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失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 光文社古典新訳文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2012/07/12 |
| JAN | 9784334752538 |
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失脚/巫女の死
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失脚/巫女の死
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商品レビュー
4
28件のお客様レビュー
スイス作家。読んでいて戯曲っぽいなあと思っていたら戯曲作家でもあった。頭の中に浮かぶのは登場人物が台詞読み合いしている感じ。特に密室の『失脚』は舞台として想像するほうがわかりやすい。 『トンネル』 24歳の太った学生(どうやらデュレンマット本人らしい)はいつものように電車に乗っ...
スイス作家。読んでいて戯曲っぽいなあと思っていたら戯曲作家でもあった。頭の中に浮かぶのは登場人物が台詞読み合いしている感じ。特に密室の『失脚』は舞台として想像するほうがわかりやすい。 『トンネル』 24歳の太った学生(どうやらデュレンマット本人らしい)はいつものように電車に乗った。いつもの短いトンネルに入った。しかしいつまで経ってもトンネルから出られない。10分、20分…、おかしい! 青年は車掌のところに行く。車掌は青年と一緒に苦労して機関室に案内する。なぜ苦労したかというと、列車の進行方向は下降し、スピードがどんどん上がっているからだ。いつもと同じだと思っていたら猛スピードで深みへ落ちている、もう取り返しがつかないのだということに気がついたんだ。 どうしようもない。何もする必要もない。 『失脚』 AからPの15人による最高議会が行われる部屋で起きた失脚劇。なんだか舞台化されそう。 最高位の議長のAは、気に入らないメンバーを移動させたり左遷させ処刑したりする。BからPは、革命前と革命後の今では立場が違ったり、もう時代が過ぎたりしている。 その日一人のメンバーが来なかった。休暇か移動か左遷か処刑なのか。次は自分なのか。 密室の緊張状態は頂点に達し、ついに一人がAを処刑するまでにいたる!だが残った14人は新しい序列による席順に替えただけで、また会議を始める。 議長が変わっても、死体があっても、システムは変わらないんだ。 『故障』 45歳の営業職トラープスは車の故障で田舎町に泊まることになった。80代の老家主が開いた夕食会に誘われ、家主とその友人たちのゲームに参加することになった。家主とその友人たちは、元弁護士、元検事、元裁判官で、誰かを被告にして「裁判ごっこ」を行うのだ。 自分が被告になって楽しい気持ちになるトラープス。彼は楽しい雑談とも裁判とも区別のないようなその夕食会で「前任者を追い出したら心筋梗塞で死んでしまった」という話をする。ではトラープスの罪状は死刑だ!いや、自分は殺していませんよ? ここまで読んで、カフカ『審判』のようにいつのまにか理由のわからない罪状で理由のわからない裁判にかけられ理由のわからない有罪になる物語か?この老人たちいままでの被告たちを実際に私刑にしちゃってないか!?と戦々恐々。 しかし違ってました。 裁判ごっこ夕食会は大変楽しく、それは老人たちの尋問がうまいのと、トラープスも小悪はしてきたが取るに足りない思っていた自分の人生に殺人犯人という刺激的な役割が与えられたから。 裁判は進み「手は下していないが、作為と不道徳により、死刑!」素敵だ!死刑宣告されるような重要人物になるだなんて! 大いに飲んで大いに笑い大いに楽しんだ。 寝室に帰ったトラープスは…。 えええ、まあ無事に終わらないとは思ったけどさあ。。 途中まではカフカと同じ流れでしょ、と思っていたら、まあ似ているところもあるんだけれどそこに行くまでの心境が違っていた。そしてカフカはコントっぽくところどころ笑えるし、ところどころ矛盾があったり話が飛んだり筆のままに書いてる感じ)ですが、デュレンマットのほうが真面目というかかもしれない。 なお『審判』の公判が1925年、デュレンマットが1921年生なので、彼はカフカは読んでいるでしょう。 『巫女の死』 ギリシャ悲劇『オイディプス王』物語を中心に、芥川龍之介『藪の中』風味で。 デルポイの老女司祭パニュキスは神託を下しながらもバカバカしさを感じている。オイディプスとかいう若者が来たときは機嫌も悪く絶対当たらない予言を下してやった。だれが父を殺して母との寝所を共にするというのだ。 そこからは『オイディプス王』のとおりに進んでいるんだけど、関係者たち、オイディプス、オイディプスの両親ライオスとイオカステの霊、オイディプスに殺されたスフィンクスの霊たちもがパニュキスの前に現れてそれぞれの真実を語る。 この神託システムは、お金を積まれれば言ってほしいことを言ってやるもので、だから依頼人から「こんな神託をしてほしい」と事前に依頼されることもある。例えば「ライオス王に『息子に殺される』という神託を下してほしい」という依頼は、王位を狙うから彼に息子が生まれては困る者がいるっていうこと。神託の欺瞞ですね。しかしその神託はいろいろな人の思惑が入り組んで結局行われてしまう。 物語としてもそれぞれの告白から実際に何があったのかを組み立てる推理小説っぽい所もあります。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文庫の帯で鹿島さんをはじめみなさんが激賞しているのもあり読み進めたが、なかなかどうして素直に楽しむには難しい小説。「トンネル」「故障」はなかでも比較的楽しむことができたが、表題作の「失脚」「巫女の死」は登場人物をフォローするのが大変で簡単に楽しむことは難しいといったところ。 とはいえ、どの作品も作者の意図はわかるのでそこの点は楽しむことができる。「故障」で前半が理論で後半が実証となっているようにバカにしていた理屈に徐々に取り込まれていく様子はうまく書かれている。最後に殺されずに自殺するところはとはいえ理屈通りにもいかないといったところではあるのか。 訳者の増本さんの解説でスイスにおけるドイツ語方言について記載されていて、そこまで違うものなのかということは興味深く思った。アフリカにおける英語やフランス語も同じような状況にあるのだろうか、とも。
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「トンネル」が1番印象的。列車がトンネルの中を走り続け,暗闇を抜けることができない。日常が非日常に変貌する怖さがある。 デュレンマットの作品では「判事と死刑執行人」もお勧め。
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