![罪と罰(2) 光文社古典新訳文庫](https://content.bookoff.co.jp/goodsimages/LL/001611/0016118815LL.jpg)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2009/02/09 |
JAN | 9784334751739 |
- 書籍
- 文庫
罪と罰(2)
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罪と罰(2)
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商品レビュー
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二分冊目は、物語の進行に加えて、作者の信条やキリスト教の話が盛り込まれており、より奥行きを感じる内容だった。 また巻末の亀山郁夫さんの解説は、時代背景の詳しい説明や、オリジナリティあふれる解釈で、読みごたえがあった。 自分の読書メモとして、下記3点を取り上げたい。 1.ナポレ...
二分冊目は、物語の進行に加えて、作者の信条やキリスト教の話が盛り込まれており、より奥行きを感じる内容だった。 また巻末の亀山郁夫さんの解説は、時代背景の詳しい説明や、オリジナリティあふれる解釈で、読みごたえがあった。 自分の読書メモとして、下記3点を取り上げたい。 1.ナポレオン主義について 一分冊目から引き続き、当時のロシアにおけるナポレオン戦争とその後の反動の影響がうかがえる。 物語中でラスコーリニコフが展開する主張では、歴史的な英雄は、従来の社会や伝統を破壊したという意味で犯罪者だ、という。 この主張について、同時代の同じくロシアの文豪トルストイが、ロシアの対ナポレオン戦争を描いた著書『戦争と平和』で繰り広げた歴史観が思い出された。 トルストイの主張は、「一人の英雄が歴史を作るのではなく、歴史の流れが英雄を必要とする」というもので、英雄自身に焦点を当てたラスコーリニコフの主張とは視点が異なる。 以前、「ドストエフスキーを好む人はトルストイを好まず、逆もまた然り」と聞いたことがある。 まだ読んでいる途中で何とも言えないが、この視点の違いが、読者の好みを分かつ理由なのかもしれない。 2.娼婦は自分を殺したか 物語前半から、娼婦の悲惨な身の上について語られていたが、第4部のラスコーリニコフとソーニャのやり取りでは、「じぶんを殺しうらぎった」と表現される。 『地下室の記録』でも似たような見解であった。 この悲劇のヒロインのような描き方に、日本で娼婦を多く題材にした永井荷風を対比させたくなった。 彼は、娼婦をそれほど悲劇の職業とは描いていない。 例えば以下、『ひかげの花』という作品からの引用である。 「正しい職業について、或いは貧苦に陥り、或いは成功して虚栄の念に齷齪(あくせく)するよりも、≪中略≫無智放埓な生活を送っている方が、却って其の人には幸福であるのかも知れない。道徳的干渉をなすよりも、≪中略≫折々の災難を救ってやるのが最もよく其人を理解した方法である」 この荷風の冷静な人生の観察は、ドストエフスキーの描く悲劇性とは似つかない。 宗教上あるいは社会環境の違いもあるかもしれないが、恐らく荷風・ドストエフスキーが各々の信条に基づいて解釈したものであると感じる。 対照的な見解の違いが興味深かった。 個人的には、荷風の方が娼婦を一人の人間として尊重しているように感じる。 3.ユロージヴァヤ(女性)/ユロージヴイ(男性) 巻末の亀山郁夫さんの解説で学んだが、非常に興味深い。 「キリストのために愚者をよそおう」が語源で、この物語では、前出のソーニャと殺害されたリザヴェータがその役割ということだ。 『戦争と平和』でも、アンドレイの妹マリヤが貧しい巡礼と交流する姿がたびたび描かれる。 「愚者をよそおう」というのは、ロシア思想でしばしば登場する「自己犠牲の精神」を体現し、計算ずくではなく神あるいは人のために行動できるという意味ではないか。 思想家のアイザイア・バーリンはその著書『反啓蒙思想』で、「啓蒙されない自己犠牲の精神」と呼び、タルコフスキー監督の映画では、自己を犠牲にして世界を救おうとする人の姿が描かれてきた。 ロシア思想の中で、この「自己犠牲」の部分はより深く学んでいきたいと思う。 次巻も楽しみに読みたい。
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解説を読むことで、なぜここまで狂気と混乱の最中にいる人間の心理描写ができるのか腹落ちできました。ドストエフスキー自身が当時のロシアの社会背景も相まって、人生の中で借金や夫婦関係などにおける窮地に追い込まれていなかったら、ラスコーリニコフの目に映る景色をここまで鮮やかかつ仔細に描き...
解説を読むことで、なぜここまで狂気と混乱の最中にいる人間の心理描写ができるのか腹落ちできました。ドストエフスキー自身が当時のロシアの社会背景も相まって、人生の中で借金や夫婦関係などにおける窮地に追い込まれていなかったら、ラスコーリニコフの目に映る景色をここまで鮮やかかつ仔細に描き切ることはできなかったのだろうと思います。 なまじ賢い若き青年の選民思想と罪悪感から逃れきれず溢れ出る傲慢で神経質な言動のなんという生々しさ…!彼を取り巻く母や妹や友、ソーニャの抱く得体の知れない恐怖心とポルフィーリーとの探り合いの緊迫感が、ますます昂るラスコーリニコフの混乱を際立たせ、物語の進行を盛り上げます。 いよいよ、ソーニャが朗読したラザロの復活で暗示された伏線を回収しに、いよいよ最終巻•第5部へと進みます…!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の行動の原点となる思想が明らかになる。「非凡な人間は法を超越し、革新への行程においては大量殺人さえも許される」という、ちょっと聞いただけでも危うさを感じる考え。主人公の痛々しいほどの高慢さと潔癖さが、これでもかと描かれる。ソーニャ一家や妹とのやり取りからは、高潔な人柄も垣間見えるものの、偏屈さがどうにも邪魔をしている。一番の見せ場は、弱みにつけこんで妹を支配しようとしている卑劣漢ルージンをやりこめるところ。
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