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スターリン 「非道の独裁者」の実像 中公新書2274
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スターリン 「非道の独裁者」の実像 中公新書2274

横手慎二(著者)

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スターリン 「非道の独裁者」の実像 中公新書2274

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2014/07/25
JAN 9784121022745

スターリン

¥990

商品レビュー

4.1

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2025/04/03

【序章】なぜ今スターリンなのか スターリン像は20世紀を象徴する「非道の独裁者」として広く知られているが、同時にロシアでは一定の敬意・郷愁の対象ともなっている。 本書の目的は、功罪を含めた歴史的実像に迫り、スターリン支配の本質と継承を問い直すことにある。 第1章 ゴリの少年 1...

【序章】なぜ今スターリンなのか スターリン像は20世紀を象徴する「非道の独裁者」として広く知られているが、同時にロシアでは一定の敬意・郷愁の対象ともなっている。 本書の目的は、功罪を含めた歴史的実像に迫り、スターリン支配の本質と継承を問い直すことにある。 第1章 ゴリの少年 1878年または1879年、グルジアのゴリに生まれ、貧しい家庭環境で育つ。 教会学校・神学校で学ぶが、革命思想に目覚め中退。 父の暴力、母の教育熱、奨学金での学業、成績優秀など、抑圧と努力の中で自己形成が進む。 第2章 カフカースの革命家 革命活動家「コーバ」として地下運動に関わる。 労働運動・民族政策に関心を持ち、過激化していく。 論文で階級闘争と民族問題の結合を訴え、初期マルクス主義者としての輪郭が形成される。 第3章 コーバからスターリンへ 革命と反体制運動を繰り返し、逮捕と流刑を経る中で政治的実務家・組織家としての地位を築く。 「スターリン=鉄の人」という名を使い始める。 党の実務と地下活動に長けた人物として頭角を現す。 第4章 ロシアの革命と内戦 1917年の二月革命・十月革命を経てボリシェヴィキ政権樹立。 スターリンは民族人民委員として少数民族政策を担当。 レーニンとの方針の違い(連邦構想)や内戦・赤色テロルへの関与が支配の実績に転化される。 第5章 権力闘争の勝者 レーニン死後、党内での後継争い(トロツキー・ジノヴィエフ・ブハーリンら)において、組織掌握と実務能力で優位に立つ。 党組織(ノーメンクラトゥーラ制)を掌握し、政策論争の名のもとに反対派を排除。 「一国社会主義」「漸進的経済政策」などの論点を利用しながら、権力を独占。 第6章 最高指導者 五カ年計画による重工業化、農業集団化を推進。経済の国家的再編に成功する一方で、農民・技術者に大犠牲を強いる。 大飢饉(特にウクライナ)では数百万人が死亡。 妻の自殺以降、個人としての感情を封じ「国家そのもの」となる。 粛清(1934〜38年)は、古参党員・軍部・知識層を広範に対象とし、恐怖による全体統制を確立。 第7章 ヒトラーとの戦い 独ソ不可侵条約を結び、一時は共犯的関係に。 1941年ドイツの侵攻(バルバロッサ作戦)で戦争に突入。 懲罰部隊や「一歩も下がるな」命令など、戦時にも恐怖統治を適用。 スターリングラード戦での勝利後、国民的英雄となる。 ヤルタ会談を通じて、戦後ヨーロッパ秩序の形成に決定的影響力を持つ。 第8章 アメリカとの戦い 戦後は米ソ対立が本格化(冷戦の開始)。 マーシャル・プラン、NATOの成立、朝鮮戦争などで対立が深まる。 スターリンは東欧衛星国の体制管理、中国との同盟形成、核武装による均衡維持に努めるが、外交柔軟性は失われていく。 晩年には被害妄想的傾向が強まり、側近粛清も再燃。 終章 歴史的評価をめぐって スターリンは最悪の独裁者と見なされる一方、ロシア国内では「強い国家をつくった指導者」として再評価もされている。 抑圧・暴力と、戦勝・工業化・国家建設の功績は一体不可分。 歴史家・市民・政治家の間で評価が分裂し続けており、現代ロシアの政治と記憶にも深く影響を与えている。 本書の結論的メッセージ: スターリンの実像とは、「恐怖と統制による国家建設のモデル」であり、その暴力性と成果の両面を直視しなければならない。単なる独裁者でも救世主でもなく、20世紀における極端な近代国家統治の具現であり、現代世界における「強い国家」志向と権威主義的傾向の源流のひとつである。

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2024/07/01

スターリン 「非道の独裁者」の実像 著:横手 慎二 中公新書 2274 スターリンがヒトラーとともに20世紀を代表する独裁者である だがヒットラーは死に、スターリンは、その生を全うした 農民を弾圧し、急速な工業化を成し遂げ、欧米に対抗する力を得たソ連は、反体制派や非協力者をシベ...

スターリン 「非道の独裁者」の実像 著:横手 慎二 中公新書 2274 スターリンがヒトラーとともに20世紀を代表する独裁者である だがヒットラーは死に、スターリンは、その生を全うした 農民を弾圧し、急速な工業化を成し遂げ、欧米に対抗する力を得たソ連は、反体制派や非協力者をシベリアに抑留して体制を維持した。それは、スターリンの指示によるものだった。 気になったのは、以下です ■スターリンの成長  ・スターリンとは、鋼鉄の人を意味する。本名は、ソソという  ・レーニンの片腕となり、革命家として成長していく  ・レーニンたちは、ヨーロッパの同士と連携して革命を進めてしようとしたが、スターリンは、ロシア一国で革命を進めることを目指した 共産党の変容  ・共産党の階層化  ・国家機関の再編、共産党の一党支配へ  ・国家機関の共産党による人事権の掌握 ■スターリンの功績 ソ連を農業国から、工業国へと転換するために、漸進的な工業化政策の転換  ・ソ連は列国に対抗するために、速やかに工業化を目指さなければならなかった  ・そのためには、農産物を売って、外貨を稼ぎ、水力発電所や鉄道を建設した  ・農産物を隠そうとした農民を弾圧し、抵抗したものを、シベリアに流刑にし、また、粛清した  ・重工業部門への投資を優先したがために、軽工業への投資がおざなりになり、日用品の不足が慢性化した 飢饉  ・農民から穀物を収奪した結果、ウラルやウクライナ、ヴォルガ地方で飢饉が始まった  ・農民が、農村から出て行くことを禁止し、極秘指令を出し、北カフカースやウクライナの農民を弾圧した  ・飢饉でなくなったのは400万人から500万人と推定される、それは、第一次世界大戦で死亡したロシア国民より多くのソ連人が命を落としたのである 大粛清   ・処刑された女性は数万に及ぶ  ・その中には、政治犯以外にも、聖職者や海外に親類縁者を持つ者、敵側の諜報員と連絡を取っているのではないかと疑われて、弾圧されて人々も入っている  ・こうして、政治的な理由で逮捕されたのは、134万人に達し、そのうち68万人余りが処刑された 強制移民  ・中央アジアの少数民族の強制的追放政策を強力に推し進められた  ・この地域に住んでいた、チェチェン人、ツングース人、バルカル人、カラチャイ人、カルムイク人は、ドイツ兵に協力した者がいたとして、これらの民族をはるか遠方に追放する策を勧めた  ・ソ連国内の朝鮮人、ヴォルカ地域のドイツ人、バルト地域の3民族、ポーランド人などソビエト体制の敵になる可能性があるとみなした民族に対して、同様の追放措置をとってきた  ・第二次世界大戦後、ユダヤ人排斥運動がおきた フルシチョフのスターリン批判  ①スターリンの粗暴さ  ②キーロフ暗殺以降の大粛清  ③第二次世界大戦期のスターリンの失敗  ④戦中、戦後の個人崇拝 戦後のスターリンの妄想  ・戦後のソ連は、ドイツと日本からの報復攻撃を極端に恐れていた 目次 はじめに 第1章 ゴリの少年 第2章 カフカースの革命家 第3章 コーバからスターリンへ 第4章 ロシアの革命と内戦 第5章 権力闘争の勝者 第6章 最高指導者 第7章 ヒトラーとの戦い 第8章 アメリカとの戦い 終章 歴史的評価をめぐって おわりに 主要参考文献 スターリン関連年表 主要人名索引 ISBN:9784121022745 出版社:中央公論新社 判型:新書 ページ数:320ページ 定価:900円(本体) 2014年07月25日初版 2018年08月30日6版

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2024/06/03

スターリンの人間性や言動の背景について、これまでの「極悪非道」といった彼への評価に対して、広範な歴史資料をもとに慎重に検討した一冊。大粛清に至った側面よりも、スターリンが最高指導者の座を獲得するまでの道程により焦点が当てられていた向きがあった。スターリンが理論的な指導者であるとい...

スターリンの人間性や言動の背景について、これまでの「極悪非道」といった彼への評価に対して、広範な歴史資料をもとに慎重に検討した一冊。大粛清に至った側面よりも、スターリンが最高指導者の座を獲得するまでの道程により焦点が当てられていた向きがあった。スターリンが理論的な指導者であるというよりも、実践的な革命家であったことが印象的。後半になるにつれて、スターリンの思想の内実ではなく、ソ連やその周辺国における史実が中心に扱われていた点が惜しいと思った。スターリンの猜疑心が強くなっていった道程や、若き頃の思想からの変化がどのようであったかがもう少し描写されていると、より楽しめたかと思う。

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