商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2010/08/17 |
JAN | 9784094512267 |
- 書籍
- 文庫
とある飛空士への恋歌(4)
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とある飛空士への恋歌(4)
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商品レビュー
4.3
20件のお客様レビュー
生きる希望が生み出すスペクタクルが半端無し
参りました。もぅ、声も出ない。こんなスペクタクルな興奮と感動があっていいのかという激動の展開が圧巻の筆致で描かれている。絶望の淵にあっても全てを受け入れ、それでもなお生きたいと願う強い想いが、『追憶』と見事な対を成すニナ(クレア)の表紙で示されている。悲嘆に暮れる出だしだっただけ...
参りました。もぅ、声も出ない。こんなスペクタクルな興奮と感動があっていいのかという激動の展開が圧巻の筆致で描かれている。絶望の淵にあっても全てを受け入れ、それでもなお生きたいと願う強い想いが、『追憶』と見事な対を成すニナ(クレア)の表紙で示されている。悲嘆に暮れる出だしだっただけに重苦しかった前半だが、再度の戦争、そして絶体絶命の中で顕現する奇跡が実に見事。二転三転するジェットコースター展開を2段階で盛り上げるクライマックスに至っては、これを歓喜の涙なくして読めるかという素晴らしさだった。 バトルにおいては、あえて古典的な艦隊決戦で前回との違いを出しつつ、カルエル達に学生らしい任務を与えて面白さを演出している。そして、ここでの主役はノリアキとベンジャミンである。訓練時のコンビや幼馴染みといった背景を巧みに用いたドラマが華を添えながら前回のミツオにも負けない活躍を見せ、悪夢再びか……という心配を鮮やかに裏切る捻りまで加えた顛末は喝采に値する。また、若干お株を奪われた形のカルエルにも覚醒と成長をきっちり描いて凄みを持たせている。この契機となったイグナシオの、写し鏡のような秘密を通して母の言葉に宿る真意を理解する流れにも説得力を持たせ、さらにはニナ(クレア)の覚醒を呼び込み、「恋歌」として奇跡を生む素晴らしさに繋がっていた。 さて、最後にはまた厳しい局面を迎えるようだが、これについては、かつて初恋を引き裂かれながらも新たな生き甲斐を見出だし、後に「西海の聖母」とまで崇められたアノ人の意見を是非とも聞かせてほしい。この2人の行く末を案じるのか、それとも政治に翻弄される宿命と諭すのか。願わくば、かつての自分達と同様の運命に振り回されそうな2人の一助となる言葉を聞かせてほしい。
DSK
文句の言いようが無い。 所々急ぎ足な点が見られるが、それを凌駕する面白さ。 王道的な要素も数多く取り入れられているが、そうでなくてはいけない。 まだ続いてしまうが、期待せずにはいられない作品になった。 文末にもあるが、精密さより面白さを優先したとのこと。 大正解だ...
文句の言いようが無い。 所々急ぎ足な点が見られるが、それを凌駕する面白さ。 王道的な要素も数多く取り入れられているが、そうでなくてはいけない。 まだ続いてしまうが、期待せずにはいられない作品になった。 文末にもあるが、精密さより面白さを優先したとのこと。 大正解だと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ネタバレ 嗚呼、悲恋物語ここに極まれり…。少女は心の殻を解き放つ。罪悪感で押しつぶされそうな相手に対する贖罪と「あなたに恋している」との絶叫とともに…。一方、死に殉じようとする少女を目のあたりにした少年は気づく。辛酸を舐めたであろう彼女の過去に、少女の想いに、そんな少女に恋していることに…。そして少年は願う。愛しい少女が生きることを…。「生きろ」という短い言葉に込められた幾万もの想いが飛空機からはじけ飛ぶ。まぁ、実際、カルエルの境遇や性格が善に満ちたものとは言えず、クレアも絶対悪というほどのこともないのだろう。 しかしながら、神ならぬ当事者の想いはそう簡単に割り切れるのではない。この善悪併せ持つ等身大の人間が、心の障壁を乗り越えて、相手を互いに想いあえる心情、関係の構築に至る。このカタルシスが、丁寧な心象描写で展開する。しかも、このカタルシスは、カルエルとクレアのみならず、シャロン、ノリアキ、ベンジャミンらにも及んでいる。また、一方の貴種流離譚を体現するイグナシオ。彼の行動はやや唐突ではある。ただカルエルと違い、かなり人間洞察力に優れているような彼は、クレアとアリエルのカルエルへの愛を早い時期に気づいていたのかも そんな風に他人に愛されるカルエルの長所を素直に受け取れるほど彼は「大人」であったよう。殊に、間近に見続けてきたクレアの行動・心境の変化には驚いたはず。だからこそ、彼女を変えたカルエルへの復讐に徹することはしなかった。また、カルエルを叱咤するにあたり、独善的な見方をしがちなカルエルに対して、クレアの行動ではなく、アリエルの想い・諦念を気づかせるよう仕向け、人の行動や心理の多面性を示唆したのでは、と感じている。
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