きりこについて 角川文庫

西加奈子【著】

• 販売会社／発売会社: 角川書店/角川グループパブリッシング
• 発売年月日: 2011/10/25
• JAN: 9784043944811

商品レビュー

2024/10/24

同じことを考えてた経験がある。

なんてしょうもない。横で小さな顔に大きなブルーの目をつけたみーちゃんがそう言ってるように聞こえた。

今日の夕食で何をおすそ分けしてくれるか、いつ耳の後ろや顎の下をさわってもらえるか、そんなことを考えながら眠っている。
猫の方が優れていることくらい、分かってる。

今日も私は鏡を見ている。誰かからの可愛いを求めている。沢山の綺麗な人の写真を見て、自分の顔との違いを【課題】として記憶する。

人間、そんなものなのだ。女はなにより、厄介だ。

2024/09/23

賢い猫ときりこのお話が面白い。
ストーリーもいい意味でとっ散らかってて、よくわからないまま楽しく読めた。西さんの作品は「おまじない」以来。
ラムセス2世のぐるぐるぐるが余韻をのこす。

2024/09/09

私はぶすが嫌いだ。なぜかと言うと、自分が小学生の頃デブスと揶揄われていたからだ。そこから死ぬ物狂いで努力した私は可愛くなった。そして、ぶすのまま努力もせずに生きているぶすを嫌いになった。
そんな泥水で固められたような私の心に、美しい天然水がさーっと入り込んできた。それがわたしのこの作品を読んだ感想だ。
私は最近悩んでいた。外見に努力してきたにも関わらず、急激に激太りした挙句に年齢を重ねて今まで好きだった服が似合わなくなってきたからだ。なんだ、私ってちっとも中身と向き合ってないやないの！入れ物ばかりに気を取られて27年生きてきてしまった。私は、私だ。
もっと自分を愛し大切にしてあげたい。もっと周りの人間の中身を知りたい。
私の心の中に、きりこはいる。