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中国の歴史認識はどう作られたのか
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2014/05/17 |
JAN | 9784492212165 |
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中国の歴史認識はどう作られたのか
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商品レビュー
4.1
9件のお客様レビュー
読み終わってから、少し時間をおいて書評を書く。その為、先ずどんな本だったかを思い出す必要がある。その時真っ先に考えるのは、タイトルに対しての回答だ。つまり本書では、中国の歴史意識はどう作られたのかということ。 端的に述べられ、すでに通説としても認識されているだろうが、改めて、中...
読み終わってから、少し時間をおいて書評を書く。その為、先ずどんな本だったかを思い出す必要がある。その時真っ先に考えるのは、タイトルに対しての回答だ。つまり本書では、中国の歴史意識はどう作られたのかということ。 端的に述べられ、すでに通説としても認識されているだろうが、改めて、中国生まれの著者から確認することで理解を固める。つまり、以下の内容だが、1992年以降に公認された新しい教科書で、公式見解だった従来の毛沢東的な「勝者の物語」にとって代わったのは、自分たちの苦悩を西洋のせいにする「被害者としての物語」である。ナショナリズムの論法が、「勝者としての中国」から、徐々に「被害者としての中国」へと様変わりしていったのである。何より、その加害者側のシンボル的存在が日本である。 ー 外国による侵略や敗戦といった体験は、民族集団の「選び取られたトラウマ」の重要な源泉となる。中国が恥辱の一世紀の間に被った外国による主要な侵略としては、第一次アヘン地争、第二次アヘン戦争、中日戦争[日清戦争]、八か国の連合軍による侵略[義和団事件]、日本による満州侵略[満州事変]、そして抗日戦争[日中戦争]などがある。領土の割譲、賠償金の支払い、国権の一部放棄などは、すべて諸外国との「不平等条約」と関連していた。「恥辱の一世紀」は別名「条約の一世紀」とも呼ばれるが、それは多くの列強諸国が、軍事的勝利に引き続き、中国に壊滅的な打撃を与えるような一連の合意を強要したからである。そうした条約は、おおかた中国に多額の賠償金の支払いを命じ、開港、領土の割譲、あるいは外国勢力の影響力を容認するような種々の譲歩を押しつけるもので、中国側からすれば不平等だった。 現在の中国の横暴を正当化するわけではないが、述べられる事は事実である。にも関わらず、今の中国が単純化された勧善懲悪の二元論で悪者側として語られるのは、中国に対する後ろめたさと恐怖感ゆえに抑え込んでしまいたい戦略であるし、私自身もそうすべきだと考える。また、当然、過去があるからと今が許される訳でもない。しかし、この感覚は恐らく日中で乖離するはずだ。 「勿忘国恥」(国恥を忘れることなかれ)という漢字四文字。集合的なアイデンティティは常にある程度は相対的なものだ。他の集団の集合的なアイデンティティと比較したりそれに言及したりすることで、自分たちの集合的なアイデンティティが作られていく面もあるのだ。そこには、他の集団に対する「排他性」、自分たちの「地位」、他の集団に対する「敵意」が含まれる。 ー 抗日戦争を記述する「物語」にも見直しが施された。かつては共産党対国民党という国内の階級闘争に重点が置かれていたが、日本と中国との間の国際的、民族的な紛争の面が強調されるようになった。一九八〇年代初頭の歴史教科書では、国民党の腐敗、無能、そして無抵抗政策などが事細かに書かれていたし、抗日戦争を戦ったのはもっぱら共産党軍ということになっていた。ところが新しい教科書が語る歴史では、日本軍に対する国民党軍の抗戦もかなり評価されている。 愛国主義教育キャンペーンは歴史の語り方を変えたわけだが、もうひとつ大きな変化が起きているのが、「勝者」から「被害者」へという転換だ。 731部隊の映画が作られ、来年公開予定。堂々とコマーシャルを打って中国のSNSで盛り上がっていたそうだ。9月18日は柳条湖事件の日、これの影響かは知らぬが、深圳で日本人児童が刺殺された。慌てた政府はSNSを規制したようだが、映画はどうなる。敵意を頼りに集結させたなら、その指揮棒をどう振るうのか、やはり国の責任である。
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【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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中国共産党の公式党文書、江沢民・胡錦濤らの演説などを豊富に参照し、中国の恥辱の過去100年(アヘン戦争から第2次大戦まで)史からの復興の指導的立場に立つのが党であることを強調し、「愛国」党へ変身したことを説得力に溢れ論証。「勿忘国恥」がキーワード。今やプロレタリア代表ではなく、国...
中国共産党の公式党文書、江沢民・胡錦濤らの演説などを豊富に参照し、中国の恥辱の過去100年(アヘン戦争から第2次大戦まで)史からの復興の指導的立場に立つのが党であることを強調し、「愛国」党へ変身したことを説得力に溢れ論証。「勿忘国恥」がキーワード。今やプロレタリア代表ではなく、国民の利益を代表するとの表現が随所に溢れる。事実上、資本主義化した中国社会を統一して行くために、今や毛沢東の功績を、「共産国家設立」ではなく、「統一と誇りの回復」に絞るのは、考えれば必然の流れかもしれない。2008年は北京五輪だけではなく、同年5月の四川震災対策が大きな意味があり、古代より大災害に繰り返し襲われ、統一王朝の力が試されてきた。それ故に震災と当日にすでに温家宝首相が四川入りしたこの行動の早さ!。素晴らしいが唯一党の正当性、存在意義が問われた場面だった!心の傷を負った忘れがたい国民的体験は政府が利用するまでもなく、ストーリーとして国民に染みついているものだろうと思う。20世紀初頭に当時随一のインテリ梁啓超が「中日戦争が4000年の長き夢からわが国を目覚めさせた」と語ったとは意味深い。五輪で中国が金メダルだけを評価するということも「東亜の病夫」との侮蔑の言葉への反動から来ているということも面白い。このような中国の誇りを傷つけることが、日本にとって如何にマイナスかを知る必要性が高い。靖国は過去ではなく、現在の中国の威信問題なのだ。「黒い記念日」は、いかにも中国らしい。1999年のベオグラード大使館の誤爆事件の際の、政治局常務委員7名の意見が紹介されていることは実に興味深い。米国の陰謀を主張する指導者たちの強い声に根の深さ、危険性を感じる。
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