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砂の本 集英社文庫
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砂の本 集英社文庫

ホルヘ・ルイスボルヘス【著】, 篠田一士【訳】

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砂の本 集英社文庫

946

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2011/06/28
JAN 9784087606249

砂の本

¥946

商品レビュー

3.8

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2026/02/13

ボルヘスの小説にはあらゆる対立的なものが同時に織り込まれている。個別と全体、時間と空間、生と死、有と無、遠と近。文学において対立とは物理的ないし精神的な距離を生じさせるためのある種のレトリックだが、ボルヘスはそれを敢えて自らに禁じている。 『伝奇集』の冒頭に記された有名な一節は...

ボルヘスの小説にはあらゆる対立的なものが同時に織り込まれている。個別と全体、時間と空間、生と死、有と無、遠と近。文学において対立とは物理的ないし精神的な距離を生じさせるためのある種のレトリックだが、ボルヘスはそれを敢えて自らに禁じている。 『伝奇集』の冒頭に記された有名な一節は、彼の文学的態度を端的に示している。 "長大な作品を物するのは、数分間で語りつくせる着想を五百ページにわたって展開するのは、労のみ多くて功少ない狂気の沙汰である。よりましな方法は、それらの書物がすでに存在すると見せかけて、要約や注釈を差し出すことだ。"(『伝奇集』、プロローグ) 個別的な断片を差し出すことによって、それと表裏一体を成す全体を欠落として提示することと同義だ。ボルヘスの短いテクストは、人間の生命一つでは到底記述しようもない世界の全体を、影画という形でくっきりと浮かび上がらせる。 "ウルリーケはすでに着衣を脱ぎすてていた。本来の名、ハビエルでわたしを呼んだ。雪が激しくなっているのが感じられた。もはや家具も鏡も消えた。二人のあいだには剣もなかった。砂のように、時間が流れた。幾世紀にわたる闇のなかで愛が流れ、わたしは、最初にして最後に、ウルリーケのイメージを抱いた。"(『砂の本』、「ウルリーケ」) もちろん、言外の影を美しく彫琢するためには、膨大な知識が要る。彼が言語という有限をもって世界という無限を幻視させることができるのは、彼が「記憶の図書館」と形容するに相応しい圧倒的な知識を有していたからに他ならない。世界史と思想史を遍く知悉していたボルヘスには、世界それ自体の姿が本当に見えていたのかもしれない。 "もし空間が無限であるなら、われわれは、空間のいかなる地点にも存在する。もし時間が無限であるなら、時間のいかなる時点にも存在する。"(同上、「砂の本」) 昨今、ラウラ・シタレラやマティアス・ピニェイロといった映画監督が映画界を賑わせている。市井の人々は「なぜアルゼンチンという辺境からこんな才能が?」と首を傾げるが、ホルへ・ルイス・ボルヘスというあまりにも偉大な作家の足跡を思えば、そこには一切の疑念の余地もない。

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2026/01/26

ガルシアマルケスを読んだ時にも感じるような浮遊感というか、取り止めのなさを短編で感じられる。読みやすいかと言われるとそうじゃないけど、メッセージ性も感じられて面白い。

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2025/10/31

初ボルヘスでしたが、非常にクオリティの高い作品でした。 「読む」というよりは「挑む」という表現の方がしっくりときます。いずれの作品も10ページ程度ですが、それでも理解することが難しいぐらい文構造も複雑で情報量も多いです。ただ、2回3回と読み返していくうちに少しずつ解像度が上がって...

初ボルヘスでしたが、非常にクオリティの高い作品でした。 「読む」というよりは「挑む」という表現の方がしっくりときます。いずれの作品も10ページ程度ですが、それでも理解することが難しいぐらい文構造も複雑で情報量も多いです。ただ、2回3回と読み返していくうちに少しずつ解像度が上がってきて、「もしかしてこういう意味?」と自分なりの解釈が出来るようになってくる、その過程に「挑む」ことの面白さを感じられる作品でした。 後半パートは「汚辱の世界史」という悪党をテーマにした短編になっていて、海外の女海賊や殺人犯、そして日本からは吉良上野介をモチーフにした作品も載っています。1人1人で話が分かれていて、いずれも10ページ程度の短編ですが、これまたドラマチックで面白いです。少ない文量でも場面が鮮明に浮かんでくるので、とにかく読み応えがありました。これだけ短いのに凄いなぁ〜と感心しながら読んでいました。1話読むだけでも中編小説読んだぐらいの読後感でした。 ボルヘスは、長編小説は短編で表現できることを無駄に引き延ばしているだけだと、とにかく否定派の立場らしいです。でも、なるほど。この作品を読んだらその言葉にも納得です。私は長編の方が好きですけどね。

Posted by ブクログ