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間宮林蔵 新装版 講談社文庫
990円
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社 |
| 発売年月日 | 2011/10/14 |
| JAN | 9784062770774 |
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間宮林蔵 新装版
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商品レビュー
4.1
24件のお客様レビュー
前半は樺太探索、間宮海峡の発見、東韃靼潜入といった冒険譚、後半は幕府の隠密活動。頻発する外国船来航に右往左往する幕府など、淡々としながらも当時の世相も良く描かれている。安定の吉村昭。
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江戸後期の測量家・探検家である間宮林蔵の人生を描いた壮大な記録。 歴史の教科書では「江戸後期には外国船が日本沿岸に来るようになり、幕府の警戒態勢が高まった。そのような状況の中で間宮林蔵が樺太を探検し、間宮海峡を発見した。」程度のインプットしか無かった。 これまで吉村昭の小説を何度...
江戸後期の測量家・探検家である間宮林蔵の人生を描いた壮大な記録。 歴史の教科書では「江戸後期には外国船が日本沿岸に来るようになり、幕府の警戒態勢が高まった。そのような状況の中で間宮林蔵が樺太を探検し、間宮海峡を発見した。」程度のインプットしか無かった。 これまで吉村昭の小説を何度か読んで、新たな史実を学び、毎回自分の中で歴史観が変わる衝撃を受けてきた。折しも会社の後輩が北海道に赴任することになったので、読んでみることにした。樺太からアムール川の地域はとても人間が住める環境ではないが、その厳しさをありのままに描くのは吉村昭の真骨頂であり、今回もどれほどの地獄絵図を見せつけられるのか、ある程度覚悟をしたうえでページを開いていく。 500ページ近くある長編の中で、主人公の間宮林蔵が樺太を探検し間宮海峡を発見するところまでが半分である。グーグルマップを横で開きながら、林蔵が辿ったであろう海岸、集落(おそらく現在は廃村になっているところもある)、地形や写真を確認しながら読んでいった。そして、死を覚悟しながら過酷な旅に飛び込んでいった間宮林蔵の尋常ならぬ情熱に思いを馳せた。 林蔵の探検(樺太だけでなく清領まで行った)は、現代の感覚では、無防備な状態で宇宙旅行に繰り出し、地球と交易するフリをして侵略しようと不気味に近づいてくるエイリアンと交渉しに行くようなものだろうか。アイヌやギリヤーク人の仲間を作り、彼らの言語や文化を学びながら突き進んでいた様子がたっぷり描かれていて、少年心をくすぐられた。グーグルマップをひととおり見た後は、ウィキペディアでいろいろと地名や民族名、登場人物名を調べてしまった。 間宮海峡を発見し江戸へ帰還したところで全体の半分であり、彼の後半生は伊能忠敬から測量技術を学んだり、シーボルト事件に巻き込まれたりと、江戸幕府の鎖国体制が少しずつ揺らいでいく様子を感じた。そのような不安定な社会情勢の中で、林蔵自身も完全鎖国&外国船排除という考えから、開国して交易をせざるを得ないという考えに少しずつ至っていく葛藤が描かれている。鎖国と開国、どちらも「他国の侵略を防止して国の防衛と発展を祈る」という根底の想いは共通しており、林蔵や周囲の関係者、さらには当時禁止されていた密貿易に手を出してしまう人達、先端の蘭学者達にもそれぞれの考え方(正義)があったのだろう。
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間宮海峡(タタール海峡)の名で知られる、間宮林蔵の知られざる生涯を描いた小説。前半はロシアの脅威から蝦夷地をはじめとした北方の防御を強める幕府の意向を受け、樺太からさらに海を渡ってアムール河口付近も探査するなど、冒険家としての未踏地帯を踏破していくサバイバル活劇となっている。後半...
間宮海峡(タタール海峡)の名で知られる、間宮林蔵の知られざる生涯を描いた小説。前半はロシアの脅威から蝦夷地をはじめとした北方の防御を強める幕府の意向を受け、樺太からさらに海を渡ってアムール河口付近も探査するなど、冒険家としての未踏地帯を踏破していくサバイバル活劇となっている。後半は幕府の隠密として各藩の内情を探るといった動きが増えてきており、農家出身ながら幕府や体制維持に多大なる貢献を果たした人物である。 間宮林蔵の才能は、会うべき人と出会いその人々の資質や想いを着実に受け継いで事を為すところにある。間宮林蔵の資質を最初に見抜き幕府の役人に取り立てた村上島之丞、測量の技術を惜しみなく伝え貴重な羅針盤を与えた伊能忠敬、ともに樺太を踏破して島であることを確認した松田伝十郎、そして恐らくは厳しい北の地で生きていく術を教えた名もなきアイヌの人々など、多くの師と巡り合った。 その強靭な肉体と任務に忠実な姿勢、何よりどんな場所からも生還するサバイバル能力は幕府にとって好都合だったわけで、後半生は開国や尊王攘夷といった各藩の動きの間でスパイとして活躍する。その動きの中からシーボルトによって間宮林蔵の名が国際的に知られるようになり、日本人で唯一世界地図上に名を残す人物となったのである。
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