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脂肪の塊(旧版) 岩波文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 1938/04/05 |
| JAN | 9784003255018 |
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脂肪の塊(旧版)
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脂肪の塊(旧版)
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
時代違いや普仏戦争の背景などはあるとは思うが、今の社会にもよく見られる人間関係のように思えた。身分の違い、男同士、女同士のコミュニケーションのあり方や男性と女性の関係性まで、ありがちな独特の特徴を短い小説のなかでよく表されている。 主人公はエリザベット・ルーセといい、物語では一貫してブール・ド・シュイフ(脂肪の塊)という呼び名で呼ばれている。舞台は普仏戦争で敗北後のフランスで、プロイセン軍に占領された街から、ル・アヴールというフランス軍が占拠している地域に向かおうする一行の馬車や宿泊所での出来事が書かれている。馬車に乗り合わせたのは6人の裕福な市民と2人の修道女、コルニュデという男性、娼婦のブール・ド・シュイフだ。一行はトートという街で宿屋に泊まることになるのだが、そこでドイツ人の士官に出くわす。彼はブール・ド・シュイフに性的な要求をし、応じなければ街から出発することを許さないという。6人の裕福な市民は結託してブール・ド・シュイフが要求に応じるように仕向けるが、彼女を利用した後は、全員が軽蔑したような態度で彼女を迎える。ブール・ド・シュイフは腹立たしさと、屈辱で涙を流し、コルニュデが吹きだしたフランス国歌の口笛に一同は顔を曇らせるのだった。 脂肪の塊と呼ばれる娼婦というと、最初のイメージでは、物語の中で輪を乱すような存在かと私は想像したのだが、彼女の役割はそういうものではなく、実は上流階級の他の乗客よりフランス国民の誇りや自己犠牲的な優しさを持った人物とされ、そこがこの作品の持ち味となっているという。物語内でも同様で、娼婦という身分を聞いただけで3人の夫人たちは結束し出し、プロシャ士官とコルニュデは性的な目で彼女を見ている。道中、空腹で苦しむ一同に対して、用意してきた食べ物を分け与えて、感謝されるブール・ド・シュイフだが、プロシャ士官に足止めを食らった際には「相手選ばず何するのは、あれはあの乞食女の商売」などという言われようだ。 私自身、自分の身分を考えたときに、上流階級と呼ばれる人たちと比べると、コンプレックスを感じることが多い。また、一部のお金持ちに対して偏見を持っているし、あまり好きではない方だ。ブール・ド・シュイフに譲歩させるためによくない企みをするシーンで以下のような表現があるが、このような空気感に嫌気が差したことが幾度となくある。「しかし上流の婦人が鎧のようにしてわが身を包んでいる貞潔の薄板は、ほんの上面だけのものだから、彼らはこのみだらな話に気持が浮き浮きしてきて、食いしんぼうの料 理人が舌なめずりしながら他人の食事を用意するように問題をいじくり廻し、そしてそういうことはお手のものらしく、心の底ではひどく面白がっていた。」私が思うに身分と内面は一致していないことも多く、遠回しに展開される意地汚い話は上流階級のなかでも面白がられる話の種となりがちだ。だが、ここで上流階級の人間は悪者と決めつけ、娼婦のような身分を擁護したいわけではない。私はこれは人間性ではなく、その人が立たされた身分によって生じている逆転なのではないかと思う。「頭が良い人はバカを装い、バカは頭が良いフリをする」とよく啓発本で見ることが多いが、これも人が自分の置かれた立場を意識して振る舞っていることの表れなのではないか。心理学者エリオット・アロンソンによって1966年に行われた実験で証明された「プラットフォール効果(ポカミス効果)」と呼ばれる現象がある。優秀な人がミスをすると好感度が上がり、普通の人が同じミスをすると好感度が下がるというものだ。だが、身分制度自体を否定したいわけではない。私は「脂肪の塊」を読んで、目的のためにブール・ド・シュイフに犠牲を求めること自体には、ある程度理解できる部分がある。しかし、その後に彼女を軽蔑することには納得できない。身分だけで相手を軽蔑したり、感謝の気持ちを持たなかったりするのは、端から見ていても気分が良くないものだ。「人を判断する材料として身分や過去を考慮すること」と「身分だけで現在の人格を決めつけること」は別である。自分もそうしてもらって嬉しいように、どんな人に対しても敬意をもって接し、感謝の気持ちを忘れないようにしたいと改めて感じた。つまり、今現在の行動と身分をある程度切り離して捉える必要があると思うのだ。
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宗教や道徳さえも人間のエゴに利用されるのかと思った。 娼婦を蔑んでいた人たちは、自分たちが困ると彼女の善意や犠牲を求め、用が済めばまた冷たくなる。露骨に身勝手な人だけではなく、礼儀や身分や信仰を持つ人の中にも、同じ自己中心性がある。自分も彼らと無関係ではない。 頭の中でずっと彼女...
宗教や道徳さえも人間のエゴに利用されるのかと思った。 娼婦を蔑んでいた人たちは、自分たちが困ると彼女の善意や犠牲を求め、用が済めばまた冷たくなる。露骨に身勝手な人だけではなく、礼儀や身分や信仰を持つ人の中にも、同じ自己中心性がある。自分も彼らと無関係ではない。 頭の中でずっと彼女が一人で涙を流している。とてもとても綺麗に見える。それは私と同じほかの乗客たちの醜さを照らしている。皮肉だ。 何を受け取ったのか、まだきれいには言い表せない。ただ、読み終わってから深く刻み込まれたような感覚がある。いつか現実のどこかで、この小説を突然思い出す日が来る気がする。 充実した時間だった。
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外道どもの唄ですな。 その一言に尽きます。人間の持つエゴとヒエラルキー社会の醜さが書かれてます。スケープゴートとされた、ふくよかな娼婦ブールドシェイフだけが優しくまともであった。そしてタイトルが脂肪のかたまりって。
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