商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2013/06/27 |
| JAN | 9784101240589 |
- 書籍
- 文庫
丕緒の鳥
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丕緒の鳥
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商品レビュー
4.1
652件のお客様レビュー
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2本目、落照の獄 とても面白かった。 これまで読んできたシリーズの中でも群を抜いてファンタジー要素が薄い。 これまでのストーリーで紡がれててきた、現実世界ではあり得ないファンタジーの世界観を確実に引き継ぎ、前の巻でチラついていた伏線を綺麗に拾い上げながら、それと同時に現在の現実世界で見られるのと全く同じ問題、つまり司法の意義や矛盾に苛まれるリアリティのバランスが素晴らしく、まだ次の章を読んでいないのに興奮して感想を書いている。 私はこれを読んで、死刑は国家が罪人を理解し、更生させる努力を放棄した結果である、という主張を作者から受け取った。森鴎外の高瀬舟を彷彿とさせる。死刑を宣告した後の主人公らの敗北感、このような罪人を生み出した国家の怠慢を、国家自身が蓋を覆って見なかったことにしてしまうことへの違和感、それを自覚していてもなお、そうせざるを得ない無力感が最後のページに克明に刻まれていて、後味の悪い読後感がさすが残穢を書いた人だなというだけある。小野不由美はやっぱり不気味なストーリーを作るのがうまい。 国家統治の話を個人の日常生活に落とし込むのは的外れかもしれないと思うが、最近私がぼんやり考えることにも繋がっていると思う。誰かを憎んだり、嫌いになったりするのは、自分がその相手を理解しようとする努力が足りていないからだと思う。きれいごとに聞こえると思うけれど、理解しようとする努力をやめることがないように、心身ともに余裕を持つように生活環境を整え、軽率に人を判断して自分と他者に壁を作ることがないように生きていきたいと思う。
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ミュージカル化をきっかけに暮れから読みはじめた「十二国記」シリーズ、エピソード1から8まで順に読み進んで、エピソード0「魔性の子」も読み終えたので、残る大長編の前に一息入れるべく、未読だった文庫オリジナル短編集を入手。 (春学期が始まったらしばらく読めないかもしれないけど、夏休み...
ミュージカル化をきっかけに暮れから読みはじめた「十二国記」シリーズ、エピソード1から8まで順に読み進んで、エピソード0「魔性の子」も読み終えたので、残る大長編の前に一息入れるべく、未読だった文庫オリジナル短編集を入手。 (春学期が始まったらしばらく読めないかもしれないけど、夏休みに「白銀の〜」をを読めば、今秋の新作は満を持して手に取れる) 本編は陽子や泰麒ら天の側で成長していく若者の物語だが、こちらの短編はどれも、どちらかというと無も無き民の働く姿をていねいに描いた名品ぞろいだった。どの作品も、報われようとそうでなかろうと誠実に最善を尽くして自分の仕事に打ち込む大人が、役割や責任の重さに耐えるべく煩悶する、その心理描写がくわしく、読み飛ばせるところなどなく、時間とエネルギーのかかる読み応えのある一冊だった。 解説は辻真先。 どれもはっきりとした結末があるというより余韻を残した終わり方で、彼らのその後がいつか本編でふれられるときもくるのだろうか… 表題作「丕緒の鳥」(yom yom vol.6, 2008)は、儀式のための鳥をかたどった細工を担当する男の物語。代々の王のために彼なりに儀式の意義を考え、思いを込めて制作するも肝心の王にそれがつたわらなかったり、女王たちが民や権威をじゅうぶんに顧みない姿をみたり、上司や同僚が理不尽な目にあったりという歳月の中でほとんど虚無になったところで新王(陽子)のためにはじめて準備をすることになり⋯ 最後は落涙を禁じ得ず。 「落照の獄」(yom yom vol.12, 2009)は死刑の是非を考えるディスカッション小説。舞台は柳国、「風の万里〜」で楽俊と祥瓊がしばし道連れになり、「帰山」(『華胥の幽夢』所収)で李広と風漢(延王)が再会したのはこの前なのか後なのかわからないが、揃ってこの国が急に傾き始めたことを危ぶんでいたその裏側でのエピソード。現王の治世の序盤で法の整備が思ったよりしっかり進んでいたといわれていたが、その法の運用をめぐって、司法のトップの三人が苦しむ。苦い結末、柳国はこのあとどうなっていくのだろう、と読み手としても気がかりな終わり方だった。 「青条の蘭」(書き下ろし)もとんでもなく切なくしんどい物語だった。このところ山火事や熊の出没などの問題が増えているだけに山の生態系のバランスが崩れることを憂う専門家たちの焦燥も他人事とは思えなかった。専門家として切実にいだく危機感はうまく伝わらず十分理解されず、主人公はメロスのようにただただ歩き続ける、一刻も早く新王に届けなければならない大切な荷物とその状況に至るまでの数多の人びとの思いを一身に背負って。仙といえど一歩も動けなくなるまで歩いて足が動かなくなった先は市井の心ある人がリレーしていくその荷物は新王にぶじ届くのだろうか、とはらはら見守り、最後の場面で希望を感じさせて終わる。 本文を読んでいてもなかなかわからないけれど延王登極のころという古い話。延王かつての小松尚隆も背負いきれないほどの荷の重みをよく知る者だからね⋯。 「風信」(書き下ろし)は慶国予王の最後の頃、国中の女を追放したときの悲劇を生き延びた少女の話。天涯孤独となり、暦づくりにたずさわる役人の家で下働きするうちに浮世離れした研究者たちの姿に接し、自然観察活動を手伝ううちに心身が解放されていくが、街が理不尽な攻撃を受けたときに現実を忘れていたことを悔い、人助けより記録や書類を優先する研究者たちに違和感を覚える。戦争や災害とむきあわず無力ながら、民の生活に不可欠な暦づくりのためにひたすら自然と向き合う人たちもまた守られるべき存在だ、といつか少女も気がつくのだといいな、燕の雛の数を見て天の理を感じ、希望を語れる研究者もまた、武力とは別の大きな力をもつ尊い存在なのだと。
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王や麒麟ではなく、厳しい環境で生きる民を描いた短編集。事前情報なく読み始め、射儀の準備に、殺刑導入の検討と続き「誰の話???」となりつつも、現実にあるのでは思わせるほどの細やかな描写に惹き込まれました。大筋とは関係ないだろう、射儀、司法、樹木の病、暦。ここまで掘り下げられるものでしょうか?力のない民が、荒廃した国で「国のため」ということばに希望を持ち、1つの荷をバトンリレーのように繋ぐ姿はあつい。小野不由美さんのすごさを改めて、実感しました。
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