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夢宮殿 の商品レビュー

3.8

9件のお客様レビュー

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2021/11/26

もっとファンタジーかと思ったら、全く違うかった。独裁的な雰囲気と、理解が及ばない組織の不気味さがなんとも言えない作品。

Posted byブクログ

2018/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

オスマントルコ帝国と思われる管理国家が舞台。 帝国の運命を左右するアラーの教えが、神により無作為に投げ落とされ、数千万の帝国臣民の夢に投影される、と信じられている世界。夢宮殿とは、帝国中から申告される夢を受理し、選別し、解釈する国家機関である。 東欧作家による全体主義に警鐘を鳴らした小説はよく読む。それらには被弾圧者の魂の叫びがあり、葛藤がある。敗者にも闘争する者が放つ光が見えることが多い。 比較して個性的なのは、本書の主人公の没個性。カフカの主人公が持つのは「匿名性」だとして、本書の主人公マルクは貴族であり万人を投影する存在ではない。 ただ単純に個が失われている。そんなつまらない存在が祭り上げられてゆく様は無様である。魂の発露もなければ悲劇的でもなく、ただ何となく流されてゆく緩慢な在り様がここにある。「われわれ(支配者)にとって好都合」であることが夢宮殿で採用された理由であるが、支配者と被支配者との間で利害が一致する鍵になるのが「没個性」、つまらぬ人物であるということ。 そこが面白い。

Posted byブクログ

2017/05/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

トルコを舞台にした小説はあまりないように思う。 私自身はトルコ文化が好きであるため、本書でトルコ文化の描写があるところは興味深かった。 温かいサーレップの飲み物はいつか飲んでみたい。 国民のみた夢を管理し、国家を揺るがすような夢をみた者は処刑されてしまう管理社会。 たとえ変な夢をみたとしても、誤魔化して報告すれば良いではないかと思っていたが、主人公の勤める機関でどのように理解されるかで決まってしまう。結局は逃げられない。 恐ろしい社会である。 そんな社会は主人公をのちに処刑するのだろう。

Posted byブクログ

2017/01/09

2016.09.02 ノーベル文学賞候補というアルバニアの作家イスマイル・カダレの『夢宮殿』読了。独特の世界観、馴染みのない文化的背景は新鮮であったが、私にはやや難解。設定が面白かった。アルバニアのことは全然知らないな。他の作品も読んでみようか。

Posted byブクログ

2015/05/25

夢を官僚の考える世界に置き換えると・・・ +胡蝶の夢みたいな話である。 世界は何を中心に回っているのか。

Posted byブクログ

2013/08/24

すごく不思議な話。 完全にタイトルとあらすじに惹かれて購入しました。 SFっぽい話かと思ってたら、そうでもなく。 不思議で独特の空気が流れる世界のお話。 映画にしてほしいなぁと個人的には思います。

Posted byブクログ

2013/06/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・オリエンタリズムでもなく、異文化的郷愁でもなく、抽象度の高い舞台。もちろん固有名詞や人物名はそぎ落とされる。 ・「1984年」を読みながらも思ったのだが、「未来世紀ブラジル」のイメージはかなり強く刷り込まれている。これは読む側の感受性の問題。もちろんあの映画よりも随分重い。 ・夢の分類・解釈が皇帝に捧げられるというシステムの巨大な空虚さ、さらには実態がない組織が権力をもってしまうことの恐ろしさをまざまざと実感。 ・ある時点で個人の夢は個人の範疇を越え、民族あるいは人類全体が感知するようになる。それが「黙示録」という観点はすごい。人類補完計画にも劣らない壮大な不気味さ。 ・どこで何が起きているのかわからない。地位だけはとんとんと持ち上げられていくが、虐殺や斬首と「すれ違い」、最後に残ったのは涙。この意味は。 ・役所、宮殿、迷宮のイメージ。

Posted byブクログ

2012/07/04

物語の舞台が全く見えない始まりから、 狂気に満ちた数々の「夢」を潜り抜け、 妙にリアルで静かな終わりへ辿り着く。 火薬庫バルカン半島のアルバニアの地を 感じさせながら、世界を見つめる眼差し。 他の作品も非常に読みたくなりました。

Posted byブクログ

2012/04/01

アルバニアが舞台であり、国家・宗教・歴史の点でまったく理解がなかったので正直きつい。とはいえ、モワモワとした輪郭はそれなりに愉しめる。さて、これ、どうしたもんかな・・・

Posted byブクログ