脂肪の塊(旧版) の商品レビュー
人間って感じだった。 自分が助かるために人を犠牲にして、挙句その人を蔑む。 汚い。 ブールドシュイフの涙の描写があまりにも写実的
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たかだか90ページにも満たない作品だが、最初は読みにくかったけど後半になると慣れてきて、話が頭に入った。これは訳が古いからなのかな。水野亮氏の訳だった。思い出したのが、満州で開拓団の人たちがソ連兵に女性を差し出した話で、それに比べればまだまだ穏やかな範疇やなと思った。
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愛国心が強く高潔な娼婦と、自分達のことしか考えていない上流階級。後味の悪くなる内容であると同時に、考えさせられる内容だった。
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娼婦・ブール・ド・シュイフ(=脂肪のかたまり)はその職業故に不当な扱いを受け、馬車に乗りあった伯爵や資産家たちに都合よく利用され見放される。 戦時中(普仏戦争)だから、人心がすさんでいたのか?娼婦は戦争のある意味犠牲者だったのか?いやそうじゃなさそう。人間は職業や社会的地位の違い...
娼婦・ブール・ド・シュイフ(=脂肪のかたまり)はその職業故に不当な扱いを受け、馬車に乗りあった伯爵や資産家たちに都合よく利用され見放される。 戦時中(普仏戦争)だから、人心がすさんでいたのか?娼婦は戦争のある意味犠牲者だったのか?いやそうじゃなさそう。人間は職業や社会的地位の違いで人を差別する。戦地ではない日本でも同様。社会情勢ではなく人間の本源的な欠点ではなかろうか。
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ぽっちゃり太った娼婦と一緒の馬車に乗り合わせたブルジョアな人々。 はじめは娼婦にも差別せず真摯に接するのだけど。 自分に不都合なものに対しては案外無神経に切り捨てたり、知らないふりをしたりするものですよね。 それはいつの時代も変わらない。 モーパッサンは昔母親の本棚にあったのを目...
ぽっちゃり太った娼婦と一緒の馬車に乗り合わせたブルジョアな人々。 はじめは娼婦にも差別せず真摯に接するのだけど。 自分に不都合なものに対しては案外無神経に切り捨てたり、知らないふりをしたりするものですよね。 それはいつの時代も変わらない。 モーパッサンは昔母親の本棚にあったのを目にしていたので古めかしいイメージがついていたのですが、訳がいいのか軽妙でユーモアもあってあまり古さを感じなかった。
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1880年に発表されたモーパッサンの出世作。100年以上前の作品ながら、今読んでも強度は薄れていない傑作。 「娼婦なのだから体を売るのは簡単なはずだ」 ブール・ド・シェイフが浴びる酷い言葉は、今の日本でも夜の仕事をしている女性たちに浴びせられる言葉だろう。 その上で自己責任へと...
1880年に発表されたモーパッサンの出世作。100年以上前の作品ながら、今読んでも強度は薄れていない傑作。 「娼婦なのだから体を売るのは簡単なはずだ」 ブール・ド・シェイフが浴びる酷い言葉は、今の日本でも夜の仕事をしている女性たちに浴びせられる言葉だろう。 その上で自己責任へと向かわせる富豪たちの印象操作には既視感を感じた。 だからこそ最後に、その乗車する客たちに当てつけのように響かせるフランス国家ラ・マルセイエーズは、その歌詞の内容も含めて強く響いた。
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普仏戦争の中では、当たり前であるが「フランス人は仲間であり、敵はプロイセン人」であるはずだ。作中でも「脂肪の塊」はプロイセン嫌いの描写が多いため、まさか同士であるはずのフランス人からこのような屈辱を受けるとは思ってもいなかっただろう。 この分量で過不足ない情報量、表現が詰め込ま...
普仏戦争の中では、当たり前であるが「フランス人は仲間であり、敵はプロイセン人」であるはずだ。作中でも「脂肪の塊」はプロイセン嫌いの描写が多いため、まさか同士であるはずのフランス人からこのような屈辱を受けるとは思ってもいなかっただろう。 この分量で過不足ない情報量、表現が詰め込まれ、心を動かされる作品はなかなか見ない。例えば、星新一のショートショートは彼特有の新ジャンルであり、彼にしか使いこなせないSFという飛び道具(褒めています)をつかっているのに対し、この作品は歴史小説という王道ジャンルをこの短さで成立させている凄さがあるように思える。
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敵が占領したルアンを脱出しディエップに向かう6日間の馬車の旅。1人の娼婦と、世渡り上手な9人の同行者は様々なアクシデントに見舞われる。 9人は上品さで自己中心的な行動を隠しているつもりだけれど、冷静な目で場面を見守る読者には通じない。虚しさが残る。
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「えげつないタイトルだな…。」と最初手に取ったとき思いました。人間って怖いなと思う反面、もしああするしかなかったと考えるとなんとも言えません。上流階級の夫妻や、尼僧、革命家はこの後一体何を思って生きるのでしょうか。それから挿絵から見ると個人的にはブール・ド・シュイフさんはかわいい...
「えげつないタイトルだな…。」と最初手に取ったとき思いました。人間って怖いなと思う反面、もしああするしかなかったと考えるとなんとも言えません。上流階級の夫妻や、尼僧、革命家はこの後一体何を思って生きるのでしょうか。それから挿絵から見ると個人的にはブール・ド・シュイフさんはかわいいと思います(どうでもいいかもしれませんが)。
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BOULE DE SUIF 脂肪のかたまりとは自分のようなダメな人間のことなのだろうと読んでみたが、娼婦の渾名でありブール・ド・シュイフに対する上流階級の人間のなんとも嫌な部分が見え隠れどころかあからさまな酷い仕打ちをしてみせる。立場が違えば私もそんな醜い人間側だろう。 解説に...
BOULE DE SUIF 脂肪のかたまりとは自分のようなダメな人間のことなのだろうと読んでみたが、娼婦の渾名でありブール・ド・シュイフに対する上流階級の人間のなんとも嫌な部分が見え隠れどころかあからさまな酷い仕打ちをしてみせる。立場が違えば私もそんな醜い人間側だろう。 解説にはモーパッサンのあらゆる作品は人間性への絶望が基調になっているらしい。他の作品も読んでみたい。
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