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根津権現裏 新潮文庫

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2011/06/28 |
JAN | 9784101356167 |
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根津権現裏
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根津権現裏
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商品レビュー
3.4
21件のお客様レビュー
前半はなかなか読み進めるのに時間がかかったが、岡田の兄とのやり取りからは慣れもあり、面白くなってくる。岡田とのやり取りは、栞を挟み変え忘れたかと思うほど似たやり取りが繰り返されるが、会話の文章が面白く、そのリズム感など、西村賢太はかなり参考にしているように感じる。
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骨髄炎と貧乏に悩まされる男が自死した友人の兄に対して語る部分が大半。古めかしい表現に見えるが金と女に渇望している様な状況は時代を問わず共感できると思われる。 岡田の情緒不安定ぶりも太平洋戦争時代なら軟弱者として一喝に処されるだろうが心の安泰の無い現代(そもそも安泰する時代もないだ...
骨髄炎と貧乏に悩まされる男が自死した友人の兄に対して語る部分が大半。古めかしい表現に見えるが金と女に渇望している様な状況は時代を問わず共感できると思われる。 岡田の情緒不安定ぶりも太平洋戦争時代なら軟弱者として一喝に処されるだろうが心の安泰の無い現代(そもそも安泰する時代もないだろうが)に合っているかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・角川文庫でも出ているみたいだが、新潮文庫で読む。新潮社での刊行に意義があるのだと西村賢太。 ・冒頭でうわっと驚いた。とにかく文末が「~のだ」「~のだ」続くのだ。独自に築き上げた文体というよりは、単に稚拙な匂い。 ・手短につづめてしまえば、友人岡田の縊死にまつわるくさぐさ。恨みは貧困(自己都合っ)と病気(足or蓄膿)。 ・身近な者の縊死ということで連想した中上健次ほどの広がりもないし、やや文脈は異なるが安岡章太郎「海辺の光景」ほどの愛惜もない、まあただの身辺雑記を長く書いて小説にしようといた感じ。 ・とか書くと、歿後弟子の西村氏は怒るだろうし、おそらく多いとはいえまい藤澤熱心読者にはムカつかれるかもしれないが、……果たして西村賢太というフィルターなしでこの小説が輝いているかと言えば、うーん。 ・もちろん何も前情報なく出会い事故的に読んだ上、たまたま心身の状態にフィットすれば、狂信的に面白がれない側面もないではない。 ・結構サディスティックな物言いを、字の文でも会話中でもするあたり、ついくすりと。内心刺してやりたいと思ったとか、蹴殺してやろうかとか。女の外見への嘲弄と面罵、果ては弟は急病死したと主張する故人の兄に、いや自殺でしょうと食い下がるとか。しかも友人の縊死体はさぞや汚かっただろうと想像するとか。このへんの語り手の真面目と常軌逸しっぷりのバランスが面白そう。 ・作者自身の意図とは全然違う可能性は高いが、(フィリップ・マーロウ的に)友人の死を調査するハードボイルドを、ひたすら貧窮や悲惨の方向に脱臼させることでユーモアを醸し出す作風、と見做して遊べるかもしれない。 ・が、とはいえこれも西村賢太の掌の上でワイン揺らしされているだけなのかもしれない。 ・はっきりいえば、「慊い」「根がなになに」「するんだなあ」「ほきだしてやった」「例に拠って例の如く」繰り返し、など、あー賢太が書いてたなというフレーズが出るたびにうふっと感じた、ということは、もはや藤澤の書作も半ば賢太の過去作と同化しているようだな、と感じた。 ・もちろん本作が賢太というひとりにインパクトを与え結果的に掬い上げた(一念)という点で意義深いが、その文脈なしにはなかなか楽しむのは難しいのではないか。 ・ところで賢太は相当演技的な作家だったし、その演技性は本人の談にとどまらず編集者や朝日書林の荒川義雄氏も語っているところだが、田中英光研究では埒が明くまいと藤澤に切り替えた発端はいずれにしても、こうして文庫で埋もれた作家を届けてくれた営為は、やはり有難い。残念ながら not for me だったが、面白みは十分にわかったし、数年数十年スパンで自分は一生藤澤でいくという読者が生まれる可能性を撒いたというだけで、意義深い。
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