1,800円以上の注文で送料無料

福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1212-01-12

福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと

山本義隆【著】

追加する に追加する

福島の原発事故をめぐって いくつか学び考えたこと

1,100

獲得ポイント10P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2011/08/26
JAN 9784622076445

福島の原発事故をめぐって

¥1,100

商品レビュー

4

28件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/06/29

「原子力は「文明の選択」ではない」 https://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51737674.html

Posted by ブクログ

2025/05/09

 なるほど。山本義隆は、東大物理を卒業し、東大大学院で素粒子論を専攻していたのだね。東大全共闘議長で鳴らした人だった。その後予備校の講師をしていた。1941年生まれというから、80歳を超えているのか。この本は、2011年8月に出されている。山本義隆が70歳の時だ。  なぜ福島原発...

 なるほど。山本義隆は、東大物理を卒業し、東大大学院で素粒子論を専攻していたのだね。東大全共闘議長で鳴らした人だった。その後予備校の講師をしていた。1941年生まれというから、80歳を超えているのか。この本は、2011年8月に出されている。山本義隆が70歳の時だ。  なぜ福島原発事故が起きたのか?そして、原子力発電とはどんなものか?を、①日本における原発開発の深層底流。戦後政治史。②原子力発電技術の未熟さと隘路、そして稼働の実態と原発事故。技術論。③科学史から見た原発という構成で書かれている。原爆開発と原子力発電開発は、双子のようなものだと読みきって説明している。  私は、原子力の平和利用は可能なのか?原発にどう向き合うのか?フクシマのメルトダウンから何を学ぶのか?を考えている。あまり、そのことをこれまで考えていなかった空白地帯で、とにかく手当たり次第に読んでいるのだが、まさかここで山本義隆が。という感じだった。  著者は、単なる技術的な欠陥や組織的な不備に起因しているので、そのレベルでの手直しで解決可能であると考えるべきではないと言い切る。そもそも、原子力の平和利用、そのものが幻想なのだという。原子力の平和利用は、1953年アイゼンハワー大統領が国連会議で「アトムズ・フォア・ピース」と訴えたこともある。原子力の平和利用は、アメリカの原爆を作るマンハッタン計画の延長に過ぎないと著者は指摘する。  日本において、地震列島にかかわらず、原発が54基もできた始まりは、1954年中曽根康弘をはじめとする政治家たちが、原子力予算(2億3500万円であり、それはウラン235に因む)が成立した。を提出し、1955年に原子力基本法を成立させた。1958年に原子力発電にアクセルを踏んだのが岸信介だった。岸信介は、「原子力技術はそれ自体平和利用も兵器としての利用も共に可能である。どちらに用いるかは、政策であり国家意志の問題である」と言って、原子力発電を国策とした。さらに「日本は核兵器を持たないが、(核兵器保有の)潜在的可能性を高めることによって、国際の場における発言力を高めることができる」(岸信介回顧録)さらに、1958年5月には、外務省記者クラブで「現憲法下でも自衛のための核兵器保有は許される」と述べ、1959年の衆議院予算委員会で、「防衛用小型核兵器は合憲」と主張している。ふーむ。岸信介の憲法改正は、自衛隊を合憲として、核兵器を保有することまで合憲とすることだったのだ。核兵器を持って、国として一人前という岸信介の認識だった。流石に、勝共連合を大歓迎したわけだ。2002年に福田康夫は「核兵器について、法理論的に言えば、専守防衛を守るならば持ってはいけないという理屈にはならない」と岸信介の文脈を受け継いでいる。  著者は、そういう状況で考えれば、科学者の原子力の平和利用は、楽天的で無批判的だという。原子力の平和利用に尽力したのが、学術会議の原子力問題委員会(のちの原子力委員会)であった。茅誠司や伏見康治だった。トップクラスの物理学者が原子力平和利用幻想を持っていたのだ。  フクシマの沸騰水型炉(BWR)については、ジェネラルエレクトリック社の安全性を評価する技術者によって「冷却水が失われた時にその格納容器が圧力に耐えきれなくなる」という欠陥を見出して、運転停止を呼びかけたが、上部からその議論を封印して、その技術者たちは原発の安全性に責任を持てないと言って、会社を辞めざるを得なかった。そんな暗黒史もあったのだ。それが、設計上のミスでは済まされなかった。  また、高木仁三郎が原発は事故ばかり起こるのは、核エネルギーが膨大な力を発するので、パイプなどの亀裂などが起こりやすいと言っている。  過去に公害を引き起こした化学工学は、有毒物質を除去し、無毒化する技術は開発できる。しかし、原子力工学では、放射能を無害化する技術ができていない。放射能廃棄物を封じ込めるしかないが、それをするには、現状の技術では、数万年末か、莫大な費用がかかる。うーむ。この指摘は、なるほど。原子力発電は、多いところから2022年1月でアメリカ93基、フランス56基、中国51基、建設中19基、計画中24基、インド22基(世界で443基)となっている。世界のエネルギーは、未熟な技術で成り立っている。  原発がメルトダウンすれば、被害はとても大きく、廃炉する技術なども遅れている。原発とは何かを考える上で、本書は多くの素材を提供できる。核兵器を持つということさえ含んでいる憲法改正というのも、恐ろしい話だった。

Posted by ブクログ

2025/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了。 2011年の福島の原発事後から14年が経とうとしている。 あれだけの事故を起こしておいて、なぜ日本は原発がやめられないのか、かなり深い闇があることを以前読んだ本で知った。 この本では、 日本の原発開発のきっかけとこれまでの経緯 原発技術の未熟さ 原発の基本的な問題 その根本的な要因となっている科学技術への幻想 などについて記されている。 100ページの本だが、端的にまとめられており非常に内容の濃い本だった。 ただ、これまで原発に批判的な本しか読んでいないので、今後原発推進派の本も読んでみたいと思う。 今回特に勉強になったのは 核燃料サイクルのしくみとリスク 科学技術への信奉の流れ そして、原発を稼働させる理由が 原発稼働によって核兵器の原料となるプルトニウムを生産し、潜在的核兵器保有国として国際的な影響力を持つという政治的な目的があるということだった。この流れを作ったのが岸信介だというのもある意味で納得だったが... 〝事故発生以来、日本の原発政策を推進してきた電力会社と経済産業省(旧通産省) と東京大学工学部原子力工学科を中心とする学者グループ、そして自民党の族議員たちからなる「原子力村」と称される集団の、内部的には無批判に馴れ合い外部的にはいっさい批判を受け入れない無責任性と独善性が明るみにひきだされている。〟 13年前の原発事故の対応も問題があったと思うが 本質的な問題はまた別にある。 非常にリスクの高い原発を 「安全」と国民を欺きながら 地震大国である日本の至る所に原発を建設し、安全対策を怠り、情報を操作し、原発を稼働させ続けた者たち(政治家・官僚・電力会社・一部の学者・マスメディアなど)にも責任があるのではないだろうか。 なぜその責任が問われないのだろうか。 原発技術の未熟さとリスクについても 知らなかったことが多く勉強になった。 著者のあとがきより 〝生活が幾分か不便になるとしても、それでも原発はやめなければならないと思っている。 事故のもたらす被害があまりにも大きいだけではない。 いずれウラン資源も枯渇するであろう。しかしその間に、地球の大気と海洋そして大地を放射性物質で汚染し、何世代・何十世代も後の日本人に、いや人類に、何万年も毒性を失わない大量の棄物、そして人の近づくことのできないいくつもの廃炉跡、さらには半径何キロ圏にもわたって人間の生活を拒むことになる事故の跡地、などを残す権利はわれわれにはない。 そのようなものを後世に押し付けるということは、端的に子孫にたいする犯罪である。〟 今のところ、著者の意見に賛同する。 自分たちの健康と、引き継がれてきた土地を捨てる覚悟で原発を推進し、稼働させているのだろうか。 そこまでして稼働させるべきものなのだろうか。 とてもそうは思えないのだが... やはり、今の社会の考え方そのものに問題があると思ってしまうし、自分も考え方を見直していかなければと思う。 今の便利な生活を維持することが 最優先事項となっていないだろうか。 便利さに慣れると、それを手放せなくなる。 少なくとも、原発を推進し続ける政治家を私は信用しないし、そのような政党・政治家に投票することは今後もないだろう。 リスクのない発電はないのかもしれないが それでもやはり原発は 人間に許された領域を超えていると感じた。 仮に放射性物質の無毒化が可能になったとしても それまでにどれほどの犠牲が必要となるのだろうか... 人間にできないことは無いように思えるほどに 科学技術は進歩を続けてきたが どんなに科学技術が発達しても 人間の想像力は自然の力には及ばないと 考えておくべきだろう。 #福島の原発事故をめぐって #山本義隆 #みすず書房

Posted by ブクログ