商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 草思社 |
発売年月日 | 2010/12/14 |
JAN | 9784794217936 |
- 書籍
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137
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商品レビュー
3.6
6件のお客様レビュー
★2(付箋数5、444ページ、割合0.011) 137の「数の意味」と言うとカバラの数秘術みたいに感じる。解答も勿論ないというか問いが間違っていると思う。なので、それを探したパウリのアプローチにも自然とついていけなくなるのだが、もう一人の主役がユングなのだ。 二人の大学者がそれぞ...
★2(付箋数5、444ページ、割合0.011) 137の「数の意味」と言うとカバラの数秘術みたいに感じる。解答も勿論ないというか問いが間違っていると思う。なので、それを探したパウリのアプローチにも自然とついていけなくなるのだが、もう一人の主役がユングなのだ。 二人の大学者がそれぞれに心理と量子という新しい領域に踏み込みながら、お互いに感情面で交錯していた様子はとても、歴史の綾を思わせる。 ユングの著作を読んでいないので、ユングのカウンセリング方法のイメージを知れたのも良かった。錬金術の図の使い方はさながら、ロールシャッハか箱庭なのです。 ユングはパウリの考えを受けて喜んで、「元型が表しているのは心的事象の確率なのです」と述べた。つまりユング心理学は、民俗学とか社会学と個人の間に生じるものへのアプローチなのだ。 フロイトに比べてユングは非科学的だとする人は多いけれど、果たしてそうだろうか。ニールス・ボーアはパウリと議論するときに「この理論はとんでもなさが足りない」と批判したそうだ。僕から見ると、フロイトは鋭いけれど包括的でなくて「とんでもなさが足りない」ような気もする。ユングがオカルト的なのも、否定できないけれど。
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物理学でも心理学でもない。物理学者パウリと心理学者ユング周辺の人間関係を描いた伝記だ、というのが個人的な分類。 量子力学を大きく発展させた天才物理学者パウリ。高校時代にアインシュタインの相対性理論に関して論文を投稿した彼が、ボーア、ハイゼンベルクと出会い、異常ゼーマン効果の解決で挫折し、排他原理や第4の量子数発見などの業績を収めていく話。 彼は「ジキルとハイド」のような、昼は研究、夜は歓楽街で淫蕩にふける、2重人格のような生活を送っていたという。 心理学上、心は意識と無意識に階層分けされ、機能としては理性、感情、感覚、直観といった4つのベクトルがある。パウリは極端に理性偏重の意識だったから、感情、感覚、直観などの機能が未成熟となり、それらは無意識に追いやられて混沌としたままだった。だから夜に乱れた生活を送るように。 やがて、心理療法を受けるパウリはユングと出会った。 個人的には、過去の科学者達が、最終的には神学や錬金術等、当時の常識だった、「曖昧な(という表現で良いのか疑問だけど)」学問に取り組んだということに興味がある。科学、特に(分子生物学などの)還元主義的な科学は、ブルドーザーみたいだと思う。平地を開墾するにはブルドーザーは良いけど、崖みたいなところには向かない。遺伝子だけで人の心理とかを議論するのは限界があると思う。科学が進歩して文明が発展すれば、科学で解決できないことが積み残されて、非科学的な方向に揺り戻され、その間に科学が進歩してまた文明を発展させるような。 量子力学とか心理学とかに関して専門的なことは書かれていないけど、CP対称性の話、ちらっとでてくるので、他の本でその崩れとかの話につなげていけば面白い、と思った。
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微細構造定数「137」は「神秘数」とも呼ばれ、宇宙とあらゆる物質の根底をなす数の1つである。「神秘」という言葉が出てきたが、この言葉こそは、学問上交錯しないはずの物理学と心理学を結びつけるカギだ。 本書は、ヴォルフガング・パウリ(物理学者)とカール・ユング(心理学者)の邂逅が、...
微細構造定数「137」は「神秘数」とも呼ばれ、宇宙とあらゆる物質の根底をなす数の1つである。「神秘」という言葉が出てきたが、この言葉こそは、学問上交錯しないはずの物理学と心理学を結びつけるカギだ。 本書は、ヴォルフガング・パウリ(物理学者)とカール・ユング(心理学者)の邂逅が、互いにどのような化学反応をもたらしたかを明らかにした一冊。2人は「科学は神秘主義のなかから姿を現し、けっして完全には分離していない」と信じ、相手の学問分野を深化させることに情熱を注いだ。その過程を、パウリの残した夥しい量の書簡をもとに書き上げた本書からは、パウリの人としての全体像が、彼の声とともに浮かんでくる。 量子力学における粒子のふるまいは、人の心のふるまいに似ていると思う。どちらも偶発的、等価的であるが、統計的確率に吸収される。物理学と心理学の距離は、そう遠くない。
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