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¥2,420
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商品レビュー
4.5
4件のお客様レビュー
男は女子修道院のゴミ箱から生まれ 暗殺者として図書館で育てられた。 読み書きは本から自分で覚えた。 いつしか普通の生活がしたいと 工場で働き、ひとりの女と出会い 一緒に暮らしたこともあったが どうしても 違う自分になることはできなかった。 そんな男を暗殺者というより 多くの人々の...
男は女子修道院のゴミ箱から生まれ 暗殺者として図書館で育てられた。 読み書きは本から自分で覚えた。 いつしか普通の生活がしたいと 工場で働き、ひとりの女と出会い 一緒に暮らしたこともあったが どうしても 違う自分になることはできなかった。 そんな男を暗殺者というより 多くの人々の中のただのひとりとして 当たり前のように悩んだり 胸を痛めたり、誰かを思いやったり 小さな喜びを感じながら生きていることが 淡々と描かれていて 例えば雪のように いろいろな思いが 静かに胸に降り積もるようだった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
プロットもセンテンスも面白くて読みやすく、読ませる力があり、550ページを読み終えるのは苦ではなかった。が…ラストは消化不良。尻すぼみというか…。ずっと一定の面白さ、充実度があっただけに、肩すかし。
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久しぶりに出会った名著である。 先月の韓国文化院 読書討論会の課題図書。 韓国文学を出版しているCuon(http://www.cuon.jp)の本で まずその厚さに驚くが、ページを開いてみれば 行間が広く実に読みやすいことにもっと驚く。 新潮クレストブックスのような紙質も装丁...
久しぶりに出会った名著である。 先月の韓国文化院 読書討論会の課題図書。 韓国文学を出版しているCuon(http://www.cuon.jp)の本で まずその厚さに驚くが、ページを開いてみれば 行間が広く実に読みやすいことにもっと驚く。 新潮クレストブックスのような紙質も装丁もセンスがいい。 それもそのはず。 Cuonの代表取締役 金承福さんも 翻訳のオ・スンヨンさんも 担当編集者の方も みな洗練されたセンスを感じる女性たちであった。 さて本題。 「設計者」の主人公レセン(来世)は暗殺者だ。 「犬の図書館」のタヌキ親父が 修道院前のゴミ箱に捨てられていた彼を拾って育てた。 世の中から忘れ去られたようなその場所で 「設計者」たる誰かからタヌキ親父に 不要になった人間、いることが不都合になった人間を 片付けるよう指令が来る。 レセンが実行する。 レセンはそうやって生きて来た。 学校にも通わず 図書館の本だけを友として。 社会への窓口はそれらの本だけだった。 やがて、彼をとりまく黒い世界に 綻びが生じ始める。 何も考えず、何も感じずに生きて来たレセンが 変わり始める。。。 そんな重たく暗い物語なのだが 冒頭のエピソードの静けさ、美しさに まず心を持って行かれる。 血なまぐさい世界を見つめる レセンの視線が何とも切なく愛おしくなる。 こうした暗殺と暗殺組織はかつて実在したらしく 今も残っているという人もいる。 著者のキム オンス氏はそんな社会 そんな時代への惜別の情を 郷愁と愛情を込めて書いたのかもしれない。 映画化の話があるものの なかなか進行しないのは当然だと思う。 この美しい世界を実写化するのは至難の業だ。 もし中途半端なノアールができあがったら 私が制作者に制裁を加える「設計者」になる。 それほどこの作品が好きだ。
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