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夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 ハヤカワepi文庫
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夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 ハヤカワepi文庫

カズオ・イシグロ(著者), 土屋政雄(訳者)

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夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 ハヤカワepi文庫

858

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2011/02/05
JAN 9784151200632

夜想曲集

¥858

商品レビュー

3.7

140件のお客様レビュー

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2026/02/26

大きなドラマが待ち受けているわけではないが あとがきを読むと、カズオイシグロはチェーホフに大きく影響を受けているようなので なるほどと思う 5篇目のチェリストにて まだ足を踏み入れたこともない庭園が遠くに見えました。 という節がとても羨ましく思えた わたしもミス・マコーマック...

大きなドラマが待ち受けているわけではないが あとがきを読むと、カズオイシグロはチェーホフに大きく影響を受けているようなので なるほどと思う 5篇目のチェリストにて まだ足を踏み入れたこともない庭園が遠くに見えました。 という節がとても羨ましく思えた わたしもミス・マコーマックのような人からそのようなレッスンを受けてみたい まだ足を踏み入れたこともない庭園、そんな世界を私も自分の音で見てみたい

Posted by ブクログ

2026/02/25

表紙と、そして『音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』という副題から簡単に想像できる通り、この作品集には、人生の黄昏時の雰囲気漂う男女の別れを描いた短編が、五編収められている。 思えば夕暮れは、最もロマンチックな瞬間ではないだろうか。 一日で限られた特別な時間帯にだけ、目に映る独特の...

表紙と、そして『音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』という副題から簡単に想像できる通り、この作品集には、人生の黄昏時の雰囲気漂う男女の別れを描いた短編が、五編収められている。 思えば夕暮れは、最もロマンチックな瞬間ではないだろうか。 一日で限られた特別な時間帯にだけ、目に映る独特の斜光。それは人によってはただの黄色い光線にしか映らないかもしれない。 だがよくよく考えてみると、その光線とそっくりそのままの夕陽が、将来再び僕らの下を訪れることは決してないのである。 そのような夕暮れ時に、同様にかけがえのない相手であったに違いない男女が、お互いに最後の別れを交わすのだ。 この作品集は、このような悲哀を求めている人に向いていると言えそうだ。 小説のイメージを示すのに、世俗的な表現として『喪失と再生の物語』というものがある。ここではただ『喪失』にのみ焦点が当てられていると言えるだろう。 しかしその雰囲気は決して暗くない。始終、どこかユーモラスというか喜劇的な空気が、そこかしこに漂っているのだ。 それゆえに読者は明るさと、何かしらの爽やかささえも持って、この短編集を閉じることもできるのではないだろうか。 才能はあるものの、あまりに感情的な男性を語り部に置き、時にヒロインや、その他の登場人物と感情をぶつけ合いながら、破局に進んでゆくという、退廃的ながらも情熱的な短編が多い。 短編集全体を包み込む喜劇的な雰囲気が、語り部たちのこの傾向にあることは、おそらく間違いないだろう。 彼らは他者の心理を読むことに長けているものの、「この人はこう思っているに違いない」と思い込んで、それで暴走してしまったりするのである。この傾向はとくに二編目、三編目、四編目の主人公に強い。 ここまでくると少し情緒不安定とも言えそうで、彼らの私生活がどこか案じられるのであるが、イシグロの世界の中では、彼らも彼らなりにうまく生きることができているようである。 僕の推測だが、彼ら語り手たちには、おそらく過去のイシグロの自己投影が多分に含まれているのだろう。 その意味でこの短編集は、イシグロ自身のサクセス・ストーリーを、僕らが垣間見るヒントになるかもしれない。 そして、このような特性が一読者である僕自身にも多少あるがゆえに、僕もこの本に安心して心を委ねることができた。 やはりイシグロは居心地のよい作家である。 これより以降、話の具体的なネタバレが少し入るので、今後読みたい方は気をつけてほしい。 個人的には五編目の『チェリスト』が好みだった。この作品だけ語り部と主人公が別人物である。 そして主人公ティボールは、心中に熱情を秘めている点では変わりないものの、それまでの主人公とは明らかに趣きを異にしている。 ティボールは、あたかもそれまでの激動的な主人公たちの領域を乗り超えて、ある種の悟りを開いたかのようだ。つまり非常に心穏やかなのである。 彼の内に秘められた熱情は、ただの感情の奔走としてではなく、柔らかく優しい形で表現されていく。 ロンドンの王立音楽院(日本でいえば東京藝術大学のようなところだろう)で英才教育を受け、アドリア海沿岸で粛々とチェロを弾く彼は、物語が進んで、一人のアメリカ人女性に魅力される。 このプロのチェリストを名乗る女性はきわめてミステリアスかつチャーミングだ。 彼女はティボールの演奏に数多くの有用な指摘をし、指導をしてくれるのだが、彼は次第に彼女を疑いはじめる。 だがそれと同時に、彼女の指摘や指導方針も的確であるため、彼は彼女とどう折り合いをつけるか困ってしまうのである。 そこに彼女の婚約者が現れ、、 いかがだろうか。この流れに何かワクワクするものがあったとしたら、あなたもきっとこの作品をうまく咀嚼できるだろう。 結論を言うと、僕は彼女がティボールを欺いていたとは思わない。 彼女が行動していなかったことは事実だとしても、その指導は少なくとも彼にとっては本物だったのだし、彼の眼には、彼女の才能も本物と映っていた。 その意味で彼女は、おそらく彼の中にこれからも棲み続けることだろう。 本物と偽物の相違とは、一体どこにあるのだろうか。 この考察の答えを出すのは難しいが、最後に一つの事例を示して、この感想文の括りとしよう。 昔に読んだ国語の教科書における、ある哲学者の言葉である。 「宵闇の樹木が人に見えたままだったとしたら、その樹木は、見た人にとっては、確かに人だったのである」 カズオ・イシグロの文章は一見すると平易だが、その内容は深く難解だ。 時にはその深遠な世界にどっぷりと浸ってみるのも、いい読書体験になるのではないだろうか。

Posted by ブクログ

2026/02/21

人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔...

人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。

Posted by ブクログ