商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2014/12/17 |
JAN | 9784062882934 |
- 書籍
- 新書
善の根拠
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善の根拠
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3.6
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『人間においてのみ、善悪が問題になるのは、この「自己」が「他者」に由来するという矛盾と困難があるからだ。すなわち、そういう存在の仕方を「自己」がしているからなのだ。この矛盾を矛盾として、困難を困難として認識できるということ(すなわち、それが「ある」こと)は、「自己」と「他者」の関...
『人間においてのみ、善悪が問題になるのは、この「自己」が「他者」に由来するという矛盾と困難があるからだ。すなわち、そういう存在の仕方を「自己」がしているからなのだ。この矛盾を矛盾として、困難を困難として認識できるということ(すなわち、それが「ある」こと)は、「自己」と「他者」の関係性それ自体を認識できるということである。(略)「自己」という存在が「他者から課された」という構造によって無根拠に開始されてしまうということである。善悪はこの構造に対する態度のとり方の問題なのだ』 あと、3回はこの本を読まないと!
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2冊ほど読んだ南師の本が面白かったので読んでみた。 善悪というのが一体どういう構造で起こるのかというのを実験的に解説されているけれど、すごい。 冒頭の序とⅠがすごい。 その後、戒律(十重禁戒)を例にして解説をされていくのだが、自分はわが身に引き当てたことをいろいろ想像して...
2冊ほど読んだ南師の本が面白かったので読んでみた。 善悪というのが一体どういう構造で起こるのかというのを実験的に解説されているけれど、すごい。 冒頭の序とⅠがすごい。 その後、戒律(十重禁戒)を例にして解説をされていくのだが、自分はわが身に引き当てたことをいろいろ想像してしまって重い。さーっと読める人もいるかもしれないが、自分の生活の現状と合わせて見たら考えさせられる。 そこが終わって後半が対談(っていうか相手誰?)になるのだけど、これがさらに面白い。前半での解説の意味が生きて届いてくる感じ。善悪の根拠について死刑制度にまで発展する。不貪淫についおおおそこにくるのかというところ。面白い。自殺についてのところもこういう整理された文章をみると自分も考えやすいなと思った。 あとがきでこの不可解な構成の本の成立について明かされている。まさに本という体裁にされるための苦心がうかがわれた。 自分はこの本を読んで、「自灯明法灯明」について再考させられた。自己がどうして自己たり得ているのか。自分はだれかに「課せられている」。ひとつひとつ自分に当てはめて考える。自分はひとりで自分でいられないのだなとつくづく思い、また縁起によってなりたついまこのひとときも変わりゆくものなのだと思ってこれを書いている。 自分が南師の著作が好きなのは、本質のところをきちんとおっしゃっているところ。温かく優しい世界でない仏教をダイレクトに伝えている。背筋が伸びる。禅やってないけど。
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縁起説とすべての物は空だという仏教の教義を公理として、加えてこれらの教義を受け入れて仏門に入る事が善(の源泉)であるという確信に基づいて、善について整理しようとしたもの。 結果的にあまり上手く行ってない。というのは著者が言うとおり、あらゆる物が空だとした瞬間に善悪が成立しなくな...
縁起説とすべての物は空だという仏教の教義を公理として、加えてこれらの教義を受け入れて仏門に入る事が善(の源泉)であるという確信に基づいて、善について整理しようとしたもの。 結果的にあまり上手く行ってない。というのは著者が言うとおり、あらゆる物が空だとした瞬間に善悪が成立しなくなるから。 仏教の戒律についてこの考え方に基づいて解釈を試みてもいるが、常識に合致するように論理を設計している印象があり、結構つらい。 この本で学んだことは、下記のようなこと。 1.哲学的思索は思索する個人にとって腹落ちした公理に基づいて展開されるので、その公理に共感できないとその思索に全然同意できない。 2.諸行無常、一切皆苦、解脱といった考えは、生を肯定しないので、現代において仏教が幅広い共感を得て、社会の規範となることはかなり難しそう。 3.アートマン(不変の自己の本質)の否定を、自己は存在しない(無我)へと繋げたことも仏教が普遍性を獲得しにくくしている。変わってしまう自分であっても、今の自分は確かに存在するんだという、生き物としての確信と合致しないため。
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