商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2012/02/29 |
JAN | 9784488070700 |
- 書籍
- 文庫
夢宮殿
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夢宮殿
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商品レビュー
3.8
9件のお客様レビュー
もっとファンタジーかと思ったら、全く違うかった。独裁的な雰囲気と、理解が及ばない組織の不気味さがなんとも言えない作品。
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オスマントルコ帝国と思われる管理国家が舞台。 帝国の運命を左右するアラーの教えが、神により無作為に投げ落とされ、数千万の帝国臣民の夢に投影される、と信じられている世界。夢宮殿とは、帝国中から申告される夢を受理し、選別し、解釈する国家機関である。 東欧作家による全体主義に警鐘を鳴らした小説はよく読む。それらには被弾圧者の魂の叫びがあり、葛藤がある。敗者にも闘争する者が放つ光が見えることが多い。 比較して個性的なのは、本書の主人公の没個性。カフカの主人公が持つのは「匿名性」だとして、本書の主人公マルクは貴族であり万人を投影する存在ではない。 ただ単純に個が失われている。そんなつまらない存在が祭り上げられてゆく様は無様である。魂の発露もなければ悲劇的でもなく、ただ何となく流されてゆく緩慢な在り様がここにある。「われわれ(支配者)にとって好都合」であることが夢宮殿で採用された理由であるが、支配者と被支配者との間で利害が一致する鍵になるのが「没個性」、つまらぬ人物であるということ。 そこが面白い。
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※このレビューにはネタバレを含みます
トルコを舞台にした小説はあまりないように思う。 私自身はトルコ文化が好きであるため、本書でトルコ文化の描写があるところは興味深かった。 温かいサーレップの飲み物はいつか飲んでみたい。 国民のみた夢を管理し、国家を揺るがすような夢をみた者は処刑されてしまう管理社会。 たとえ変な夢をみたとしても、誤魔化して報告すれば良いではないかと思っていたが、主人公の勤める機関でどのように理解されるかで決まってしまう。結局は逃げられない。 恐ろしい社会である。 そんな社会は主人公をのちに処刑するのだろう。
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