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クロノリス 時の碑 創元SF文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2011/05/30 |
JAN | 9784488706074 |
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クロノリス
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クロノリス
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商品レビュー
3.6
17件のお客様レビュー
年明けに読んだ「時間封鎖」がたいへん面白く(現時点の2023年のベスト)、著者であるR・C・ウィルスンに興味を抱きました。ということで、本書は「時間封鎖」より前に発表された作品で、ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作。 2021年のタイで、突如として天を貫く巨大な塔が出現した。2...
年明けに読んだ「時間封鎖」がたいへん面白く(現時点の2023年のベスト)、著者であるR・C・ウィルスンに興味を抱きました。ということで、本書は「時間封鎖」より前に発表された作品で、ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作。 2021年のタイで、突如として天を貫く巨大な塔が出現した。20年先の未来の日付が刻まれたそれは、クロノリスと名付けられ、世界を混沌へと導いていく。なぜなら、クロノリスはその後も続々と現代に送り込まれていったからだ。未来の侵略者による攻撃に立ち向かうべく奮闘する人々。しかし、有効な手段が見つからないまま、時は無慈悲に2041年に迫りゆく。 あいかわらず面白い。ウィルスンは稀代のストーリーテラーですね。「時間封鎖」のときもそうでしたが、異常事象が起こりつつも、基本的には主人公ちかくの人間ドラマが丁寧に描写されます。その人間ドラマと異常事象が交わるときに、物語は佳境を迎えることになります。その点、本書ではちょっとオチが弱かったかな(これは「時間封鎖」のときも少し感じましたが)。物語の運び方がうますぎる分、気になってしまうのかもしれませんね。もうちょっと真相の部分、2041年以降の展開と過去とのつながりについて描いて欲しかったな、という思いがありますが、それはそれで蛇足なのかもしれませんね。
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スコット・ウォーデンは妻のジャニスと娘のケイトリンを連れて、タイでプログラミングの契約仕事をしていたが、その契約が終了しても、プーケットに留まって、悪友のヒッチと遊んでいた。そしてチャンポーンの山岳地帯で爆音を聞いたヒッチに誘われて出かけたが、なんとその場所で最初のクロノリスの出現を見てしまう。それを契機にこの騒動に巻き込まれていく。原因と結果が逆転する。タウ・タービュランスとか、フィードバックとか。色々と難しい理論がでてきたな。でも、面白かった。
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題名の勝利である。クロノリス。否応なく『2001年宇宙の旅』のモノリスを思い起こすし、それに「時間」がつくのだから、どんな壮大な話になるのだろう。 2021年、タイの山中に四角錐の石柱が突然現れる。タイ南部とマレーシアが「クイン」と名乗る者の軍門に下ったことを賀する碑文が刻...
題名の勝利である。クロノリス。否応なく『2001年宇宙の旅』のモノリスを思い起こすし、それに「時間」がつくのだから、どんな壮大な話になるのだろう。 2021年、タイの山中に四角錐の石柱が突然現れる。タイ南部とマレーシアが「クイン」と名乗る者の軍門に下ったことを賀する碑文が刻まれていた。しかも日付はちょうど20年後。次に旧ソヴィエトの彫像のように抽象化された非人間的な人物像の石柱がバンコクに現れるが、石柱の出現時の衝撃波でバンコクは壊滅する。続いて、平壌、ホーチミン市、マカオ、札幌、関東平野、中国の宜昌。石柱の出現と都市の破壊がアジアを席巻していく。20年後のクインの軍勢の侵攻を示すとともに、現在の都市をも破壊していく。 プログラマーの「わたし」は最初のクロノリスの出現時に居合わせ、やがて、政府のクロノリス研究機関に加わることになる。プライヴェートには冒頭から夫婦の不仲と離婚の物語が語られ出す。 アジアを席巻するクロノリスは次にどこに出現するのか。クインとは何者で、何のために20年前に干渉しようとするのか。20年後の未来と「わたし」の現在とはどのような関係を結んでいくのか。そして「わたし」個人の物語はどう進んでいくのか。本書の発表は2001年。舞台はその20年後で、さらに20年後からクロノリスが送り込まれるという設定。日本語訳が原書出版と作品の舞台のちょうど真ん中の2011年というのはちょっとした洒落のようなものか。 先が読めないプロットに惹きつけられる。20年前の過去に干渉するということは必然的にクインのいる未来にも影響を与えずにはおかないはずなのだが、クインはクロノリスを送り込むことで未来を望む方向にねじ曲げようとしているのだ。つまり、20年後に示されるであろう圧倒的と思えるクインの力にひれ伏すしかないという思う人々、クイニストたちが現れ、クインの登場を待ち望むようになり、社会は混迷の度を増していく。 この混沌としたタイム・パラドックス状況でいったい未だ存在しない敵とどう戦うのか。時間は2041年、クインのタイ南部とマレーシア征服の時へと迫っていく。 ひとつの作品としては面白いのだが、『時間封鎖』と引き比べると同工異曲的、あるいは『時間封鎖』への習作という感のあるのが若干興をそがれる。まず大きな構造として、人生のかなりの部分を費やすようなスパンの、地球規模の大事件と、主人公の愛情関係の物語を併置する構造、絶望的な状況に陥っていく社会とそれをいささか諦観を持って見つめる主人公、といったあたりである。また、細部のプロットも『時間封鎖』と似たところがあれこれ目についてしまう。 もっともそれは『時間封鎖』を読んでしまっているからで、大胆なアイディアと丁寧な人物描写で読ませる作品であることは確か。
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