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とある飛空士への恋歌(4) の商品レビュー

4.3

20件のお客様レビュー

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生きる希望が生み出すスペクタクルが半端無し

参りました。もぅ、声も出ない。こんなスペクタクルな興奮と感動があっていいのかという激動の展開が圧巻の筆致で描かれている。絶望の淵にあっても全てを受け入れ、それでもなお生きたいと願う強い想いが、『追憶』と見事な対を成すニナ(クレア)の表紙で示されている。悲嘆に暮れる出だしだっただけ...

参りました。もぅ、声も出ない。こんなスペクタクルな興奮と感動があっていいのかという激動の展開が圧巻の筆致で描かれている。絶望の淵にあっても全てを受け入れ、それでもなお生きたいと願う強い想いが、『追憶』と見事な対を成すニナ(クレア)の表紙で示されている。悲嘆に暮れる出だしだっただけに重苦しかった前半だが、再度の戦争、そして絶体絶命の中で顕現する奇跡が実に見事。二転三転するジェットコースター展開を2段階で盛り上げるクライマックスに至っては、これを歓喜の涙なくして読めるかという素晴らしさだった。 バトルにおいては、あえて古典的な艦隊決戦で前回との違いを出しつつ、カルエル達に学生らしい任務を与えて面白さを演出している。そして、ここでの主役はノリアキとベンジャミンである。訓練時のコンビや幼馴染みといった背景を巧みに用いたドラマが華を添えながら前回のミツオにも負けない活躍を見せ、悪夢再びか……という心配を鮮やかに裏切る捻りまで加えた顛末は喝采に値する。また、若干お株を奪われた形のカルエルにも覚醒と成長をきっちり描いて凄みを持たせている。この契機となったイグナシオの、写し鏡のような秘密を通して母の言葉に宿る真意を理解する流れにも説得力を持たせ、さらにはニナ(クレア)の覚醒を呼び込み、「恋歌」として奇跡を生む素晴らしさに繋がっていた。 さて、最後にはまた厳しい局面を迎えるようだが、これについては、かつて初恋を引き裂かれながらも新たな生き甲斐を見出だし、後に「西海の聖母」とまで崇められたアノ人の意見を是非とも聞かせてほしい。この2人の行く末を案じるのか、それとも政治に翻弄される宿命と諭すのか。願わくば、かつての自分達と同様の運命に振り回されそうな2人の一助となる言葉を聞かせてほしい。

DSK

2022/09/07

文句の言いようが無い。 所々急ぎ足な点が見られるが、それを凌駕する面白さ。 王道的な要素も数多く取り入れられているが、そうでなくてはいけない。 まだ続いてしまうが、期待せずにはいられない作品になった。 文末にもあるが、精密さより面白さを優先したとのこと。 大正解だ...

文句の言いようが無い。 所々急ぎ足な点が見られるが、それを凌駕する面白さ。 王道的な要素も数多く取り入れられているが、そうでなくてはいけない。 まだ続いてしまうが、期待せずにはいられない作品になった。 文末にもあるが、精密さより面白さを優先したとのこと。 大正解だと思う。

Posted byブクログ

2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ネタバレ 嗚呼、悲恋物語ここに極まれり…。少女は心の殻を解き放つ。罪悪感で押しつぶされそうな相手に対する贖罪と「あなたに恋している」との絶叫とともに…。一方、死に殉じようとする少女を目のあたりにした少年は気づく。辛酸を舐めたであろう彼女の過去に、少女の想いに、そんな少女に恋していることに…。そして少年は願う。愛しい少女が生きることを…。「生きろ」という短い言葉に込められた幾万もの想いが飛空機からはじけ飛ぶ。まぁ、実際、カルエルの境遇や性格が善に満ちたものとは言えず、クレアも絶対悪というほどのこともないのだろう。 しかしながら、神ならぬ当事者の想いはそう簡単に割り切れるのではない。この善悪併せ持つ等身大の人間が、心の障壁を乗り越えて、相手を互いに想いあえる心情、関係の構築に至る。このカタルシスが、丁寧な心象描写で展開する。しかも、このカタルシスは、カルエルとクレアのみならず、シャロン、ノリアキ、ベンジャミンらにも及んでいる。また、一方の貴種流離譚を体現するイグナシオ。彼の行動はやや唐突ではある。ただカルエルと違い、かなり人間洞察力に優れているような彼は、クレアとアリエルのカルエルへの愛を早い時期に気づいていたのかも そんな風に他人に愛されるカルエルの長所を素直に受け取れるほど彼は「大人」であったよう。殊に、間近に見続けてきたクレアの行動・心境の変化には驚いたはず。だからこそ、彼女を変えたカルエルへの復讐に徹することはしなかった。また、カルエルを叱咤するにあたり、独善的な見方をしがちなカルエルに対して、クレアの行動ではなく、アリエルの想い・諦念を気づかせるよう仕向け、人の行動や心理の多面性を示唆したのでは、と感じている。

Posted byブクログ

2014/11/01

今回も長い戦闘シーン。 四巻で突然現れた腹違いの弟、イグナシオが大活躍。 かっこいいなぁ、ツンデレ皇子。 カルエルも色々乗り越えて大分かっこよくなってきた。 クレアは土壇場で風呼びの力を取り戻して、次の巻では生贄に… それぞれのキャラクターがちゃんと立ってて、登場人物が多いけど覚...

今回も長い戦闘シーン。 四巻で突然現れた腹違いの弟、イグナシオが大活躍。 かっこいいなぁ、ツンデレ皇子。 カルエルも色々乗り越えて大分かっこよくなってきた。 クレアは土壇場で風呼びの力を取り戻して、次の巻では生贄に… それぞれのキャラクターがちゃんと立ってて、登場人物が多いけど覚えやすいのは、作家さんの文才とラノベの絵のおかげだな〜 やっぱり絵があるとイメージしやすい。 引き続き、読むのが楽しみ!

Posted byブクログ

2014/09/09

ニナ・ヴィエントとしての正体を偽ってカルエルたちと過ごすことに耐えられなくなったクレアは、学校を出る決意をします。そんな彼女を止めるために、カルエルは自分が皇子カール・ラ・イールだったことを彼女に告げます。しかし、そのことに感づいていたクレアは、自分がニナであることを彼に告げ、彼...

ニナ・ヴィエントとしての正体を偽ってカルエルたちと過ごすことに耐えられなくなったクレアは、学校を出る決意をします。そんな彼女を止めるために、カルエルは自分が皇子カール・ラ・イールだったことを彼女に告げます。しかし、そのことに感づいていたクレアは、自分がニナであることを彼に告げ、彼のもとを去っていきます。 真実を知ったカルエルは、ショックのあまり、自分の部屋に引きこもってしまいます。そこへやってきたのは、これまで他の生徒たちと交流することを避けていたイグナシオ・アクシスでした。バレステロス皇王の庶子であり、自分と母親を追放した王と第一皇子のカールを憎んでいた彼の言葉で、自分の不甲斐なさに気づかされたカルエルは、ふたたび空族が攻めてきたという報せを聞いて、ふたたびイスラを守るために立ち上がる決意をします。こうして、カルエルとイグナシオ、そしてノリアキ・カシワバラとベンジャミン・シェリフの2組は、戦場へと身を投じます。 彼らの善戦も空しく、戦艦ルナ・バルコは砲撃を受け、最後の別れを交わすためにニナは甲板へと出て行きます。そんな彼女に向けて、カルエルは「生きろ」というメッセージを送り、その言葉に心を動かされた彼女は、ついに風を操る力を取り戻すことになります。 劇的なストーリー展開に、思わず引き込まれてしまいます。どのような形でクライマックスを迎えるのか、楽しみです。

Posted byブクログ

2014/07/07

実は本シリーズ、誓約3まで積んでおります故そこまでは読みます。 さて、まるで口を開かなければ貴公子なあのキャラの様に、引き続き戦闘描写と台詞の質の差に苦笑いのシリーズにも慣れてきたこの頃。 理由や伏線に拘らなければ、偵察機を介した戦艦同士の砲撃戦は航空機の空戦とはまた別の趣で読み...

実は本シリーズ、誓約3まで積んでおります故そこまでは読みます。 さて、まるで口を開かなければ貴公子なあのキャラの様に、引き続き戦闘描写と台詞の質の差に苦笑いのシリーズにも慣れてきたこの頃。 理由や伏線に拘らなければ、偵察機を介した戦艦同士の砲撃戦は航空機の空戦とはまた別の趣で読み応えがありました。 そうして血と肉で積み上げてきた緊迫感を、結局異能一発で解決してしまう結末には賛否両論かとも思いますが、この辺は初めから匂わせていた流れでしたので仕方の無い部分かと。 次巻終幕。ドラマは残されていない気もしますが、さて。

Posted byブクログ

2014/02/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あれ、おっかしいな…すごく心動かされたはずなのに…今思い出せるのがツンデレイグナシオしかない…… ようやくイグナシオが正体を明かしてくれて嬉しい。 物語が動くこと動くこと。重要なシーンがたくさんあるね。ベンジャミンの理系設定がようやく生きた。 全員が全力を尽くしていて、みんな愛おしい。

Posted byブクログ

2012/08/25

とある飛空士へ贈る恋の歌。 全身全霊で戦い生き残った戦士たち。飛空士たち。 過去を踏み越えていけ。明日はきっと明るい。 生きることを諦めるな。

Posted byブクログ

2011/08/18

相変わらず凄い。のめり込んで読んでしまう。 あと一冊で終わってしまうのが惜しい、けれど「無事に終わるのか?」とも思う。 とりあえずラスト一冊を買って帰ることにする。

Posted byブクログ

2011/05/17

前巻があまりにも過酷な現実の連続だったのに比べると、今回も状況は悪いながら、救われる展開が多かったように思います。 ニナの力がちょっと反則すぎる気はしますが、過去を許すというキーワードには感じ入るものがありました。

Posted byブクログ