商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2011/08/30 |
JAN | 9784101347219 |
- 書籍
- 文庫
照柿(上)
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照柿(上)
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商品レビュー
3.6
21件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なかなか重苦しいというか、暑苦しい読書です。 電車で移動中、ホームから電車の入る線路へ飛び込む女性を目撃した合田雄一郎。 気温の高さと、多分連日の睡眠不足のため、最初から機嫌はよろしくない。 所轄に任せることなく部下と現場を検証している時、関係者と思しい女性をみつける。 それが、亡くなった女性の不倫相手だった佐野の妻、美保子。 場面が変わって、大企業の工場で熱処理を担当している野田達夫。 気温よりはるかに暑い環境で日々を過ごし、頭痛と無気力にさいなまれる日々。 しかしある日、通勤時に昔の女である美保子を見かけ、彼女の窮地を救ったことから、ふたりの運命がまた交差し始める。 合田雄一郎と野田達夫のパートが繰り返し語られるが、ふたりの時間が交差するまで200ページもかかった。 そしてその時、この作品はミステリではなく、純文学系の作品なんだとわかった。 大阪時代の幼馴染と17年ぶりに東京駅で出会う偶然。 同じ女性を挟んで、それぞれの過去が今度は語られる。 多分メインとなる事件はまだ起こっていないのだと思うけど、犯人も動機も目星がついてしまった。 合田雄一郎については、別れた妻とその双子の兄という三角関係もあり、どっちを向いても息苦しい。 捜査のために身銭(6桁の金額)を切って、暴力団の開く賭場で夜な夜なばくちに励むのも、真っ白いスニーカーのようだった合田刑事が薄汚れたなあという感じで、読んでいてもどんより。 髙村薫の筆は、野田達夫の業務の事細かな描写も、合田雄一郎の抱える屈託の重さも、余さず書いているのはさすがとしか言いようがないけれど、ページが進まないことこの上ない。 下巻もこんな感じなのかなあ。 多分そうだよね、だって髙村薫だもの。
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久しぶりの高村薫は、 やはり高村薫だな。 精緻な言葉の積み重ねに、 状況の描写、心理描写が、 まー、巧みなこと、巧みなこと。 『マークスの山』の合田雄一郎に、 こういう物語があったとは。 後編が楽しみ!
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『マークスの山』に続く合田雄一郎シリーズ2作目。 魅惑的な女(佐野美保子)を軸に向かい合うこととなった同郷の幼馴染み、合田雄一郎と野田達夫。 捜査中の雄一郎を襲う遠慮のない猛暑と、 達夫の働く熱処理工場の暑さ、炉内の色、 その臙脂色が象徴的に何度も描かれる。 じっとりと追い詰める...
『マークスの山』に続く合田雄一郎シリーズ2作目。 魅惑的な女(佐野美保子)を軸に向かい合うこととなった同郷の幼馴染み、合田雄一郎と野田達夫。 捜査中の雄一郎を襲う遠慮のない猛暑と、 達夫の働く熱処理工場の暑さ、炉内の色、 その臙脂色が象徴的に何度も描かれる。 じっとりと追い詰めるような夏の暑さと、美保子の言い知れぬ魅力が、これまで社会と折り合いをつけながらやってきた二人の男の日常の薄皮を剥がす。 その臙脂色と対極に使われる、美保子のワンピースや達夫の父が描いた、青色。 それらと交差するように、殺人事件の捜査は行われるが、こちらは一向に解決の兆しが見えない。 堀田は本当に犯人なのか? 「堀田はどうやら〈殺す気はなかった〉と言っているらしい。」 雄一郎が目を付けた土井は事件にどう関わっているのか? 「さあこれで、もしこいつがホシなら逃げるか、自首するか。こいつが逃げてくれたら、膠着状態の捜査が少し動く。」 また、もう1つの事件である線路への飛び込み。 美保子はこの件に関わっているのか? 「佐野美保子はあの拝島の駅で、手に血がつくような何かをやったのだ。亭主と連れの女をただ追いかけただけではない。何かをやったのだ。」 終始息苦しい読み心地。 真夏に読まなくて良かったな~。 雄一郎、達夫、美保子の関係性は一定の距離を保ったままぐるぐるとしていて、 事件の方もぼんやりと全容が見えてきた程度で、 下巻へと続く。 う~ん、女性で身を崩してゆく雄一郎は見たくないな…と思いながらも先が気になる。 警視庁捜査一課の主人公、合田雄一郎シリーズは、 『マークスの山』 『照柿』 『レディ・ジョーカー』 『太陽を曳く馬』 『冷血』 『我らが少女A』 の順だと思うが、私は順番を崩して読んでしまっている。 今更だけど順番通りに読めば良かったな~。
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