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アウグスティヌスの愛の概念 始まりの本
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2012/01/12 |
JAN | 9784622083498 |
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アウグスティヌスの愛の概念
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アウグスティヌスの愛の概念
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
アウグスティヌスの愛の概念 (和書)2012年09月22日 21:33 2002 みすず書房 ハンナ アーレント, Hannah Arendt, 千葉 真 数年ぶりの再読です。アーレントさんの思考を辿るように読むのがお勧め。決して結論を出したいわけではなく、思考そのものに可能...
アウグスティヌスの愛の概念 (和書)2012年09月22日 21:33 2002 みすず書房 ハンナ アーレント, Hannah Arendt, 千葉 真 数年ぶりの再読です。アーレントさんの思考を辿るように読むのがお勧め。決して結論を出したいわけではなく、思考そのものに可能性を感じるような本です。 2009年03月17日 18:42 詩を読むように読みました。 愛の概念に於ける諸関係を吟味していくところが哲学と詩のような言葉の紡ぎによって形成されているところが良かったです。 神学と哲学、詩・文学の諸関係と愛の概念の諸関係がリンクされていてそう言う批判がとても心地よい作品でした。
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昨年からのマイブームのハンナ・アーレントの1929年出版の処女作。(なんと、当時、アーレント23才) なんだかハマってしまったので、今年の目標の一つは、アーレントのすべての作品(死後に編集出版されたエッセーや公演記録、手紙、日記は除く)を読破すること。 まだ読んでない大著として、アーレントの政治思想的な主著「全体主義の起源」という3部作があって、これは読みかけて挫折したので、そこへの登坂ルートを考えているところ。 で、今、トライしようとしているのが、アーレントが書いた順番、つまり「アウグスティヌスの愛の概念」から初めて、「ラーエル・ファルンハーゲン」に進み、そこから「全体主義の起源」にアタックしようという試み。 というわけなのだが、処女作といっても、博士号取得の論文(指導教官は、ヤスパース)がもとなので、相当に難しい。 訳者によると、「本書は、難渋をもって知られるアーレントの諸著作の中でも、最も難解な部類にはいるだろう」とのこと。 アウグスティヌスは、ヨーロッパでは(哲学ではなく、神学として)さんざんに研究されている人で、その著作集は30冊くらいある。博士号取得の論文でそれを選ぶ時点で相当にチャレンジング。 そして、さらに、ハイデッカー、フッサール、ヤスパースと当時のドイツ哲学の最高峰の先生から直接の指導を受け、彼らの方法論、議論を踏まえたうえで、さらに、それを乗り越えようという意図をもっての本である。 学術的な本で、当時は無名の新人のジャンルを超えた試みが、出版当時、あまり評価されなかったのも無理ないかな。 素人的に読んでみて、アウグスティヌスに関する論文として、内容的にどこまで成功しているかは分からないし、議論が中途半端な終わり方になっている感じは残る。 しかしながら、「隣人愛」というところにフォーカスしながら、アウグスティヌスを読み進んで行くところに、その後発展するアーレントの思想の最初の形が確認できて、すごく刺激的だった。 特に、30年後の「人間の条件」(1958年)での議論に直結するものがたくさんある。たとえば、本書で「欲求としての愛」「創造者と被創造者」「社会生活」の3章で構成されているところが、「労働」「制作」「行為」の3分類に通じるところがあって、「死する運命にある人間という存在がいかに世界のなかに安らぎを見出すか」という問い、そして、その答えを孤立した1人の人間のなかに見出すのではなく、「人間の相互関係性、社会、公共性」みたいなところに見出して行こうという方向がすでに示されている。 世界、世界疎外、可死性、世界への愛、出生とか、アーレントの主要な概念の原型がすでにここにある。 ここから、約20年間、アーレントは、逮捕や収容所を経験しつつ、無国籍状態で、フランス、アメリカで亡命生活を送ったあと、51年の「全体主義の起源」で一躍注目されるのだが、こうした過酷な経験を通じての彼女の思想の一貫性、強靱性(レジリアンス)に驚く。 この本1冊で独立したものとして面白いかどうかは分からないが、アーレントの他の著作を読み解くための起点という観点からはとても役に立つし、刺激的。 それにして、23才で、この内容か。。。やっぱ、アーレントすごいや。。。
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ハンナ・アーレントの博士論文とのこと。古代キリスト教最大の理論家であるアウグスティヌスにおける「愛」の概念を分析することを通じ、「隣人愛」が彼においてどのように理論化されているのかを詳らかにした上で、その有意性を現代にも問いかけたアーレント政治哲学の原点の書であるとのこと。次の通...
ハンナ・アーレントの博士論文とのこと。古代キリスト教最大の理論家であるアウグスティヌスにおける「愛」の概念を分析することを通じ、「隣人愛」が彼においてどのように理論化されているのかを詳らかにした上で、その有意性を現代にも問いかけたアーレント政治哲学の原点の書であるとのこと。次の通り幾重にも理解を難しくする要素があり、自分にはなかなかの難物であったことをまずは「告白」しておこう。 解説にもあるが、本論文ではアウグスティヌスの神学教義を分析しながらも、神学的方法ではなく哲学的方法の枠内に留まる分析に終始しており、自分も宗教教義に対する哲学的説明にはしばしばその立ち位置と土台を見失うことしばしばであった。また、アーレントによれば、アウグスティヌスの「愛」の思想は不統一であり、その不統一の見解を本論文では縦横に論点を移しながら、あえて論理的つながりを説明しないままに論述する手法をとっていてこれがまた誠にやっかいだった。 さらに、アウグスティヌス=アーレントの提示する「愛」の概念であるが、日本語に訳してしまえば「愛」なのだが、「善きもの」を絶えず欲求するものとしての「愛」(アモール)、神を追求する「愛」(カリタス)、神により秩序付けられた「愛」(デイレクテイオ)、そして一般的な「愛」に近いと思われるリーベと、その「愛」の使い分けに馴染みが無い者にはこれまたややこしい限りである。いま本書でアーレントが問題にしている「隣人愛」の有意性は、「愛」(リーベ)→「愛」(デイレクテイオ)という論理的な発展の検証の中で導き出そうとしてるもので、段階を踏んだ理論の不統一をどのように整合化してみせるのかはアーレントの腕の見せ所であったことだろう。 「善きもの」を追求する「欲求としての愛(アモール)」はいづれ「死」によって失われるが、永遠としての絶対的未来がそれを克服してくれる。それが神を追求する「愛」(カリタス)というものである。そして、神を愛し追究し続けることによって、神へとその他への愛(自己愛、隣人愛など)は階層的に共存可能な「秩序づけられた愛(デイレクテイオ)」へと導かれる。 一方、人間=被造者は、現在だけではなく「記憶(メモリア)」を通じて過去と未来を統合して神=創造者とともに生きるべく創造者への「立ち帰り」を行うことで永遠を生きることになる。しかしながら、創造者と被造者が永遠の名の下に直結してしまうと、同じく創造者によって製作された被造世界は、このままでは仮りそめに住むだけの「荒野」になってしまい、創造者から与えられたはずの世界を愛することができない。逆に「世界」を愛し過ぎると人間は世界を「貪り」、人間がつくった「習慣」を重んじるようになるが、それをさせないものが「良心」であり、これを「選択」した人間のみが「神の恩寵」=神の「愛」(デイレクテイオ)を受けることができるのだとする。 「隣人」も神の創造物のひとつとして愛さねばならないが、神への不断なる「立ち帰り」は各人それぞれの創造者との直結を強めてしまい、論理的に立ちゆかなくなってしまう。ここでアーレントが持ち出した論理が「社会的愛」なのである。神学的に人間が立ち帰る起源としての神と同時に、人間の歴史的起源としてのアダムという共通起源が、「隣人」への「愛」となって共通に生きる者としての根拠となるということである。 このようなアーレントの論理構築に対し、自分には最後の「社会的愛」という論理転換はかなりの唐突感があった。アウグスティヌスの不統一を何とか整合的に理解しようというアーレントのあがき(?)のようにも思えるが(笑)、その唐突感は「社会的愛」の論理展開不足に一因があるのと同時に、神学教義に対して人類の可能性を哲学的に問いかけて融合しようとした方法論にも一因があるように思われる。だが、指導教官であったヤスパースの言う通り本論の結語は未完であったかもしれないが、これは、これ以降のアーレントの半生をかけたテーマの一つとなっていくのだろう。 それにしても愛(アモール)から愛(カリタス)への昇華は良いとして、愛(デイレクテイオ)となり、隣人にも現世ではなく神の下での永遠性の共有を求めるその教義の行く末には(アウグスティヌスの理論を超えて)空恐ろしいものをおぼえた。
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