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血霧(下) 講談社文庫
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血霧(下) 講談社文庫

パトリシアコーンウェル【著】, 池田真紀子【訳】

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血霧(下) 講談社文庫

995

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2012/12/14
JAN 9784062774369

血霧(下)

¥995

商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

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2018/08/12
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※このレビューにはネタバレを含みます

何とも後味の悪い事件。というか、事件全般が非常に不快。 そもそもフィールディングが最初に出てきたとき、気は弱いけどまじめで誠実な男だったはず。 吹き出物の出やすい体質は最初からだったけど。 なのに、後出しの設定のクセがすごい。 少年の頃、年上の女性による性的被害者だったフィールディング。 相手の女性はそれにより逮捕され、刑務所内でフィールディングの子どもを産む。 成人し、家庭を持った後も、相手の女性と連絡をとり続けたフィールディング。 そのことが前作『変死体』で暴かれたフィールディングの秘密。 そして今作では、それも下巻になって突然にそれに続きができる。 一か所不自然なセリフが上巻にあったことは認める。 でも、それが犯人を示唆したものだというのなら、家族ってなんだろう? 血のつながりが全て? そして、犯人がジェイミーを殺した理由はわかるとして、キャスリーンを殺した理由がわからない。 最初からケイを陥れるつもりだったのも解せない。 ケイを事件に巻き込もうとしたのはジェイミーのひとりよがりな思い付きのはずだ。 だとしたら、犯人が事前にケイの名を騙ってキャスリーンと連絡をとっていたのは、どういうわけか? それらの謎が明かされないまま事件を終結させてしまったのは、読者として非常に消化不良。 それというのもまた、ルーシーが犯人の頭を撃って即死させちゃったからだ。 で、特におとがめなし。 この辺がすごくフェアじゃなくて嫌い。

Posted by ブクログ

2015/06/21

冷静に考えてみて、最後の最後に、今まで触れてもいなかった設定が出てくるというのは、ちょっとずるい。もっとも、その設定に至っての疑問点は既に記されていて、「どうやってまとめるんだろう?」と思っていたところに出てきた設定なので、完全に反則ということでは無いですけどね。もっとハッキリと...

冷静に考えてみて、最後の最後に、今まで触れてもいなかった設定が出てくるというのは、ちょっとずるい。もっとも、その設定に至っての疑問点は既に記されていて、「どうやってまとめるんだろう?」と思っていたところに出てきた設定なので、完全に反則ということでは無いですけどね。もっとハッキリと伏線を示したほうが良かったと思います。

Posted by ブクログ

2015/03/09

 いよいよエンジンが、かかってきたかなと思われるこのシリーズ、何といっても前作から一人称でのケイの視点で記述される文体に戻したことが効果的な結果をもたらしていると言っていい。前作は実は完結していなかったという内容の本作。どの作品にも続編や後作の伏線であったりするのが本シリーズの特...

 いよいよエンジンが、かかってきたかなと思われるこのシリーズ、何といっても前作から一人称でのケイの視点で記述される文体に戻したことが効果的な結果をもたらしていると言っていい。前作は実は完結していなかったという内容の本作。どの作品にも続編や後作の伏線であったりするのが本シリーズの特徴ではあるのだが、一旦シャンドン・シリーズに決着を見てからの新スタートとしての一人称文体、前作の続編として完全に捉えることのできる本書『血霧』も、なかなかスピーディで読みごたえがあっていい感触。  前作までで何とか捕獲した犯罪キャラクターたちが軒並み謎の死を遂げてゆく。しかも過去の人とは言え、ルーシーやマリーノにとっては重要なキャラクターが思いがけぬ再登場を果たしたかと思うとやはりこれまた謎の死を遂げてゆく。どれもが地理的にも状況的にも距離があり離れている場所で、なぜどうやって死に至ったのか、アクロバティックにもほどがあるという連続殺人にぶちあたるケイ・ファミリーであるのだが、一番地道で結論を急がない牛歩タイプのスカーペッタが、究明困難かと思われる真相にどんどん近づいてゆくところが小気味よい。  想像や類推を極度に嫌い、想像でものをいうこと、相手に何かを保証することを避けるために、ケイは常に融通の利かない嫌なセリフばかりを放たねばならないのだが、確実なもののみを捉えない限り何も認めないという科学者的スタンスこそが彼女のルールでありやり方であるのだろう。  一作に一回は爆発するケイ・スカーペッタのヒステリーだが自分を制御できなくなるその相手は最愛のベントンだけなのだから、彼以外のところで強いられている日常的な緊張からのストレスをベントンは嫌でも引き受けなければならない立場なのだろう。愛情ゆえの信頼、それゆえの自己制御が利かない混沌の時間は、二人の時だけのものである。ある意味とても完成された愛情とも取れるが、一方で別組織に属するゆえの二人の職業的守秘義務がもたらす沈黙の苦しみも、二人の本来あるべきスイートな時間を困難にする材料の一つとして、本シリーズの特徴と言えるハードな一面を示すものではないだろうか。  とても凶悪な素材として強く特徴づけられた前作の殺人者の存在を受けて、その母の収容されている女子刑務所を訪ねるシーンからこの小説は始まる。女子刑務所の所在地はジョージア州サヴァンナ。なんとケイが住んでいたチャールストンよりさらに南。雪のシーンが多かった前作までのニューヨークやケンブリッジから、一気にスカーペッタの故郷ともいえるディープサウスに帰ってきたというフラッシュバック感が味わえる本書。コリンという検屍官が南部魂の広告塔のような明るい存在感を全編に渡って表すところなど、日ごろのこのシリーズの堅苦しい切迫感から少し解放されるイメージすら感じ取れる。  そして続編ということでしばしば用いられる手法として、新たな脅威をもたらす殺人者の存在が浮かび上がってくる。その上、凶器は大量殺人兵器に繋がる可能性があるところで、前作冒頭で登場した軍の上層部まで顔を出し始め、あわや物語は全米全世界を飲み込むスケールに広がるや否やというところまで。これがスカーペッタのシリーズの特徴であり、広げた風呂敷をどう畳むのかといつも冷や冷やさせられるのだが、本書はきっちり締めてくれた。前作に続き、曖昧さの残らない展開が嬉しい。思いがけぬ結末と、クライマックス・シーンの印象度も、本書の質を高める重要ファクターである。

Posted by ブクログ