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生きるとは、自分の物語をつくること 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2011/02/26 |
| JAN | 9784101215266 |
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生きるとは、自分の物語をつくること
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生きるとは、自分の物語をつくること
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商品レビュー
4.1
144件のお客様レビュー
今年度の初め、小川洋子の作品を「面白いから読んでみて」と三度ほど勧められて、そのたびに気にはなりつつも、今は読む時間がないと先送りにしていた折、書店で河合隼雄との対談集が平積みされているのを見つけた。これは良い機会と思い1時間ほどで読了。 河合隼雄は、元高校数学教師であり、心理...
今年度の初め、小川洋子の作品を「面白いから読んでみて」と三度ほど勧められて、そのたびに気にはなりつつも、今は読む時間がないと先送りにしていた折、書店で河合隼雄との対談集が平積みされているのを見つけた。これは良い機会と思い1時間ほどで読了。 河合隼雄は、元高校数学教師であり、心理学者として活躍した後、文化庁長官も務めた人物。 これまで、河合の教育や人との関わりについて綴られた文章を読み、そのたびに考えさせられてきた。「一生懸命教えようと意気込むほど、生徒は教員以上には一生懸命にならない」「教えない教員のほうが、生徒は自ら学ぶ」といった、自身の経験に根差した言葉には、何度もうなずかされた記憶がある。 本書の中で、特に印象に残ったのは次のやり取りである。 63頁「ところが『今日はあまり話できんかったけど来週来る?』と言ったら、ニコーッとして『はい』と言うんですよ。ヘェー、これで来週来るのか、って思いました。その後母親から電話が掛かってきました。そういう子やからいつもすごい憂鬱な顔をしとったのに、ちょっと明るい顔して帰って来た。『高校生の気持をあそこまで理解してる人はいない』とお母さんに言うたそうです。すごいでしょ。」 58頁「中学生や高校生は、しゃべらないんじゃなくて、しゃべれないんです。」 58頁「というのは、大人はごまかしてしゃべれる。」 59頁「一番これが言いたいっていうことだけを言いたい。だけど、そのための言葉がない。自分が捕まってることと自分が使える言葉というのが、離れすぎている」 これまで、一対一で会話が弾まないと、話したくないのだろうなと受け止めていた。この言葉を読み、相手が高校生であるということを、どこかで忘れていたのではないか。話したくないのではなく、話せない。伝えたい思いはあるのに、それを表す言葉が見つからない。そのもどかしさを抱えていることもあるのだろう。 だからこそ、沈黙を急いで埋めようとするのではなく、言葉にならない時間もそのまま受け止められる空間をつくることが大切なのだと改めて感じた。話せなくてもここにいていいと思える場があること自体が、その人を支えることにつながるのかもしれない。 本書では、小川洋子は終始聞き手に回り、河合隼雄の思索や経験を静かに引き出している。2007年7月に河合隼雄が亡くなった後、小川洋子は、長めのあとがきである「二人のルート」にこう記している。 126頁「物語に託せば、言葉にできない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げてゆくことに他ならない。」 自分の経験や人との関わりを、一つの「物語」として言葉にし、少し距離を置いて眺めてみる。その時間があるからこそ、感情に飲み込まれることなく、自分自身や相手との関係を見つめ直すことができるのだろう。
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「生きる意味」は?と聞かれて「死ぬまで生きる」と答える人生を歩んできました。多分そこには「自分らしい人生」をおくる、という物語があった気がしました。 人の命は短く、ままならない。その中に自分だけの物語を紡ぐことが全ての人に、必要なのだと、改めて考えさせられました。 そして、架空の...
「生きる意味」は?と聞かれて「死ぬまで生きる」と答える人生を歩んできました。多分そこには「自分らしい人生」をおくる、という物語があった気がしました。 人の命は短く、ままならない。その中に自分だけの物語を紡ぐことが全ての人に、必要なのだと、改めて考えさせられました。 そして、架空の良質な物語を紡ぎ出す、小川さんをはじめとする文筆家の魔法で、我々は日々生きているのだと、感謝です。
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河合隼雄さん、小川洋子さん、お二人の作品は読んだことがあり、どちらも好きだったので、二人の対談ということで楽しみに読んだ。 この本を読んで強く感じたのは、物語とは単なる娯楽ではなく、人が死や別れ、後悔や矛盾といった、理屈だけでは受け止めきれないものと折り合いをつけるために必要な...
河合隼雄さん、小川洋子さん、お二人の作品は読んだことがあり、どちらも好きだったので、二人の対談ということで楽しみに読んだ。 この本を読んで強く感じたのは、物語とは単なる娯楽ではなく、人が死や別れ、後悔や矛盾といった、理屈だけでは受け止めきれないものと折り合いをつけるために必要なものなのだ、ということだった。 特に印象に残ったことは大きく三つある。 一つ目は、現代では「死」が日常から遠ざかりすぎているということだ。 本の中で語られる「やさしさの根本は死ぬ自覚だ」という言葉が強く心に残った。医療の発展や生活の便利さによって、私たちは普段、死をあまり意識せずに生きている。特に、親しい人が死ぬことや、自分自身が死ぬことは、どこか心の中で遠ざけてしまっている。 けれど、「あなたも死ぬ、私も死ぬ」ということを本当に共有できていれば、お互いへの接し方は変わるのだと思う。相手の弱さや欠点も含めて受け入れようとする気持ちや、限りある時間を大切にする感覚が生まれる。死を意識することは暗いことではなく、人を大切にするための感受性につながるのだと気付かされた。 二つ目は、物語は現実逃避ではなく、現実を受け入れるための営みだということだ。 人は、生きていく中で受け入れがたい現実に直面する。そのとき、現実をそのままの形で受け止めることは難しい。だからこそ、自分の心の形に合うように現実を物語化し、記憶として整理していくのだという考え方が、とても腑に落ちた。 小説や漫画、映画などの物語に触れたとき、なぜか心が軽くなることがある。それはきっと、作品が自分の中にある言葉にならない感情を表に引っ張り出し、自分なりの物語を作る手助けをしてくれているからなのだと思う。以前は、漫画や小説などの物語にはどこか「子供のためのもの」という感覚もあった。しかしむしろ、人生経験を重ねるほど、物語に支えられたり、救われたりする場面は増えていくのかもしれない。 三つ目は、カウンセリングとは、相手を励ましたり、正解を教えたり、無理に引っ張り上げたりすることではないということだ。 子供を亡くした母親の後悔について語られる場面で、「荷物を礎にする」という言葉が出てくる。苦しみや後悔をなかったことにするのではなく、それを抱えながらも、生きていくための足場に変えていく。その過程に寄り添うことが、カウンセリングなのだと感じた。 これは簡単なことではない。相手の苦しみに対して、つい励ましたり、前向きな言葉をかけたりしたくなる。でも本当に必要なのは、相手が自分なりの答えや物語にたどり着くまで、そっと隣にいることなのだと思う。 この本を通して、物語が持つ不思議な力の秘密に少し触れられた気がした。 自然科学や論理では、「人はなぜ死ぬのか」に対する説明はできるかもしれない。しかし、「なぜ私の大切な人が死んだのか」「この悲しみをどう抱えて生きていけばいいのか」という問いには、それだけでは答えられない。そこに必要になるのが物語なのだと思う。 生きるとは、自分にふさわしい物語を作っていくこと。 その言葉の意味が、少しだけ分かったような読書だった。
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