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パンデミック新時代 人類の進化とウイルスの謎に迫る
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パンデミック新時代 人類の進化とウイルスの謎に迫る

ネイサンウルフ【著】, 高橋則明【訳】

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パンデミック新時代 人類の進化とウイルスの謎に迫る

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 NHK出版
発売年月日 2012/11/26
JAN 9784140815823

パンデミック新時代

¥2,420

商品レビュー

3.8

10件のお客様レビュー

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2021/10/06

感染力と致死性が高いウイルスは、人間にとって脅威だ。この微生物は、一体どのようなものなのか?なぜパンデミックを引き起こすのか?気鋭の生物学者が、ウイルスの謎に迫る書籍。 ウイルスは、19世紀後半に発見された。ウイルスはラテン語で「毒」を意味し、既知の微生物の中で最小である。11...

感染力と致死性が高いウイルスは、人間にとって脅威だ。この微生物は、一体どのようなものなのか?なぜパンデミックを引き起こすのか?気鋭の生物学者が、ウイルスの謎に迫る書籍。 ウイルスは、19世紀後半に発見された。ウイルスはラテン語で「毒」を意味し、既知の微生物の中で最小である。110年前に発見されたばかりなので、まだわからないことが多い。 ウイルスは、あらゆる細胞生命に宿っており、海にも陸にもどこにでもいる。その数は膨大で、海水1mlあたり2億5000万のウイルスがいた、との研究報告がある。 ウイルスは、既知の生物の中で最も頻繁に変異する。そして大量の子孫を作ることで、親よりも強い子どもが出てくるチャンスを増やす。それによって、新薬に勝つ可能性が高まり、種の異なる宿主に飛び移る能力も獲得しやすくなる。 SARS(重症急性呼吸器症候群)は、2003年に香港を訪れた中国・広東省の男性(スーパースプレッダー)から拡散した。香港の人口密度は高く、野生動物を食べる習慣のある広東省からの交通の便も良い。 このような、高い人口密度、野生動物などが持つ微生物との接触、効率的な交通網が重なる時、新しい病気が現れやすい。 現在の畜産は、大規模な飼育場に多くの家畜を詰めこむ形で行われている。この「工場畜産」は経済効率がいい反面、微生物に大きな影響を与え、パンデミックのリスクを高める。 これからはパンデミックの脅威がますます強くなる。これまで出会わなかった微生物同士が遭遇し、遺伝情報の組み換えが行われ、新しい病原微生物が生み出される可能性がある。 新しい感染症の波を予測し管理する方法を学ばなければ、私たちは手ひどく打ちのめされるだろう。

Posted by ブクログ

2020/07/17

著者のネイサン・ウルフは 「ウイルスハンター」と呼ばれるアメリカの生物学者。 生物学のインティ・ジョーンズのような存在だ。 彼はアフリカやマレーシアなどでの現地調査を経て  パンデミックの防止のために 終身在職権を持つUCLAの教授職を捨て 「世界ウイルス予測」(GVF)を立ち...

著者のネイサン・ウルフは 「ウイルスハンター」と呼ばれるアメリカの生物学者。 生物学のインティ・ジョーンズのような存在だ。 彼はアフリカやマレーシアなどでの現地調査を経て  パンデミックの防止のために 終身在職権を持つUCLAの教授職を捨て 「世界ウイルス予測」(GVF)を立ち上げた。 2019年にはこの組織をMetabiotaという組織に シフトさせている。 https://metabiota.com/ 新型コロナのパンデミックの最中にいる今 2011年に刊行されたこの本を読むと 世界がいかに手を打ってこなかったかがわかる。 ウルフたち研究者の警告にも関わらず 世界諸国はパンデミック防止に失敗したのが 現在のこの惨状だ。 これはいまや世界の喫緊の課題となった 環境問題とも相通じる。 この本が面白いのは 野生動物に由来するウイルスが いかに広がり 人間を脅かすようになったか 人類の歴史との生物学的な関係が わかりやすく書かれているからだ。 チンパンジーは肉食で 他の小型の猿や  時には人間の乳児までを捕獲して食べるが それはたんぱく源として チンパンジーを含む 野生動物を狩って食べないと生きていけない アフリカの貧しい人々の姿と重なる。 動物はそれぞれの微生物ワールドを持っているが それらを殺し 血液に触れ 食べることで 他の生き物に取り込まれる。 かつて 人間が家族と森で暮らしている時代は たとえウイルスに感染しても  その中で完結するので 感染が拡大することはなかった。 しかし やがて人間は森から草原に出て 農耕を始めると集団が拡大する。 火を使うようになり 動物の飼育も始める。 他集団との関わりができると道ができる。 やがて 移動手段が発達し 人とともにウイルスは その住処を急速に拡大させていく。 つまり文明の進歩こそが ウイルス感染を 拡大させたわけだ。 コロナ禍で「集まること」「人と接触すること」が 禁じられ 警戒されている現状を見ると 人間がもう後戻りできない危険ゾーンに 入ってしまった絶望感を感じざるを得ない。 環境問題も然り。 ひとつ気になったのは ウルフ氏がウォッチしてきた 国として中国が上がっていないことだ。 今回の武漢での発生をどのようにかんがえているのか 知りたいのだが 残念ながら そのような記事は見当たらない。 だが先月のWIREDの記事にウルフ氏が登場している。 「パンデミックから経済を守ることはできる。  なぜそれができなかったのか」 https://www.wired.com/story/nathan-wolfe-global-economic-fallout-pandemic-insurance/ ウルフ氏は自身の試みが失敗に終わる可能性を 認めているが めげずに これからも活動を続けてほしいと願うばかりだ。 コロナ禍の最大の問題は 「感染防止か経済か」に尽きるとも言えそうだが すべては自業自得。私たちが作りだしたものだ。 バイオテロやバイオエラー (謝ってウイルスが研究所などから漏れること)の 危険も常にあるという。   研究者たちは今も アフリカや東南アジアで 命をかけて現地調査を行っている。 ウルフ氏も調査の中で 3度もマラリアに罹ったという。 その情熱と献身的な姿勢は感服の念に堪えない。

Posted by ブクログ

2020/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新型肺炎のコロナウイルスのニュースで持ちきりなので、たまたま目に入った本書を読んでみたが、文句なしに面白かった。 著者は、アメリカのUCLAの終身在職権の教授職を辞して、パンデミックを防ぐためのGVFなる組織を立ち上げた人物だ。 なぜ、パンデミックは起こるのか。多くのパンデミックは人間とかかわりの深い哺乳類、とくに霊長類から種の壁を乗り越えてやってくるという。著者はもともと霊長類に興味があり、もともと霊長類の感染症から研究の世界に足をふみいれただけあり、チンパンジーの観察の話がでてくる。チンパンジーは、他の種の小さな猿を狩って捕食するのだ(ちなみに狩りをする類人猿はヒト、チンパンジー、ボノボのみで、系統的に少し離れたゴリラやオランウータンは狩りはしないらしい)。著者の眼前でおこったそれは、まさに微生物が種を超える絶好の機会だった。チンパンジーが、その猿の血液、体液や臓器と直に触れているのだ。 実際、アフリカでは霊長類を含む野生動物を狩って食べる習慣がある。現在全世界に感染者がいるHIVも、その遺伝子配列から元を辿ると、ある2種の猿が持っていたSIV(Sは猿を意味するSimianのSで、HIVのHはhumanのHだ)にいきつくという。過去のある瞬間、その2種の猿を捕食したチンパンジーがおり、そこで2種のSIVウイルスが組換えを起こした。その組換えを起こしたウイルスはチンパンジーの間で広がり、やがてチンパンジーを狩った人間に血液を介して感染、やがて全世界に拡がっていく…。これが起きたのはまだ100年ほど前だと考えられている。つまり、今この瞬間も、未知のウイルスがヒトに飛び移っているのかもしれないわけだ。 著者は、野生生物と接触する人たちを監視する(文字通り見張るというわけではない)ことで、パンデミックを事前に抑え込めると考えている。著者が行ったのは、アフリカのハンターたちの協力を得て、彼らの血液を集め、サルのウイルスに感染しているかを調べてみることだった。著者の予想は当たった。猿に感染するウイルスSFVは、ヒト以外の類人猿にそれぞれ固有の種として存在している(どうやらヒトは、進化途中で絶滅寸前まで個体数を減らしたことがあるので、そのときに、全個体が感染して免疫を獲得したことで、ヒトに特異的なSFVは消滅したと考えられる)。一般的にヒトには感染しないはずのこのウイルスに対する抗体を持つ人がアフリカのハンターに見つかったのだ。そして、ゴリラのSFVはゴリラを狩ったことのあるハンターだけから見つかったことから、狩りを通じてヒトに乗り移っていることはまちがいないだろう。また、ヒトに白血病を引き起こすウイルスHTLV1、2は、サルのSTLVに対応するが、ハンターの間では人では感染しないはずのSTLV3に感染している人がいることがわかった。さらにまだ未知のSTLV4に感染している人まで見つかったのだ。 著者はこのような事例をあげ、監視が重要だと説く。それはウイルスそのものだけでなく、ソーシャルメディアの人々の発言や、薬の購買記録などからでも局所的なパンデミック(アウトブレイク)を察知できると説く。 ここまで紹介するとウイルスはパンデミックを引き起こす恐怖の対象でしかないように思われるかもしれないが、著者は人間に対してメリットのある利用法にも触れている。あるウイルスはがん細胞に特異的に感染し、がん細胞だけを殺していく。人にひろく感染しているGBVというウイルスは病原性は認められていないものの、HIV感染者の寿命を延ばしている可能性があるという。 訳者もあとがきで記しているが、ただウイルス感染症の話にとどまらず、ウイルスを利用する寄生バチの話題など、生態系を大きくとらえ、共生関係を興味深く描いている本書はとても興味深く、お薦めである。

Posted by ブクログ

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