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日本語教室 新潮新書
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井上ひさし【著】

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2011/03/17
JAN 9784106104107

日本語教室

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商品レビュー

3.9

74件のお客様レビュー

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2023/05/17

本書は、日本語そのものを学ぼうというのではありません。 井上ひさしが考える、日本語の現状をさらっと把握して、「日本語とはどういう言語か」ということを考える書です。 気になったことは以下です。 ・15歳を過ぎるとどんな言葉も覚えることができない ・母語は道具ではない、精神そのも...

本書は、日本語そのものを学ぼうというのではありません。 井上ひさしが考える、日本語の現状をさらっと把握して、「日本語とはどういう言語か」ということを考える書です。 気になったことは以下です。 ・15歳を過ぎるとどんな言葉も覚えることができない ・母語は道具ではない、精神そのものである ・日本は、いつもそうです。世界で一番強い文明を勉強します。中国そして、欧州、戦後はアメリカです。 ・日本には、自分の住んでいるところは大したことなくて、優れたものは他にあるという、そういう精神構造はいまだにあります。 ・たいへん便利で、大きな文明が入ってくると、そこにもとからあったものはなくなっていって、大きな文明に吸収されていく、言葉も然り ・言葉が自然に消えていくということはありません、必ず何かの、社会的、経済的、政治的圧迫で消えていくのです ・日本語の文法はどこから来たのか。ウラル・アルタイ語族、つまり、トルコ語と、日本語がよく似通っていることから、どうやらウラル山脈あたりから、シベリアを通ってやってきたのではないかということになっています。 ・ほんとうに日本語はたいへんですよね。やまとことば、漢語と、外来語の3つを覚えなければなりません。 ・日本語の音韻体系は簡単で完結で、非常な合理性をもっています。五十音図を思い出してください。あれで日本語の音全部を云いつくしているわけですからすごい ・近代国家にとって必要なものは、少なくとも3つある。貨幣制度、軍隊制度、そして、言葉の統一です ・いずれにせよ、明治国家は言語を統一しようとして、標準語をつくろうとしました ・逆にいうと、まだまだ日本語は完成されていないのです、また、そもそも日本語というものがあること自体おかしいともいえます ・日本語では音節が子音で終わることはありません、かならず母音で終わります ・日本人にはもう文法は必要ない ・一般に「口語文法」というときの「文法」というのは、だれか整理し組織立てたものなのか、わからない。これはつまり、私たちひとりひとりそれぞれの文法があるということです ・私たちは日本語の文法を勉強する必要はないのです、無意識のうちにいつのまにか文法を身につけていますから。 目次 はじめに 第1講 日本語はいまどうなっているのか 第2講 日本語はどうつくられたのか 第3講 日本語はどのように話されるのか 第4講 日本語はどのように表現されるのか 井上ひさし著書・単行本目録(抄) ISBN:9784106104107 出版社:新潮社 判型:新書 ページ数:192ページ 定価:720円(本体) 発売日:2012年04月10日 14刷

Posted by ブクログ

2022/10/01

本書は上智大学のOB会「ソフィア会」主催の「日本語講座」を書籍化したものである。この講座の聴講料は留学生の奨学金に充てるとのこと。 2015年に本書を購入し一読したが、今回改めて読み直した。 著者の井上ひさしはものを書き始めると、悪鬼のようになり、妻に暴力を振るった。それは、文章...

本書は上智大学のOB会「ソフィア会」主催の「日本語講座」を書籍化したものである。この講座の聴講料は留学生の奨学金に充てるとのこと。 2015年に本書を購入し一読したが、今回改めて読み直した。 著者の井上ひさしはものを書き始めると、悪鬼のようになり、妻に暴力を振るった。それは、文章を書くことにナーバスであったからに違いない。 例えば本書の冒頭に、 「母語は道具ではない。精神そのものである」 「小学校で英語を教えようということになったときに、僕は本当に危ないと思いました。すべて、そうやって、言葉は消えていくのです。」 とあり、日本語に対して思索を重ねてきたことが感じ取れる。 さらに読み進めていくと、仕事柄、膨大な研鑽を重ねてきたことが分かる。著者の独自の視点で研究してきたこともよく分かる。 しかしそれは、学問のための研究ではない。自分の作品を書くための道具としての日本語の研究である。道具としての言葉をここまで研究してきたのかと驚嘆する。 そしてそれを、ジョークに包んで言葉にできるところに井上ひさしという作家の狂気を見たような気がした。

Posted by ブクログ

2021/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本語教室 著者:井上ひさし 発行:2011年3月20日    新潮新書 2001年、当時、最も正しい日本語を使う作家とされていた井上ひさしが、母校の上智大学で4回にわたって日本語について講演したものを書き起こしてまとめた新書。軽いタッチで非常に充実した、しかも誰しもが興味津々となる内容でした。 著者が手書きで思いつくままにまとめた現在の日本語成立過程の図は圧巻でした。仙台一高出身の著者、縄文時代の標準語は東北弁だった、と主張。 主格を示す格助詞「は」と「が」の使い分けについても、我々が教えられた常識とは違うことで結論づけていて、誠に勉強になりました。 外来語の問題点 再生、改良、仕立て直し、改築、増築、改装。日本語にはたくさんの意味があるのに一言で「リフォーム」と言ってしまうことが問題。 「イエスかノーか」はだめ デジタル思考にすぎない。本当はイエスとノーとの間に大事な領域がある。国連の公用語に戦勝国の言葉だけでなく、なぜスペイン語が含まれるか。それはスペインがどちらの立場の国に対しても間に入って大きな貢献をしたから. 理想に一番近い文章を書く人 丸谷才一か、大江健三郎か(でも少し漢字が多い) 言葉の長さ 英語やフランス語で2時間の芝居を日本語に訳すと4,5時間かかる。言葉が母音で終わり、音節の種類が少ないから。 濁る、濁らないの区分け 茶畑の畑は「ばたけ」と濁るが、田畑の畑は「はた」と濁らない。前者は畑がメインだから。つまり、茶の畑だから。田畑は田と畑で同等。「弾きがたり」と「弾きかたる」は、用言と用言が重なるから濁り、用言と体言だと濁らない。 そばの数詞 ざる蕎麦は、更科系が「枚」で、天竜系が「杯」。 「は」と「が」の使い分け 格助詞の「は」について、以前は区別の「は」と言われていたが、大野晋が研究を重ねて結論を出した。 例えば、「おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」 これは区別の「は」ではなくて、既知の旧情報は「は」、未知の新情報を受ける場合は「が」を使っているに過ぎない。未知の情報、おじいさんとおばあさんのことは「が」であり、すでにそれが出てきた既知の旧情報だから柴刈りや洗濯は「は」となる。 日本語の成立 ①原縄文語 ↓ ②前期九州縄文語→琉球縄文語→琉球諸方言             →表日本縄文語→山陽・東海方言             →裏日本縄文語→東北方言 ↓ 後期九州縄文語            ↓ ↓                     ↓ ③原弥生語=後期九州縄文語+裏日本縄文語+渡来語 ↓ 弥生語 ↓ 関西方言 ↓(+漢語やラテン語、ポルトガル語など) 官制日本語 ↓ 現・日本語 ↓(+英語) ?語 *つまり、昔は東北弁が標準語だった、その一部が今も出雲地方に残る  後、大野晋「タミール語源説」通りに渡来語が入り、弥生系、関西方言になり、それが広まった 日本語をあてた際の罪 例えば、「ライト」を日本語に訳した時、仏教でいう力ずくで得る利益の意味の「権利」をあててしまったのが過ちだった。西洋では当然の「ライト」が日本ではやましいニュアンスもある「権利」となった。権利を主張するなら義務を果たせ、という風潮が出来てしまった。 標準語とは 東京の山の手言葉だけとは限らない。 例えば、おまわりさんの官制標準語は常陸(ひたち)弁。「○○であります」は山口の言葉。 日本はよい国か? ボストン大学の社会学者メリー・ホワイトの言葉。 「アメリカはよい国か。イエス。ただし、奴隷制や、先住民族抑圧や、日系人の強制収容や、無差別爆撃や、原子爆弾の投下や、ベトナム戦争がなければの話だが。日本はよい国か。イエス。素晴らしい国である。ただし、台湾・朝鮮の植民地化、満州国のでっち上げ、それからオキナワとアイヌに対する差別、被差別部落、それから在日韓国・朝鮮人に対する抑圧、それから従軍慰安婦問題、そして南京虐殺を除けばだが」 山梨県の奈良田という村、名古屋弁 戸数が50戸ぐらい。「つ」という音が巻き舌になって「トゥ」になる。月見はトゥキミ、狐はキトゥネ。名古屋弁は「え」が「ええー」、「お」が「おおー」になる。だから、「エエービフリャー」となる。

Posted by ブクログ

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