- 新品
- 書籍
- 文庫
菩提樹の蔭 他二編 岩波文庫51-3
616円
獲得ポイント5P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1984/12/01 |
JAN | 9784003105139 |
- 書籍
- 文庫
菩提樹の蔭 他二編
商品が入荷した店舗:店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
菩提樹の蔭 他二編
¥616
在庫なし
商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
印度に住む老年の彫刻家の愛娘は、彫刻家の弟子と密かに愛し合っていた。 家の裏の大きな菩提樹は彼らの愛の棲家。 娘が死んだ時、彫刻家と弟子は娘の彫像を作り上げる。 しかし弟子は愛する者の姿だけでは満足できなくなり、大それた望みを耶摩神に希う。 畏れを知らぬ人の望みに、耶摩神の下す天...
印度に住む老年の彫刻家の愛娘は、彫刻家の弟子と密かに愛し合っていた。 家の裏の大きな菩提樹は彼らの愛の棲家。 娘が死んだ時、彫刻家と弟子は娘の彫像を作り上げる。 しかし弟子は愛する者の姿だけでは満足できなくなり、大それた望みを耶摩神に希う。 畏れを知らぬ人の望みに、耶摩神の下す天罰は…。 /「菩提樹の陰」 この小説は、中勘助の学生時代の友人の娘妙子のために書かれたものらしい。 この本1冊には妙子との交流を書いた「郊外 その2」と、「妙子への手紙」とが収められている。 中勘助は10歳くらいの妙子を膝に乗せ「僕のお嫁さん」と慈しむ。 妙子は祖母や母への複雑な距離感で育ち、第二の父以上の存在として”なかさん”に懐く。 中勘助の妙子への愛は無私にて無条件だが盲目にならず、というものと書き記されている。
Posted by
「銀の匙」で夏目漱石に高い評価をされた中勘助は、 かつて友人の幼い娘に童話を作って、話してやった事があった。 自分と同じように「複雑な家庭の事情」によって、 悩み苦しんだその娘を憐れみ、 彼女が35歳という若さで亡くなるまで、 中氏はありったけの愛情を注ぎ、 そして永遠の良き理...
「銀の匙」で夏目漱石に高い評価をされた中勘助は、 かつて友人の幼い娘に童話を作って、話してやった事があった。 自分と同じように「複雑な家庭の事情」によって、 悩み苦しんだその娘を憐れみ、 彼女が35歳という若さで亡くなるまで、 中氏はありったけの愛情を注ぎ、 そして永遠の良き理解者であり続けた。 その可愛がっていた娘が成長し、若い母親になった時、 中氏はその童話を「大人のためのメルヘン」として書き直した。 それが本作品の「菩提樹の蔭」である。 印度の彫刻師の若者の愛と死を描いた、この作品を貫くテーマは 「本当の無私の愛とは何か」といった問いかけである。 愛しい娘が死んだ時、若者とその娘の父親は彼女の石像を作り、 若者は「耶摩」の神に願い、娘の石像に命を吹き込んでもらった。 そんな若者の行いを、物語の作り手である中氏は 「美しい愛に奇跡」と捉えずに、 その後、若者に恐ろしい神罰が下されたように 「自分のエゴによってひき起こされた悲劇」だとした。 過酷な運命を引き受け、己の自由や感情を抑圧して生きた中氏は、 この「悲しい恋の物語」を通して、 実の子のように可愛がっていた娘に何を伝えたかったのか。 中氏本人や関係者達が亡くなった現在となっては、 我々読者は、本作品と共に収録された、 友人の娘と過ごした思い出を綴った随筆「郊外へ その二」と 彼女へ送り続けた手紙を集めた「妙子への手紙」を読み、 その思いを推し量るより他はない。
Posted by