や国家主義者の安倍元首相ですら酷い目に遭ったと言われている。必ず潰されるのに、一体具体的にどうするつもりなのですか? そういう点に注意して読めば、本書は戦後日本を概観する上で十分参考になると思う。著者の人柄が良さそうだし、本書の感じも良さそうだしということで、まだ全部を読まないうちに評価を満点の星5つ★★★★★にしてしまった。そういう私も現実的ではない。 著者が 2019年に亡くなっていることは知らなかった。ご冥福を祈ります。

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2025/04/30

新書にして600頁越えのボリューム感に怯み、早く読みたいと思いながら、長らく積読状態に置かれていたもの。やっと読めました。しかしこれ、どうせ読むなら早く読んどくべきだな。新たな戦前なんて言われちゃうような今日に読んだからこそ、相当に響くところがあったのかもしらんけど。 まず、枢軸...

新書にして600頁越えのボリューム感に怯み、早く読みたいと思いながら、長らく積読状態に置かれていたもの。やっと読めました。しかしこれ、どうせ読むなら早く読んどくべきだな。新たな戦前なんて言われちゃうような今日に読んだからこそ、相当に響くところがあったのかもしらんけど。 まず、枢軸国側と連合国側の争いであった大戦が、終戦後にいつの間にか、民主対共産に置き換えられたとの指摘から始まる。その原因として、根底には原爆投下の責任回避的側面が垣間見え、結果的に、現在まで続くところのアメリカ従属体質が維持され続ける問題にまで論が及ぶ。必然的に憲法第九条に言及される訳だけど、どう改正を声高に叫びつつ、一方で対米従属方針を強めていくべく立ち回る論理矛盾が、いかに荒唐無稽か、すっと腑に落ちる。ではどうすべきか。フィリピンが、対米関係をこじらせることなく、米軍基地の撤廃に成功した例を引き、日本でも同様の可能性が探れると説く。本書上梓から十年が経過し、氏が鬼籍に入られてからも世界の変化は著しい。コロナ禍やウクライナ侵攻・ガザ侵攻で、本書でも一番の拠り所としている国連の、そのプレゼンスは低下している印象を拭い切れない。本書の論旨を、まんま現代に適用するのは、ますます困難になっているけど、それでも十分に通用し得るもの。それだけに、今の世に対する氏の論考がもはや聞けない喪失感が大きい。

Posted by ブクログ

2021/03/08

フィリピンのアメリカ基地撤去の事実と経緯は衝撃、これが何故もっと報道され話題にならなかったのか。日本の対米依存・従属という構造的特殊性は政治運営において有能な選良による相当の覚悟と洞察が必要とされる。現下の政治状況は差し迫る地政学的難易度を考えても到底看過できるレベルではない。敗...

フィリピンのアメリカ基地撤去の事実と経緯は衝撃、これが何故もっと報道され話題にならなかったのか。日本の対米依存・従属という構造的特殊性は政治運営において有能な選良による相当の覚悟と洞察が必要とされる。現下の政治状況は差し迫る地政学的難易度を考えても到底看過できるレベルではない。敗戦後の日本政治が辛うじて歩んできた主体性や峻厳さがリーダー人材の不作により溶解しつつある。

Posted by ブクログ