王国

中村文則【著】

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2011/10/15
• JAN: 9784309020693

商品レビュー

2024/06/15

昔の西洋の美しい娼婦が好きな主人公
主人公もそうあろうと巧みな女を使った人の欺き方をしたが、それは歴史に残るものではなかった
が、王とされている男が彼女の歴史を塗り替えようとした、が、彼女はそれを喜ばず
過去の大切な人（少年）との思い出により生きることに執着し、拒んだ。

裏社会の危うさにドギマギできておもしろかった

2024/02/05

無駄が無く美しい語り口で物語に入っていけた。
哲学的に内省的な所が良かった。圧倒的な不条理たる木崎とどのように対峙するのか。クライム映画のような裏世界な世界観。

矢田が属していたものは、この社会のなにか概念的なものの比喩で、木崎はその反対にある混沌。だとすると、どちらに属するでもなく、その中で必死に道を探す主人公は、社会に迎合することもできず、ふりきれてそれ自体を楽しむ木崎のようにもなれない人達を表してるのかな。月は木崎が言っていた宗教の神で、足掻く私達を俯瞰して楽しむ性格の悪い存在だと思う。
「長短ではない。肝心なのは、この世界の様々な要素をどう味わうかだ」最悪すら味わえというメッセージは好き。

掏摸も読んでみたいと思う。

2024/01/07

この頃の著者の筆の乗り具合は凄い。
物語自体はあってないようなものだけれど、神的な位置である木崎の台詞や月の表現など読んでいて吸い込まれていくようだ。
何一つ救いの無い内容だが、読んで救われる人は多いのではないか。